アイコン 諭座!郷原信郎「選挙コンサル」は民主主義の救世主か、それとも単なる「当選請負人」か。その2


郷原
大石陣営2人を刑事告発し、受理されている郷原信郎弁護士

長崎県政界では大石陣営2人が刑事告発され、受理されているという重大さが未だに理解できない能天気さである。

そんな能天気な眠りから覚ましてくれたのが、10月25日に『論座』に掲載された郷原信郎弁護士が書いた「選挙コンサル」は民主主義の救世主か、それとも単なる「当選請負人」か。

きょうは、その2を紹介する。

 

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長崎県知事選挙での選挙コンサルをめぐり告発
 2022年2月20日に投開票が行われた長崎県知事選挙で当選した大石賢吾氏の選挙運動をめぐって、選挙後に、大石氏側から、選挙コンサルタント会社J社に、「選挙運動費用」として400万円を超える金銭が支払われたことが、公職選挙法に基づく選挙運動費用収支報告書に記載されていることが明らかとなり、公選法違反(買収)の疑いがあるとして、長崎地方検察庁に告発状を提出していたが、10月19日付けで、告発が受理された。

大石賢吾

長崎県知事選挙では、4選をめざす現職知事に、公示の2か月前に出馬表明した大石氏が挑み、現職が有利という事前予想を覆して、大石氏が541票差という僅差で現職を破って当選した。

 このJ社の代表者のO氏は、大石陣営の選挙で、大石氏の街頭演説に同行するなどしていたが、選挙後、ネット番組に出演し、長崎県知事選挙で、証紙添付のポスター、チラシ、ハガキの作成、インターネットによる選挙活動の企画、SNS選挙の専任者手配など、上記大石氏の選挙運動全般を統括していたかのように話すなど、選挙期間中も大石候補の選挙運動に積極的に関わっていたことを公然と認めていた。
 このような大石陣営の選挙活動に対して、選挙後、様々な問題が指摘され、県内の政治団体が、大石陣営の公選法違反の疑いについて、「告発状」と称する書面を長崎県警に提出したとして会見を行うなどしていた。

 その「公選法違反の疑い」の中に、大石氏の選挙運動費用収支報告書の「支出の部」に「科目 通信費」「区分 選挙運動」「支出の目的 電話料金」として記載されている2月28日の選挙コンサル会社への402万82円が、O氏に対する選挙運動の報酬ではないかとの選挙買収の疑惑があった。
 この疑惑に関して、公選法・政治資金規正法等を専門とする上脇博之氏(神戸学院大学法学部教授)と連絡をとったところ、上脇氏は、既に、この選挙運動費用収支報告書の記載について、長崎県選挙管理委員会に情報公開請求を行い、領収書の開示を受けおり、同領収書には、「長崎県知事選挙通信費(電話料金、SMS送信費ほか)」と記載されていることがわかった(SMSとは、携帯電話に標準装備されている「ショートメッセージサービス」のことであり、メッセージを送る側に発生する1送信ごとの文字数に応じた料金が携帯電話会社ごとに設定されている)。

 この領収書の記載(「通信費(電話料金、SMS送信費ほか)」)からすると、少なくとも、この支払いが、単一のオートコール業者等への支払いを代行したものではないことは明らかだ。同社が、電話会社やオートコールを受託した会社への支払いを代行したというのであれば、公選法の収支報告書の「通信費」の記載としては、個々の通信・通話料金の電話会社等に対する費用の支払いを記載し、その領収書を添付するはずだ。なぜ、支払先がJ社になっているのか理解できない。

 その全額について、「通信費」としての支払が行われ、J社は無償で支払を代行しただけということは考えにくく、通信費を超える部分、すなわち、選挙コンサル会社側への報酬を含んでいる疑いが濃厚だ。

 選挙では、候補者本人や選挙運動ボランティアなどが、有権者への投票依頼、個人演説会への参加呼びかけなどを行う。また、最近では、「有権者への投票、個人演説会参加の呼びかけ」を多数の有権者に電話で機械的に送信する「オートコール」と言われる方法がある。このような場合の電話代や、電話送信業務を機械的に行うことを受託した電話事業者への支払も、「機械的労務の対価」として、公選法上「費用」の支払が認められる。
 同じ大石氏の選挙運動費用収支報告書に、N社に対して、2月18日に5304円、3月30日に、5万2806円、3月29日に、K社に3万9599円を「電話料金」「電話代」として支出した旨の記載があるが、いずれも、電話業務を事業内容とする事業者である。

 しかし、J社への支払いは、それとは全く異なる。同社の商業登記を確認したが、「電話業務」も「オートコール業務」も事業内容に含まれていない。しかも、上記のとおり、J社として、大石氏の当選のために活動していることは明白であり、「機械的労務」の対価として「電話料金」を受領する立場ではない。
 これらから、大石氏側から選挙コンサル会社への上記402万円余の支払については、公選法違反の買収罪の嫌疑が濃厚だと考えられた。このような、選挙運動費用収支報告書上、同社に対する違法な報酬支払の嫌疑が濃厚であるような事態を放置すれば、今後も同様のやり方が横行することになりかねない。

 刑事手続による事実解明と処罰が必要と考えられたことから、私と上脇氏の連名で、公選法違反(買収罪)で、大石氏側の出納責任者(供与)と選挙コンサル会社の代表者(受供与)を被告発人として、長崎地検に告発状を提出することにした。

次は→県内の団体も長崎県警に告発

[ 2022年10月27日 ]
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