アイコン 中国 4大都市でも不動産価格暴落 北京・上海だけで売残34万戸


中国では、年末年始の北京、上海など中国の大都市でマンションの売買価格や賃料が大幅に下落したというニュースが相次いでいる。

中国政府が住宅購入規制を緩和するなど下落を防ごうと躍起になっているが、状況は一向に好転しそうにはない。

過去2年間、恒大集団、碧桂園など大手不動産開発業者が債務危機に苦しんできたが、中国を代表する大都市のマンション価格は大きく崩れることはなかった。
しかし、昨年10月からは北京、上海、深圳、広州などいわゆる「一線都市」のマンション価格が大幅に下がり、不動産バブル崩壊が本格化するのではないかという見方が出ている。

 北京、上海など中国の大都市では売れ残りが積み上がり、買い手がいないために取引が急減しているという。不動産価格下落期の典型的な現象とみられている。
海外の投資銀行は、不動産危機の悪化とそれによる消費低迷によって、今年の中国の経済成長率が4%台半ばまで低下すると予想している。

 

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スクロール→

中国のGDP推移

 

/兆元

年成長率

単純2年平均

2010

40.8

10.6

10.1

2011

48.4

9.6

2012

53.9

7.9

7.8

2013

59.6

7.8

2014

64.6

7.4

7.2

2015

69.2

7.0

2016

74.5

6.8

6.8

2017

82.9

6.9

2018

91.5

6.7

6.3

2019

99.0

6.0

2020

102.5

2.2

5.2

2021

114.5

8.1

2022

120.5

3.0

4.1

2023年(見込み)

125.3

5.2

 23/10年比

3

 

 

2024年予

 

4.0

 

・GDPの額は世銀公表値採用、公表成長率と額は一致しない。

 (参考:日本の2010年のGDPは505兆円(名目)/2022年は557兆円:12年間での経済成長率は10.3%増。ドル換算値は岸田政権の超円安政策により、2010年は5.75兆ドル、2022年も2023年も4.23兆ドルと大暴落、国際比較する場合はドル換算値であり、ドル高に対してユーロの金利高で対応したドイツにGDPの3位の地位を明け渡した。結果、ドルで見た場合、12年間で日本の経済成長は▲24.5%減少したことになる)

★不動産下落は昨年後半から
 中国紙・第一財経日報は1月10日、大都市での住宅賃料下落で大家が黙っていても稼げる時代は過ぎ去ったと報じた。

上海・浦東の金融街から2キロ離れたところにある面積50平方メートルのマンションは、賃料を6500人民元(約13.2万円)から5500人民元へと▲15%以上引き下げたが、1ヶ月以上たっても引き合いがないという。
同紙は
☆「人口減少による需要低迷」、
☆「マンション価格の下落などで賃料が下落傾向」
☆「他地域が下落しても堅調だった4大都市でも賃料が(経済低迷から)急落している」
と指摘した。

シンガポール華字紙・聯合早報も1月1日、「中国の大都市で住宅賃貸市場が厳冬期に入った」と報じた。
シンガポールに橋でつながるマレーシア側の島にある、中国・碧桂園が12~15兆円注ぎ込んだ超高層マンション群のフォレストタウンがあるが、インフラも未整備でゴーストタウン化している。

中国国家統計局の統計をよれば、大都市の住宅価格は昨年10月から下落傾向にある。
調査対象の全国主要70都市のうち67都市で中古住宅価格が下がった。
昨年11月に北京、上海、広州、深圳の4大都市の中古住宅価格は、10月に比べ1.0~1.5%下落した。
 市場では、実際の不動産価格がさらに大幅に下落しているとみている。政府の公式統計数値は現実を的確に反映していないと見ている。
 
★希望価格は高いが成約せず
中国の 時事週刊誌「三聯生活周刊」は昨年11月17日、上海の一部のマンション地区では2年前に比べ相場が▲30%も下落し、深圳では最高値に比べ半額にまで下がったマンションもあるとし、「政府統計にはそんな価格下落傾向がまともに反映されていない」と分析した。
北京市内で優秀な学区として知られる西城区徳勝地区のマンションはかつて1平方メートル当たり価格が20万元まで上昇したが、現在は14万元程度で▲30%下落したという。

中国経営報によると、上海で富裕層が多い古北地区の高級マンション10~17%下落した。三聯生活周刊は「売却希望価格は依然として高いが、実際に取引が成立しない状況だ。大幅に値引きをしなけれぱ取引は成立しない」と指摘している。
 
海外メディアの見方も同様。英フィナンシャルタイムズは昨年12月21日、「中国政府は北京の住宅市場が堅調だとしているが、現地の仲介業者によると、マンションを売ろうとする人々が攻撃的に価格を下げている」と報じた。
同紙が北京の不動産仲介業者20社余りを調査した結果、マンション売買価格は場所によって、2021年のピーク時に比べ▲10%~▲30%下落したとしている。

■上海一等地でも新築物件売れ残り
 中国政府は大都市でのマンション価格下落を防ぐため、昨年9月に大規模な規制緩和を行った。住宅担保ローンを利用する際、頭金の支払額を時に購入価格の60~80%から30~40%へと大幅に引き下げたほか、過去にマンションを購入した履歴があっても、現在、保有していなければ、初めて住宅を購入するケースと同様の優遇を行うことにした。不動産市場の過熱を防ぐために導入したさまざまな規制を解除している。
それでも状況は好転する気配はない。
不動産市場は売却物件で溢れている。
北京市の売れ残りマンション物件は昨年末時点で16万戸で、22年末に比べ2倍以上に増えたという。
上海では18万戸を超えている。買い手がつかないため、マンションを処分するには上海で10ヶ月、北京では2年かかるという。
 
マンション競売の不成立、売れ残りも珍しくなくなっている。昨年11月初めに上海・浦東地区の中心街で分譲された複合開発物件「世紀前灘天滙」は258戸が発売されたのに対し、成約したのは150戸で、成約率は58%にとどまっていた。昨年10月、裁判所の競売にかけられた杭州市のあるマンションは3回も流札となり、入札価格が半分に下がっても買い手が付かないという。

★今年の中国成長率は4%台に低下見通し
 日経新聞が昨年12月末、世界的な投資銀行や分析機関の専門家25人を対象に調査したところ、中国の今年の経済成長率の平均予測値は4.6%だった。
2023年の成長率予測値(5.2%)をさらに下回ると予測されている。
専門家の多くが不動産価格の下落、消費心理の冷え込みなどを理由に挙げている。
 
 中国は不動産とその関連産業が国内総生産(GDP)に占める割合が25%に達する。
家庭の資産で住宅が占める割合は70%にもなるとされている。
不動産が低迷すれば消費が影響を受けるのは必至。
 それもこれも3期目を狙った習近平主席の「共同富裕論」⇒不動産開発会社に対する「3条紅線」は、経済原理ド素人集団の習体制の側近たちにより、経済環境が悪化している中で講じられ続けており、そのダメージは計り知れなくなる可能性もある。
 
経済が活況ならば、青年失業率は低下しようが、昨年6月21%を記録した後、公表さえストップ、大都市で賃貸アパートが空き、賃料が下落していることからも、それを裏付けている。スマホも売れていない(2023年第4四半期は前年同期比▲7.2%減の7515万台)。
深センでも不動産価格が半額のところも出始めているという。同市はIT製品製造業が集積しており、輸出や国内向けの電子製品の売上高が低迷していることを窺わせている。


 

[ 2024年1月23日 ]

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