アイコン ベトナム 親中派勢力が高位4柱独占の動き 3選禁止改正の先輩格


1980年代から改革・開放を進めてきたベトナムが変化の岐路に立っている。
今年1月に親米のグエン・スアン・フック主席(69)が閣僚の収賄スキャンダルで責任を問われ辞任、後任に親中派のボー・ティ・アイン・スアン共産党常任書記(53)が今週中に選出される。

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<4柱の国家体制>
1、ベトナム共産党書記長(序列1位/国政全般/最高指導者)、グエン・フー・チョン氏(79)
  親露派(ロシア留学)・親中派 2011/1月~
党規約は3選禁止、規約を改正し2021年1月から独裁政権の3期目に入っている。
中国習氏とまったく同じ。習氏3期目突入で祝賀訪中しているほどの親中派。

2、国家主席(2位/外交と国防)、ボー・ティ・アイン・スアン女史(代行/南部出身) 2023/1月~
23年1月18日、グエン・スアン・フック国家主席をチョン書記長が失脚させた。

3、首相(3位/行政)、ファム・ミン・チン氏(チョン派) 21/4月~

4、国会議長(4位/立法)、ヴォン・ディン・フエ氏(親中派)

全てが親中派となり、ベトナムが一気に親中に傾くとの懸念が浮上している。
チョン書記長は習近平中国国家主席に倣い、権力を集中するため、反腐敗を武器に政敵を失脚させ続けてきた経緯がある。

 主要外信各社は「フック主席ら最近失脚した政府高官3人全員が親米」とした上で「ベトナムの外交方針が中国に傾くだろう」と分析している。
ドイツ国営のドイチェ・ベレ放送は「失脚したフック主席はこれまで欧米資本と緊密な関係を築いてきたため、フック主席が辞任すれば、ベトナム国内で親中エリートの権力掌握が一気に固まるだろう」と予想した。
 ベトナムは伝統的に親米派と親中派の権力争いが続いてきた。

共産党1党独裁体制を維持し、その強化を進める政治勢力は体制面でよく似た中国と近く、南シナ海問題で中国からの領土防衛に力を入れる勢力は欧米主義を掲げ親米の動きを示してきた。
親中派は、ほとんどがベトナム北部出身、共産党内で政治の実績を積み、これに対して親米派は、中南部出身者が多く、主に南部の高位官僚出身者と分かれている。
 ベトナムは1986年に経済不況から脱却するため「ドイモイ(新しい変化の意)政策」を進めてきた。
共産党独裁体制を維持しつつも、国内での改革と外国への開放を通じ市場経済を導入することが目標だった。
そのため主に親中派が書記長を、親米派が首相を担当するケースが多かった。

旧ソ連留学派のグエン・フー・チョン氏(79)が2011年1月に共産党書記長に選出された時も序列2~4位の主席、首相、国会議長全員が親米派でバランスが取られていた。
以上、

日本は今年はじめベトナムから、北部ハノイ~南部ホーチミン市(旧サイゴン)をつなぐ高速鉄道=ベトナム新幹線の建設協力を要請されたが、今回、中国派が高位を独占することでインドネシア同様、中国がベトナム新幹線も持っていく可能性が非常に高く、日本はインドネシアのように利用だけされるようなことのないよう留意が必要だろう。

1月13日、ファム・ミン・チン首相と鈴木俊一財務相がハノイで会談し、ベトナム高速鉄道の支援要請はこの中で行われたとベトナム紙が報じていた。しかし、その5日後の18日にチン首相は失脚させられた。

インドネシア新幹線は、ほぼ日本で決定していたが、政権が変わり、中国派のネガワティ元大統領が率いる闘争民主党のジョコウ氏が大統領となり、中国にひっくり返された。
インドネシア新幹線は2019年4月開業予定であったが、まだ開通していない。中国らしくすべての遅延原因はインドネシア側にあるとしている。当然、インドネシアのジョコウ政権に対しては今後とも一切気を抜けない。

東南アジアの各政権とは、政治も経済もビジネスと割り切った対応が絶対条件となる。実質軍事政権のタイですらバックには中国がいる。

ベトナムからロシアへ軍需物資が送られる可能性もある。
チョン書記長はもともと親中ではなく親露、ただ、ロシアの国家体制が変わり、親中に変遷しているもの。ロシア原油もインド・中国に加えベトナムも大量購入する可能性が高い。
ベトナムへの進出企業は、いまや韓国が筆頭、日本・中国が続く。

韓国はベトナムへ、サムスンやLGなどの巨大なスマホや家電工場があり、韓国からの進出企業数も3000社を超え、そうした工場向けに大量に資材や部品を韓国から輸出していることもあり、342億ドルもの輸出黒字国(22年)となっている。
そうした韓国のベトナム工場から製品が欧米へ輸出され、ベトナムの輸出黒字にもっとも貢献している。

[ 2023年3月 2日 ]

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