米国のインフレ率急鈍化、生活費危機の終焉と金利政策の転換へ
米国のインフレ率が急激に鈍化し、ほぼ2年ぶりの水準に低下した。
生活費危機の終了、そして恐らくは米金融当局による歴史的引き締めの終わりに向けて大きな一歩となるとブルームバーグが報じた。
6月の米消費者物価指数(CPI)上昇率は、前年同月比3%で、1年前に付けたピーク時の3分の1の水準にまで落ち着いた。
コアインフレの主要な指標も予想を下回るなど、統計の詳細もインフレ抑制の進展を示す内容だった。
FOMCは7月25・26両日の会合で利上げに踏み切る可能性が極めて高いが、その後、さらなる利上げの必要性に懐疑的になる理事たちが増え、金利の天井、その後の利下げの方向に向かう。金利低下のムードで物価が反動することもあり、しばらくは高金利が続くものと見られる。
インフレ率が下がったのは、急激な金利上昇に経済悪化があるが、一方で、半導体・EVバッテリー・EV生産の巨大工場の建設ラッシュ、ウクライナ戦争特需でフル操業状態が続いており、金利の天井ともなれば、下げ期待で経済は上記工場の新稼動もあり、急回復するものと見られる。
インフレの最大要因ある消費者の購買力の強さは、総就業者数の増加、賃金上昇が支え、消費活動指数も含め、そうした数値の動向が金利政策の核となっている。就業者数も賃金も上昇し続けており、今後のインフレに対応した金利政策は無図か指し判断を迫られ続ける。
すでに株価は経済回復局面にある。
スクロール→
米国のインフレ率 |
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|
2023 |
2022 |
2021 |
||
1月 |
6.4 |
7.5 |
1.4 |
||
2月 |
6.0 |
7.9 |
1.7 |
||
3月 |
5.0 |
8.5 |
2.6 |
||
4月 |
4.9 |
8.3 |
4.2 |
||
5月 |
4.0 |
8.6 |
5.0 |
||
6月 |
3.0 |
9.1 |
5.4 |
||
7月 |
|
8.5 |
5.4 |
||
8月 |
|
8.3 |
5.3 |
||
9月 |
|
8.2 |
5.4 |
||
10月 |
|
7.7 |
6.2 |
||
11月 |
|
7.1 |
6.8 |
||
12月 |
|
6.5 |
7.0 |
||
|
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米国のコアインフレ率 |
|||||
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2023 |
2022 |
2021 |
||
1月 |
5.6 |
6.0 |
1.4 |
||
2月 |
5.5 |
6.4 |
1.3 |
||
3月 |
5.6 |
6.5 |
1.6 |
||
4月 |
5.5 |
6.2 |
3.0 |
||
5月 |
5.3 |
6.0 |
3.8 |
||
6月 |
4.8 |
5.9 |
4.5 |
||
7月 |
|
5.9 |
4.3 |
||
8月 |
|
6.3 |
4.0 |
||
9月 |
|
6.6 |
4.0 |
||
10月 |
|
6.3 |
4.6 |
||
11月 |
|
6.0 |
4.9 |
||
12月 |
|
5.7 |
5.5 |
||
先週の米新規失業保険申請件数は市場予想に反して減少。
市場予想は25万件だったが実申請件数は23.7万件だった。
企業が雇用者を手放さず、人員確保に努めている状況が示唆された。州別では、ニューヨーク、オハイオ、ペンシルベニアなどで特に増加が目立ち、ニュージャージーやコネティカット、ミシガンなどでは減少幅が大きかった。
米国の平均賃金と就業者数 |
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米国 |
賃金・時給 |
前年比 |
就業者数 |
|
ドル |
|
千人 |
23/4. |
28.62 |
4.4 |
161,031 |
23/5. |
28.75 |
4.3 |
160,721 |
23/6. |
28.83 |
4.7 |
160,994 |
年推移 |
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2017年 |
|
|
146,600 |
2018年 |
|
|
148,900 |
2019年 |
↑新コロナ前 |
150,900 |
|
2020年 |
|
|
142,180 |
2021年 |
|
|
146,280 |
2022年 |
|
|
152,570 |
・就業者数は季節調整値/米労働統計局 |