アイコン 米企業はしたたか 中国進出拡大 スターバックス3年で3千店舗新店計画


米中間は地政学的問題と先端技術問題などでデカップリング(乖離)が深まっているが、今年、米消費財企業の中国進出計画はいつよりも攻撃的だという。
「ゼロコロナ」政策の影響で沈滞していた中国の経済が大きく成長するという期待感、インフレ退治中の米経済の今後の不透明感も関係している。

 最近ゴールドマンサックスは、中国の今年の経済成長率予測値を5.2%~5.5%に上方修正するなど中国経済回復の兆候が表れている中、「お金のにおい」をかぎつけた米企業が相次いで太平洋を渡っているという。
英フィナンシャルタイムズ(FT)も、「上海の賃貸料が上昇し、店の前に行列ができるなど経済成長に対する期待感が高まっている」と伝えている。

 

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<スターバックス 新規に3000店舗進出計画>
 米ウォールストリートジャーナル(WSJ)は、「スターバックス、ラルフローレンなど米国の代表的な企業が今年、中国に攻撃的に投資している」と報じた。
最も目を引くのは、2025年までに中国に新規で3000店をオープンすると発表した米コーヒー企業スターバックス。
中国政府のゼロコロナ政策で中国での売上高が急減したにもかかわらず、このような決定を出したのは、長期的な成長の可能性が高いと判断したもの。
スターバックスのハワード・シュルツCEOは「ここでの事業はまだ初期段階にすぎず、中国の顧客がスターバックスに集まるだろう」と述べ、春に中国を訪問すると伝えた。
現在スターバックスの最大市場は米国だが、スターバックス側は数年以内に中国国内の売上高が米国を上回るとみている。

<マクドナルド、今年900店舗オープン計画>
ファストフード業界も迅速に動いている。昨年中国に新規で700店をオープンしたマクドナルドは今年900店を追加でオープンする計画。米国にオープンする計画の新規店舗数の倍にのぼる。

<パパイス 再進出>
2020年に中国に進出したが、パンデミックのため昨年撤収したチキンフライのパパイスは今月初め、中国市場への再進出を宣言した。今後10年間に中国に1700店をオープンする計画だという。

 FTは「西欧市場ではファストフード企業が下降線をたどっているが、中国消費者の間では人気が高まっていて、KFC・マクドナルド・バーガーキングなど関連企業などの中国進出はさらに加速するだろう」と報じた。

このほか、米国最大の牛肉輸出企業「タイソンフーズ」、「スパム」で知られる食品企業「ホーメル」などが今年、中国に新規工場を建設するという。

<ラルフローレン・コーチも>
飲食品企業だけではない。
米国の代表的な衣類企業「ラルフローレン」、「タペストリー(コーチの親会社)」などが今年の売上の大部分が中国で生じると期待している。
最近IT業界が集まっている中国深セン市に新規店舗をオープンしたラルフローレンは、近く成都にも店舗を開設する計画。

米国基盤の多国籍ファッション企業「タペストリー」の場合、今年、中国内の新規店舗オープンと従来の店舗の補修に1億6200万ドル(約221億円)を投入する。

 特にブランド品業界の中国進出が活発になると予想される。
プライスウォーターハウスクーパースの報告書によると、中国ブランド品市場は2025年まで世界市場の25%(現在22%)を占めると予想される。
今年、中国のブランド品部門の売上高は前年比15%成長すると見込まれるが、これは世界平均予測値(9%)の約1.7倍にあたる。

 中国メディアは最近、「毎年成長してきた中国ブランド品市場は昨年初めて上昇の流れが途絶えたが、ゼロコロナ政策が解除されただけに今年はまた成長が期待される」とし「グローバルブランド品業界のCEO(最高経営責任者)が相次いで中国を訪問するなど関心が集まっている」と報じた。

 米国消費財企業が投資を拡大するのには、中国政府が2019年以降3年間ほどマーベルのスーパーヒーロー映画公開を認めるなど、外国企業に融和的なジェスチャーを見せた点も影響を及ぼしたとWSJは分析している。

中国外務省は最近、自国通信アプリ「微信(ウィーチャット)」に外務省高官が米航空機製造企業ボーイング社の幹部と撮った写真を公開した。

 しかし、中国に進出している米企業はほとんどが消費財企業ということに注目する必要があるというのが専門家らの分析。
WSJは「米国が中国を牽制して先端技術関連の制裁の強度を高めていて、先端技術関連の企業は(中国進出に)依然として慎重な立場」と伝えた。
以上、

米国は中国からの輸入品をなくした場合その生存すら危うく、ロシア同様の制裁はできない。もしも中国の台湾侵攻で問題が生じた場合、米国が露制裁並みに中国を制裁すれば、米経済は恐慌に陥る可能性すらある。それほど米国のGDPの70%占める消費経済は中国に依存しきっている現在も。

ただ、中国は最近、知財略奪をさらに深刻化させているという。米中貿易戦争で「中国製造2025」が危うくなる中、外資進出企業に対して、製造業は設計図面を、薬剤や化粧品などは成分表の提示を要求しているという。
それも中央政府が指示し、地方政府段階で行われているが、中央政府は知らん振りしているという。
中国で稼ぐ企業は知財を提供させようとしたことは今に始まったことではないが、いくら欧米・西側から大問題だと指摘されてもどこ吹く風、中国政府はそうして略奪した外資技術を国内メーカーに提供し続け、中国企業の技術力は日進月歩で成長し続けている。
一番危ういのは進出している日本企業群とも指摘されている。

[ 2023年2月28日 ]

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