天井厚30cmが3cmの杜撰トンネル工事 地場NO.1浅川組+田沢組JV 和歌山県
日本の品質基準の現実がダイハツや八郎山トンネル工事で再び火を噴いている。
和歌山県が2020年9月に発注した八郎山トンネル工事は昨年9月完成、その後は今年12月供用開始予定で照明など内装工事に入っていた。
昨年12月、天井ランプの照明工事会社が、ランプを取り付けるべく、アンカーを打ち込んでいたところ、覆工コンクリートの天井厚が異常に薄く、突き抜けたことから極薄天井が発覚した。
県が検査した結果、天井等覆工コンクリート壁厚は30cm指定のところ、ひどいところでは3cmしかなく、また、天井はほとんど空洞状態であることも判明、全体でも8割方壁厚不足が判明した。
覆工コンクリは型枠内に規定品質のコンクリを打設し空洞がないように打ち込むことが必要であるが、空洞だらけだった。
トンネルは掘削した肌面は厚い吹き付けコンクリで表面を固め、下部は肉厚のインバートコンクリを打ち込む。
トンネル内天井と掘削した岩肌への吹付コンクリとの境に隙間がないように打設する必要があるが、空洞だらけだったというもの。
さらに、補強の鉄筋・鋼材約700本の大半も設計図面よりズレて設置、覆工コンクリート壁の安全強度が保てないとして、県は当トンネル工事を全面的にやり直すことを決定した。
供用開始は2年遅れるという。
当トンネル工事の道路は、海岸線を走る国道42号線が津波や地震で通行止めになったときを想定し、山側の道路を改良するためのトンネル工事で、南海トラフ地震を想定したもの。そのトンネルが3cmの天井コンクリ厚では、日常の少し大きめの地震でも天井落下、通行止め、何のための避難用・迂回用道路なのか意味をなさないものになる。
紀伊半島には東西に中央構造体が走り、地震が多い地域でもあり、さらに太平洋側の南海トラフは過去に巨大地震を何回も発生させている。
特に淺川組は和歌山県№1の建設工事会社であり、工事の信用は折り紙付のはずだが、会社は社内の現場検査もせず、現場任せっきり、現場に従事した社員たち(所長や監督・工事主任たち等)からの声もなかったようだ。
今回の問題では和歌山県の建築課も杜撰、136回の検査が必要される工事でなんと6回で済まされていたという。
県は6回しか検査報告がないにもかかわらず、検査報告を要請もせず、途中で抜き打ち現場検査もせず放置、杜撰な馴れ合いがこうした問題を引き起こしたと見られる。
今回は多くの問題をもたらしており、少なくとも「現場所長」と履工コンクリ工事と鉄筋鋼材工事の「監督」、および、履工コンクリ工事・鉄筋鋼材工事の実施の「下請工事会社」が行った過去の施工現場をすべて再検査する必要があるのではなかろうか。
指名停止の3社は和歌山県では中堅以上の建設工事会社であり、リストアップして対象現場を抜き打ち検査する必要があるのではなかろうか。
当然検査にかかわる費用は当該の3社が負担することになる。
平気で虚偽記載する神経は建設人としての適正が疑われる。
和歌山県が発注したトンネル工事での不良工事、虚偽記載事案。近畿整備局は関係ないとばかりに指名停止措置などは行っていない。淺川組は国交省の入札工事には従来どおり参加できる。
淺川組はこうした問題を受け、外部も入れた調査委員会を発足させ、原因を調査すると発表している。
スクロール→
発注者 |
和歌山県 |
工事名 |
長井古座線(仮称:八郎山トンネル)道路改良工事 |
トンネル全長:711メートル |
|
工期 |
2020年9月30日~2022年9月19日まで |
工事場所 |
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町中里外地内 和歌山県串本町-那智勝浦町間の新設県道。 |
入札日 |
2020年7月14日. |
契約日 |
2020年9月29日 |
落札会社 |
淺川・堀特定建設工事共同企業体 |
落札金額 |
1,968,120,000円(予定価格の95.3%) |
