アイコン A320neo P&W製エンジン搭載1500機リコール 順次運航停止で点検・改修


米RTX(旧レイセオン・テクノロジーズ)は9月11日、子会社プラット・アンド・ホイットニー(P&W)製造のエンジンを巡り、点検・回収対象を大幅に拡大したと発表した。

エアバスA320シリーズの最新モデルA320ネオに搭載されているほぼ全ての同社製エンジンが対象となり、数百機が何ヶ月にもわたり運航停止となる。

RTXの発表によると、向こう3年間で約3000基のP&W製「ギヤード・ターボファン(GTF)エンジン」について、汚染された粉末金属が使われた部品に欠陥があるか点検する必要がある。これはA320に現在搭載されている3200基のGTFエンジンのほとんどを占める。

※A320neoは2022年末現在約1700機が運用中、大型の双発エンジンである為、3400基のエンジンとなる。結果、運航中のA320neoはそのほとんどがP&W製エンジンを搭載していることになる。
なお、A320neo は2016年初就航直後、搭載のPW1100G-JMエンジンで問題が生じ、カタール航空が引取りを拒否された経緯があるが、どう改良されたのかは不明。だが、現在も同型式のPW1100G-JMエンジンとGE系のCFM製Leap-1Aエンジンから選択できる方式で販売されている。カタール航空が受け取り拒否したエンジン問題の詳細は不知。

 

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RTX幹部がアナリストに説明したところでは、
点検・回収対象が広がった結果、2026年まで年平均約350機が運航できない状態となり、来年上期(1~6月)にその数はピークの約650機となる見通しだという。
RTXのグレッグ・ヘイズ最高経営責任者(CEO)は、「これは明らかに困難で残念な状況だ」とした上で、「われわれは財務を健全に保ちつつ至急、この問題に全力で取り組む」と表明した。
A320ネオの約40%にP&W製エンジンが搭載されており、シェア首位はライバルのCFMインターナショナル(米GEと仏スネクマの合弁会社)。
今回の問題は、新コロナウイルス禍を乗り切って事業再構築を進める航空会社にとってさらなる打撃となる。
また旅行需要拡大に対応して旅客輸送容量を増やす取り組みにも影響する>

財務に打撃
RTXは11日、23年12月期の売上高の見通しを引き下げるとともに、不具合部品への対応で7~9月(第3四半期)に約30億ドル(約4400億円)の税引き前費用を計上すると発表した。
この問題の解決に向けた措置には運航停止を余儀なくされた航空会社への賠償金も含まれる。
同社は発表資料で、通期売上高見通しを675億~685億ドルとした。従来見通しは730億~740億ドルだった。
また、この問題が響き、税引き前営業利益は向こう数年間で最大35億ドル押し下げられる見込みだとした。
以上、

ミサイルの名門企業のレイセオン社の軍需部門はウクライナ特需でフル生産が続いており、超大型リコールを実施するには絶好のタイミングかもしれない。ただ、改修前に墜落でもしたら、それどころではなくなる。

なお、EV火災のGE15万台リコールでは、その費用総額2000億円、うちバッテリーのLGが8割負担、GEが2割負担しており、バッテリー原因のEV火災のリコールでは、今後、この方式が定着するものと見られる。
今8月、川崎汽船運航のカーキャリー船火災もEVが発火原因とされている(ベンツ等積荷/オランダ沖)、保険会社はどう対応するのだろうか。


スクロール→

エアバス

型式

座席数

受注

納品

運航中

受注残

A220

110130

537

57

57

480

A300

251345

561

561

237

0

A310

220243

255

255

70

0

A320 ceo

150220

8,135

7,970

7,922

163

A320 neo

150220

6,471

635

635

5,836

A330 ceo

253440

1,496

1,436

1,400

60

A330 neo

257440

238

3

3

235

A340

250440

377

377

265

0

A350

350410

894

235

235

659

A380

   ~853

321

234

232

87

合計

19,340

11,763

10,716

7,577

・neoはceoの改良型

・エンジンは指定、最近は選択が可となっている。中型機ではP&W製とCFM(GEの合弁会社)、大型機ではそれに加えRR製も選択できる。

・資料は2018年現在、参考にはなる。

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[ 2023年9月13日 ]

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