アイコン 半導体冬の時代 春も見えてきた


半導体需要が急拡大していた2015年代、メモリメーカーは巨大工場を各地に作り、2018年には需給バランスが崩れ、造った半導体工場をメモリではなくシステム半導体の受注生産に走った。それがサムスン電子、2017年から2018年にかけ、システム半導体の受注を拡大、サムスンは巨大工場棟をいくつも持ち、システム半導体のファンドリーシェアを18%まで急拡大させた。
2020年に新コロナ事態に入り、ホームワークやゲームなど巣篭り需要が急拡大、パソコンから付随する電子機器、ゲーム機器など半導体需要は2021年に夏場まで急成長、ところが、米国はじめウィズコロナ策をとり始め、需要一巡どころか、その生産拡大の反動により、半導体需要は低迷、価格も1/3まで下落した。その直撃を受けたのが、汎用性のあるメモリ半導体で世界1・2位のシェアを有する韓国勢のサムスン電子とSKハイニックスであった。

一時、韓国の輸出の20%を占めた半導体はいまや12%まで下落、販売数量が落ちているのではなく、生産規模が供給量が大きくなりすぎ、需給バランスが崩れ値下がったものでもある。
韓国勢の競争は激しく、SKハイニックスは在庫を抱え昨年秋から生産調整に入ったが、圧倒的シェアのサムスンは、3位の米マイクロンも生産調整する中、生産し続け値崩れ期間を長期化させてきた。

 

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しかし、2023年第一四半期、半導体部門は大きな赤字を露呈、もうたまらんと、サムスンも生産調整に入っている。
サムスンの戦略は他社が生産調整する中、安価に販売してシェアをさらに拡大する戦略、過去の成功体験に基づくものであった。
しかし、SKもマイクロンも次世代半導体の開発にあたっており、需給バランスが取れてきた場合、サムスンがこの間シェアをさらに拡大させても、次世代型の新製品へ需要は動くため、これまでの成功体験は意味をなさないともされる。

SKハイニックスは、今年1四半期に3兆ウォンをはるかに超える大規模赤字を記録し、創業以来最悪だった。
赤字規模が3兆ウォンを越えたのは今回が初めてであり、昨年4四半期を勘案すれば、2四半期連続の赤字を避けられなかった。
 SKハイニックスは今年1四半期(1~3月)の営業損失が▲3兆4023億ウォンを記録している。
売上高も5兆881億ウォンで、昨年1四半期の12兆1557億ウォンに比べて▲58.1%減少している。
 昨年から続いたグローバル景気低迷による消費心理萎縮と深刻なメモリ需要絶壁、製品価格暴落など歴代級「半導体寒波」の直撃弾を受けた。
特に、メモリ半導体の在庫規模はかつてないほど深刻な状況となっている。

半導体企業の減産決定にもかかわらず、依然として顧客会社の在庫が多く、出荷量の反騰まで遅れ、赤字規模がさらに拡大したものと分析される。 SKハイニックスは昨年4四半期にも1兆8984億ウォンの営業損失を記録している。

 ただ、SKハイニックスは1四半期に顧客が保有している在庫が減少傾向に転じ、第2四半期からはメモリ減産による供給企業の在庫も減るものと予想されるだけに、下半期からは市場環境が改善されるものと展望を示している。

 チャットGPTなどAI用高性能サーバー市場規模が大きくなり、大容量メモリを採用する顧客が増えている点も市場に肯定的な影響を及ぼす。
これを受け、SKハイニックスはサーバー用DDR5やHBMのような高性能Dラム、176段NAND基盤のSSD、uMCP製品を中心に販売に集中し、売上げを伸ばしていくことにしている。

  SKハイニックスは、全社的に投資を減らしていく状況でも、AIなど今後の市場変化を主導していく産業に活用される最新メモリ製品への投資は持続するという計画。
これと共に、10ナノ級5世代(1b)Dラム、238段NANDなど従来より原価競争力の高い工程を通じた量産準備に投資し、市況改善時の実績が早く反騰できるよう万全を期する方針。
以上、

SKは2010年10月、インテルから中国の大連工場(NAND)を90億ドルで購入、その途端、需要減退、2022年10月、米政府の中国に対する最新生産設備の輸出禁止(中国の外資企業の生産工場にも適用)という結果、米インテルに騙された高額購入となっている。当然、大連工場も生産調整に入っている。最新製造設備の導入もできない事態に至っている。お人よしで・かな日本の首領は、米国から言われ対中国への半導体製造装置の輸出を広範囲にわたって禁止。規制している。またまた日本の産業を潰す政権者となっている。日本人が好きなお坊ちゃま、駆け引き0では仕方あるまい。そうした歴代のお坊ちゃまたちがこれまでに日本の産業をどれほど潰してきたことだろうか。巨悪の日米通商交渉、米政権に言われるがままに・・・。

サムスン電子は第一四半期、スマホの新製品販売効果でかろうじて赤字を免れたが、半導体部門は4兆ウォン台の赤字を露呈していた。そのサムスン電子の半導体減産効果は第3四半期から生じるものと見られる。
なお、システム半導体は需要の増減が開発販売するファプレスメーカーにより決定され、生産会社=ファンドリーメーカーの受注価格はそれほど下がらず、ファンドリー57%という圧倒的世界シェアを持つ台湾のTSMCは需要拡大で過去最高を更新している。
システム半導体こそ育成型AIの市場拡大を大きく享受している。今後、そうした機器も小型化・省電力化が進み、高性能のメモリ半導体の需要も連れて拡大する。

自動車のEV化や自動運転化により半導体需要は拡大しているが、自動車の世界販売台数は年間8500万台程度、各種センサー類は増加するとしても、電子制御用はすでに搭載しており、ニーズに応じたシステム半導体の点数は多くなるものの、メモリ半導体そのものが急拡大するものではない。

[ 2023年5月17日 ]

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