アイコン パナ社の4680はテスラ技術?生産に限界 安価なLFP700キロ・10分400キロ


テスラが11月に出荷を開始した装甲車のような3トンの電動ピックアップトラック「サイバートラック」は、最新型のリチウムイオン電池「4680」の生産増強が計画通りに進まない恐れがあり、本格展開に暗雲が垂れ込めているという。

テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は今年10月、サイバートラックの年間生産台数が2025年中に25万台に達するとの見通しを示した。
だが、生産台数を予定通りに増やしていくにはかなりの困難が予想される。
主な問題の一つは、
最新の電極のドライコーティング技術を採用した4680電池の生産ペースにある。
ロイターが公開情報と独自に入手した非公開データから推計したところ、テキサス州オースティンにあるテスラの「ギガテキサス」工場では現在、年間約2万4000台に搭載する分の4680電池しか生産できていない。
これは年間に25万台のサイバートラックを生産するために必要な能力の約1割にとどまることを意味する。

 

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テスラが2020年に打ち出した計画では、ドライコーティング技術を使った電極による電池の大量生産が重要な前提条件となっていた。
計画には水分を使わずに電極を塗工することで電池の製造コストを半分未満に抑えるとともに、投資を大幅に削減し、より小さく、環境に配慮した工場を建設する方針が盛り込まれていた。

9人の関係者は、テスラは、生産目標の達成に必要なペースで4680電池を製造するために必要なドライコーティングの大量処理のノウハウをまだ構築できていないと話した。

バッテリー技術コンサルタントのユアン・ガオ氏によると、ドライコーティング技術によるアノード電極とカソード電極の製造は実験室では立証されており、比較的小さなエネルギー貯蔵装置や一部の小型バッテリーでも実績がある。
同氏は「だが、大量かつ十分に速いペースで大型のEV用バッテリーを製造することについては、これまでに誰もやったことがない。この商用化を試みるのはテスラが初めてだ」と指摘。「テスラにとっての試練は、生産規模を拡大して処理速度を速めるだけではなく、独自の機器とツールを開発しなければならないことにある」と語った。

<難問解決?>
関係者のうち3人の話では、サイバートラックに搭載される4680電池には1360個のセルが組み込まれていると推計されている。
これに基づくと、年間25万台のサイバートラックを供給するには年間3億4000万個、1日当たりでは約100万個のセルを製造する必要がある。
テスラがこれまでに公開した情報に基づいてロイターが試算したところ、テスラのオースティン工場では、現在、1000万個の4680用セルを製造するのに約16週間を要している。この試算は、関係者3人が確認した。
この製造ペースでは年間のセル生産は3250万個となり、サイバートラック2万4000台分にとどまる。

テスラはまた、4680電池を他の車種にも搭載する方針であり、2020年代半ばまでに発売する価格が2万5000ドル程度の小型車への搭載も検討されている。
テスラはカリフォルニア州フリーモントの工場でも4680を限定的に生産する能力があるが、同工場は試作品の生産が中心。
テスラに長期にわたって電池を供給してきたパナソニックは米国内に少なくとも2つの工場を建設する計画だが、まだ1ヶ所目に着工したばかり。
また、米国の新工場でテスラ用の4680電池を生産するかどうかは同社は発表しておらず、初期的には日本国内で4680の量産を立ち上げる計画だとしている。

関係者のうち2人は、1本の生産ラインで製造ノウハウを確立して安定的に生産できるようになれば、テスラによる4680電池の生産拡大は加速すると考えている。
同じ関係者2人は、テスラは支障なくバッテリーを生産するノウハウの確立に重点的に取り組んできたと指摘。その1人は「いったん難題を解決すれば、安定的に生産できるようになり、生産量は飛躍的に増える」と話した。

テスラの技術担当シニアバイスプレジデント、ドリュー・バグリーノ氏は今年10月、同社はオースティン工場の2本の生産ラインで4680用セルを製造しており、合計で8本の生産ラインを2つのフェーズに分けて設置する計画だと明らかにした。最後の4本は2024年終盤に稼働する予定。
ただ関係者の1人は、1本の生産ラインで確立したノウハウを次の生産ラインに応用することは容易ではないと指摘。収益を生み出せる生産ラインでは、廃棄されるセルは全体の5%程度にとどまるが、新たな生産ラインが稼働する際、廃棄率は30-50%に跳ね上がり、数カ月にわたってその状態が続く可能性があると話した。

関係者の1人は、テスラのドライコーティング技術によるカソードは、旧式のウェットコーティング手法よりも生産ペースが速いノウハウが確立されていないと指摘。ただ廃棄率は10―20%に低下しているという。
バグリーノ氏はこの件に関するコメント要請に返答していない。

<どろどろの塊>
この関係者によると、テスラはリチウムとマンガン、ニッケルなどの材料をバインダー(接合材)と混ぜ合わせて金属箔に付着させ、水分を使わずにカソードを製造する工程で壁にぶつかっているという。

