アイコン チリ大統領 経済立て直しの切り札に リチウム鉱山国有化へ


チリのボリッチ大統領は20日、国内のリチウム産業を国有化すると発表した。経済成長の促進と環境保護が狙い。
同国は世界第2位のリチウム生産国。埋蔵量は世界最大。リチウムは電気自動車(EV)用電池の製造に欠かせない。
今後、国内の巨大なリチウム事業の経営権を、リチウム生産では世界最大手のソシエダード・キミカ・イ・ミネラ(SQM/チリの化学メーカー)とアルベマール(米国の化学メーカー)から国営企業に移管する。

SQMとアルベマールは、米テスラや韓国LGエナジーといったEVメーカーや車載電池メーカーにリチウムを供給している。
ボリッチ大統領は、全国放送された演説で「短期間で打ち負かすことのできない経済成長を実現するチャンスだ」と表明した。
「持続可能な先進経済に移行する上で絶好のチャンスで、このチャンスを無駄にはできない」と述べた。

大統領によると、将来のリチウム契約は、国家管理の下、官民連携事業(PPP)として締結する。
政府は、既存の契約を破棄しないが、契約が切れる前に企業が国家の参加を受け入れることを期待するとしている。SQMの契約は2030年に切れる予定。
SQMとアルベマールのコメントは取れていない。

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大統領は、地域社会・企業・議員との対話を開始し、国が完全保有するリチウム会社を設立すると表明した。この企業の設立には議会の承認が必要となる。大統領が今年下半期に議会に計画を提出する。
ただ、議会はこれまでボリッチ大統領の野心的な計画の多くに抵抗しており、3月初旬に提案された税制改革法案も棚上げになっている。
大統領は、同国のアタカマ塩原でのリチウム採掘に政府がどのような形で参加するのが最適か、産銅世界最大手のチリ銅公団(コデルコ)に調査を依頼するよう、産業開発公社(CORFO)に指示した。

アタカマ塩原でリチウムを採掘する官民事業が設立された場合、国がコデルコを通じて管理するとしている。
大統領は、現在アタカマ塩原でリチウム採掘権を保有している企業と合意を結ぶ方針を示したが、SQMとアルベマールの名前は挙げなかった。
コデルコとチリ鉱業公社(ENAMI)には、現在民間プロジェクトが行われていない地域の探査・採掘契約を付与し、国との提携で恩恵が得られるか調査を依頼する。
リチウムが埋蔵されている可能性のある他の塩原については、国が査定し、国営会社と共同でリチウムを採掘する契約の入札を実施する。
応札する民間企業には「優遇オプション」が付与されるが、戦略的に重要な官民事業は国が過半数を出資する。
環境への影響を最小限に抑える技術を導入する専門部署も設置する。
以上、

まだ議会の承認が必要であり、どうなるかわからないが、米国は中国並みの保護主義に走っており、こうした資源国が資源を独占しても何らおかしくない。

リチウム生産の第一位はオーストラリアとなっているが、リチウム金属をオーストラリアが生産しているのは僅か、クラッシャーにかけた含有鉱石のほとんどを中国が購入している。中国の安価な電力でリチウム金属が抽出されている。中国は米国からもレアメタル鉱石を生産される9割方購入し、抽出している。それが米IRA法で7割まで下がるというが、下がっても7割を中国へ輸出。
ニッケル、コバルトも含め海外から含有鉱石を購入=輸入し、レアメタルを生産し、レアメタルの大国となっている。中国は国内でもほかの各種レアメタル鉱石が産出し、メタル化し販売=輸出している。
米IRA法では原産国が国産や米FTA国ならばOKと、ご都合主義の鼻糞バイデンだ。付き合い方をよほど注意しなければ寝首を欠かれるかも。

インドネシアも鉱石の輸出を禁止し、国内で付加価値をつけて輸出するスタイルに変更させている(木材・鉄鉱石・ニッケル・・・)。

OPEC+の加盟国にしても共同で生産調整して価格を吊り上げ、ぼろ儲けしている。
ますますこうした動きが加速する可能性がある。
今回の米金利高に対する為替の脆弱国は資源のない国に限定されている。その代表が日本だ。

EVバッテリーのネックだった充電時間、高電圧での急速充電が可能となり、現在でも20分ほどで8割の充電可能となっているが、サムスンSDIは10分で8割充電を可能にするEV用電池システムを開発したと発表している。豊田会長が危惧していた問題など技術の進化によりどうにでも解決される。技術を進化させ続けているのは素人ではないのだ。素人目線は危険だ。それが自動車メーカーの経営者ならばなおさら問題だ。


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チリ

 

3月

2月

1月

12月

インフレ

11.1

11.9

12.3

12.8

 食料インフレ

17.4

21.4

23.9

24.7

 コアインフレ

9.4

9.1

8.6

9.5

金利

11.25

11.25

11.25

11.25

失業率

 

8.4

8.0

7.9

貿易収支M$

2,906

1,998

2,596

2,121

経常収支M$

四半期

 

 

-4,993

対外債務M$

 

233,119

236,559

 

景況感

40.5

42.1

37.8

35.6

製造業生産

 

-3.6

-1.6

-4.1

鉱業生産

 

1.7

3.0

1.9

小売販売

 

-0.6

-0.2

1.5

人口/万人

1,950

 

 

 

特色

リチウム2位/銅1位(2位ペルーの倍以上)

 

[ 2023年4月22日 ]

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