予定価格 |
2,065,077,000円 |
工事概要 |
NATM工法に基づくトンネル工事、補助工法一式 |
淺川・堀特定建設工事共同企業体が受注
⇒淺川組・堀組がJV割合に基づき実質施工
⇒下請工事で川合組が一部を両者もしくは1社から受注し施工
和歌山県発注のトンネル工事は和歌山市にある「淺川組」と田辺市の「堀組」の共同事業体(JV)が受注。
和歌山県によると、JVは完成後、「覆工コンクリートの厚さは設計以上に確保されていた」という内容の書類を提出。しかし、県の聞き取りに「検査で薄いことは把握していた」と回答したといい、書類を設計値以上に書き換えたことを認めた」という。(和歌山県に建設の知識があるならば、生コンの打設量はどれほどだったか、報告させていれば逆算して極薄覆工コンクリが想定されていた。工事の進捗でこうした調査報告は現場写真も添え報告させる義務が、県の建設課もしくは土木課にはある。県が義務を完全に放棄し、不成工事を最初から最後までさせた和歌山県の責任は重い。今や外注ばかりで技術者がいなくなった官庁、知識元クソもない。
↓和歌山県は今年7月26日、(株)淺川組に対して6ヶ月間の指名停止措置を発令した。
スクロール→
(株)淺川組 |
|||
財務・業績内容 2022年5月期/千円 |
|||
流動資産 |
26,714,124 |
流動負債 |
7,588,220 |
|
|
固定負債 |
183,461 |
固定資産 |
1,812,321 |
自己資本 |
20,754,764 |
|
|
うち資本金 |
300,000 |
総資産 |
28,526,445 |
総資本 |
28,526,445 |
売上高 |
粗利益 |
経常利益 |
自己資本率 |
29,474,820 |
3,574,435 |
2,516,101 |
68.5% |
事業:建築工事業(60%)、土木工事業(36%)ほか |
|||
所在地:和歌山市小松原通3-69 |
|||
代表取締役:西口伸 |
|||
同本社地には、淺川道路(株)(売上高12億円/2023/5期)もある。 |
|||
また、アサカワリフォーム(株)(売上高12億円/2023/3期)もある。 |
↓和歌山県は今年7月26日、(株)堀組に対して6ヶ月間の指名停止措置を発令した。
施工不良と虚偽記載
スクロール→
(株)堀組 |
|||
財務・業績内容 2023年5月期/千円 |
|||
流動資産 |
845,248 |
流動負債 |
443,085 |
|
|
固定負債 |
487,225 |
固定資産 |
284,863 |
自己資本 |
199,800 |
|
|
うち資本金 |
50,000 |
総資産 |
1,130,111 |
総資本 |
1,130,111 |
売上高 |
粗利益 |
経常利益 |
自己資本率 |
2,081,825 |
127,075 |
17,765 |
17.6% |
事業:土木工事業 |
|||
所在地:和歌山県田辺市南新万1-2-106 |
|||
代表取締役:堀孝任 |
↓和歌山県は今年8月28日、川合組に対して3ヶ月間の指名停止措置を発令した。
八郎山トンネル工事 一次下請工事会社として指名停止を受けている。
スクロール→
(株)川合組 |
|||
財務・業績内容 2023年6月期/千円 |
|||
流動資産 |
517,238 |
流動負債 |
154,666 |
|
|
固定負債 |
119,000 |
固定資産 |
142,928 |
自己資本 |
386,500 |
|
|
うち資本金 |
30,000 |
総資産 |
660,166 |
総資本 |
660,166 |
売上高 |
粗利益 |
経常利益 |
自己資本率 |
768,119 |
111,788 |
7,959 |
58.5% |
事業:土木工事業 |
|||
所在地:和歌山県新宮市新町2-1-10 |
|||
代表取締役:川合啓介 |