関係者のうち2人によると、小規模なパウダー生産では問題は発生しなかったが、テスラが規模の拡大を試みたところ、大量の熱が発生して接合材が溶けてしまったという。
関係者の1人は、テスラは接合材としてポリテトラフルオロエチレン(テフロン)を使用しているとみている。
「接合材が溶ければ、やがて全部がどろどろの塊になる」と、上記の関係者は説明した。
同様に問題となっているのは、金属箔を塗工して電池の電極を生産するための、巨大なローラーが付いた輪転機のような機械だ。

テスラはセルの生産を加速するため、複数の金属箔に高速で同時に電池材料を塗工しようとしている。
これには、巨大な幅広ローラーを使って高圧で材料を金属箔に付着させる必要がある。だが、ローラーが巨大で幅広になると、圧力を均等にかけるのが困難になることが判明したと、複数の関係者は話す。
圧力が均等に加わらないと、電極の表面に凹凸ができたり、厚さが均一ではなくなり、電池セルの電極として使い物にならいため廃棄せざるを得なくなるという。
さらなる問題点も指摘されている。テスラのバグリーノ氏は3月に開催された電池カンファレンスで、塗工に欠陥があるセルを排除できるようにするための新しい品質評価システムをいまだ構築中だと話した。

事情に詳しい関係者の1人によると、これにはテスラの電池開発と製造、そして実際の使用をカバーするデータインフラを構築する必要がある。塗工の欠陥は、使用開始から数カ月後に現れる場合もあるためだ。
この関係者は、テスラはいまだにどのドライ電極が優良で、どれが不適合品かを完璧に見分ける術を持っていない、と指摘した。
以上、ロイター参照

円筒形3元系バッテリー:1865⇒2170⇒4680

パナ社は昨年2月、和歌山工場でテスラ車向けの4680型電池を2023年中に生産開始予定と発表していた。上記のように歩留まりが悪ければ大量生産でも下限領域の生産にとどまる。
上記報道前に、テスラは4680電池の歩留まりで壁にぶつかっているとの報道がなされており、4680はテスラ技術の電池のようだ。
(パナ社にどこまで電池の技術があるのだろうか。テスラは当初、サンヨー電機の充電できるニッカド電池を基に共同研究をスタートさせ、サンヨーを承継したパナ社が引き続きテスラに対応しこん日があり、サンヨーを滅多斬りしたのもパナ社、サンヨーの技術者たちもリストラ対象であった。トヨタと電池の合弁会社を設立して全固体電池開発も視野だったが、現実は既存のHV用電池改良に留まっているようだ)

4680は円筒形の円筒と長さの大きさをいい、これまでの最大となり、出力が大きくなる。角型の韓国勢もテスラの4680の報道を受け、円筒形の4680を開発する発表している。

また、中国では韓国勢の3元系より3割も安く、安全性も高いCATL・BYDのリン酸鉄リチウム電池(LFP電池/高価なコバルト+ニッケル不用)が主流となっている。中国勢はこれまで不可能だった航続距離を大きく伸ばしたことから、韓国勢も挙ってLFP電池を開発すると発表していた。

CATLによると、世界初の4C急速充電が可能なリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池「神行超充電池」を搭載する電気自動車(EV)は、10分の充電で400キロ走行が可能で、充電満タンでの航続距離も700キロを超える。
(LFP電池の進化:18年150k⇒19年250k⇒21年400k⇒23年700k)。
GMは、米中貿易戦争の最中、米進出が実質不可能なCATLと組み、LFP電池のライセンス生産をすると発表している。当電池はすでにベンツが搭載しており、GMは最新の「神行超充電池」を生産する可能性もある。

とにかく、韓国勢は忙しい。しかし、その行動力は目を見張る。韓国勢はチャレンジすることで技術の蓄積は確実に進化し続けている。
EV電池市場の先には全固体電池が控えている。
しかし高そう。ここでも歩留まりの問題を抱えている。

3元系バッテリーの価格は、車両価格の25%~40%に達する。
搭載量が多ければ長距離走行が可能となるが、車両価格も高くなる。
LFP電池搭載での車両販売価格は3元系LIB電池搭載より大幅に安くなる。
ただ、バッテリーのメーカー保証は8年・16万k、
現行1年落ちEV中古は新車の30%引き、
内燃機車の1年落ち中古では新車価格の5%引き・・・米国での2023年11月の実勢価格。
EVを乗り換える場合のEVの下取価格は車歴以上に未知数。
米国では、EVの中古車市場はまだ確立していない。


スクロール→

中国 1~11月のEVとPHVの生産と販売

注、工場出荷台数であり総生産・販売台数ではない

 

国内向け生産台数

国内販売台数

 

/万台

前年比

/万台

前年比

EV

589.3

21.1%

586.0

23.6%

PHV

252.8

81.4%

243.9

83.5%

1~11月の輸出(対象全車種)

台数

441.2

58.4%

 

 

うち

乗用車

商用車

 

372.0

65.1%

69.2

29.8%

             

 

[ 2023年12月28日 ]

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