アイコン 米商業不動産崩壊の余波 世界を駆け巡る


米国では、今般の新コロナ事態下でホームワークが一般化、ウィズコロナ時代になっても戻らず、すでに多くの大企業が事務所を縮小し、オフィスがガラガラ状態となっている。

この間、シスコではツイッター(X)社が賃借面積を半減させ、スタートアップ企業に出資していた銀行も倒産、多くの新興企業がスポンサーとなっていた銀行を失いオフィスはガラガラの筆頭格に上げられている。
しかし、こうした新興企業の動向だけ問題ではなく、新コロナでホームワークが定着、新コロナで経営に打撃を受けた企業からオフィスを減らす動きに転じ、打撃を受けなかった企業もホームワークが定着し、賃借面積を減少させている。

昨年4月シリコンバレー銀行が破綻した当時から、次は商業不動産会社の社債を証券化している投資ファンドが危険だと言われていた。そして次には商業不動産会社に融資している金融機関や投資ファンドの不動産会社の社債等で組成した投資証券を買い込んでいる機関投資家が危険だとも指摘されていた。
それが現実になってきている。
米国でのオフィス空き室率は20%とも言われ、事業のメッカ=マンハッタンでも15%が空いているという。

 

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1月31日、ニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)が、黒字決算予想が一転して赤字になると発表し、1日の株価が38%下落した。
また、日本のあおぞら銀行も黒字予想から一転赤字に、大幅に株価を下落させている。
あおぞら銀行は米不動産会社への融資額が約25億ドル、うちオフィス用向けが75%前後。当然、不動産会社への貸付は金利が高く、また社債も高配当の利回りを保証していることから、貸付が嵩んでいる。しかし、元利金の返済ができない実質破綻状態のオフィス向け不動産会社が増加しており、こうした危機が到来している。


<過熱化のダウ平均、冷や水はオフィス用不動産と金利高止まり因子の増加>
市場最高値のNYダウも商業不動産融資の銀行の赤字に相場が崩れ、またこれまで早期金利下げ期待から値上がりしていた株価が、足下の就業者増、賃金増のデータ発表に2月5日の株価も下げている。
原油価格もイスラエルGAZA戦争の紅海問題と
バイデン政権はインフレ策の投資(Chips法+IRA法+戦争特需)をし続け、一方、FRBは金利政策によるインフレ抑制策を進め、両者の激しい戦いとなっている。
現在、計画されているChips法+IRA法による巨大工場は米国各地で2024年から2027年までに徐々に完成してくる。こうした投資は建設から設備へも拡大しており、サプライチェーンの進出も含め、膨大な労働者の需要をもたらし続けることになる。

戦争特需も予算の主体は兵器供与、米国だけでは足りず韓国の155ミリ砲弾メーカーも超繁忙期に入っている。
こうした状況からの弊害は、一部の産業は拡大、しかし、全体が相乗効果で恩恵に授かるものではなく、労働者数の需要拡大は賃金増をもたらし経営を圧迫、一方で商品購入需要増によりインフレをもたらす。
インフレ抑制策を金利政策だけでコントロールするには限界があり、総合的な加熱対策が必要となっている。
米国には世界から投資・投機資金が集まり、一時的な動揺はあっても大局には影響しない。米証券・債権は円が買い支えてもいる。岸田政権のNISA枠拡大は大量のドル債権買い=円売り・ドル買いを演出しており、最近の円安の元凶となっている。日本のマイナス金利は続き、米国は金利が高く、当然、高い金利の米債権買いに流れるのは当然の事でもある。そうした動きを日銀の植田氏は指を咥えていつまでも眺めている。米為替投機筋は日銀のこうした動きに安心して円売りドル買いに走っている。
物価上昇は続く。物価は1年で一巡しようが、前年同月比から上昇率は下がっているものの、新コロナ前から比べれば、この間、給与は僅かしか上がっておらず、物価だけは20~23年までの4年間が十数パーセント上昇し、それも現在も上昇し続けている。

 

NYCB

あおぞら

2024

ドル

1/30.

10.38

3,214

1/31.

6.47

3,257

2/1.

5.75

2,557

2/2.

6.04

2,150

2/5.

5.47

2,257

<米国>
米国は就業者数の増加が続き、過去最高水準にあり賃貸住宅の不動産は上昇が続いている。問題は新コロナ下からホームワークが経営側にも労働側にも定着しているオフィスにあり、オフィスビルは全土でガラガラ状態、オフィス用不動産会社は家賃収入が入らず、苦境に立たされている。稼働率80%ではオフィス不動産会社は膨大な借り入れ残、元利金の弁済、社債の償還が困難となってきている。

<韓国>
韓国は住宅用不動産が崩壊しかかっており、経済が回復しない限り多くを見込めない。それに不動産回復は証券か仮想通貨が上昇することも前提となっている。ただ、一方通行の国民性であり、何かのきっかけしだいでは回復する可能性はある。日本で言う億ションはソウル首都圏だけではなく、全土の主要都市で高価格になっており、国民の不満も大きくなっていた。住宅不動産価格の高騰は、見てくれにこだわる国民性ゆえ、成婚率、出生率にも影響しており、長期的に見れば、住宅価格が暴落すれば少子化問題が幾分か解消される可能性もある。
韓国の合計特殊出生数(15~49歳の女性の一生の出生数)は0.72人・・・世界一低い

<中国>
中国は習近平氏の共同富裕論に基づく不動産会社に対する3条紅線であり、不動産開発会社に対する融資を締め付けたために生じており、規制が緩和されても主に購入側の緩和であり、不動産開発会社に対する厳しい融資政策に変化はない。特に民間住宅開発会社のダメージは大きい。国家政策で不動産バブルを崩壊させてやり、今になって少々梃入れしても崩壊の大局に変化はない。
指数を詐欺して好況に転化させることは可能かもしれないが、民間も各種経済指数を調査発表しており整合性がなければならず、気分転換政策は無理。

中国の総就業者数も2022年は2014年から3000万人も減少、2019年からしても2000万人減少している。少子高齢化で住宅需要層の減少は続く。
住宅の碧桂園のほか、住宅+商業不動産開発の恒大、商業不動産の万達に見られるように、住宅もオフィスも苦境に立たされており、欧州経済が回復しない限り、中国経済の回復余地は少ない。米国へは25%関税が障壁となっており、すでに多くの中国企業や中国進出の外資企業が、生産拠点をベトナムなど東南アジアに移転させ、中国国内の生産の伸率低迷の原因となってきている。
来年の1月21日にトランプ大統領が誕生していれば、同氏は対中関税を60%にするとしており、例え40%になったとしても中国経済は苦境に立たされる。

日本も少子高齢化で住宅ニーズは減少が続き、住宅産業などすでに萎縮し続けている。

[ 2024年2月 6日 ]

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