アイコン 韓国 新コロナ+消費不況で自営業者大幅減


韓国統計庁の経済活動人口調査で4月の自営業者数が、前年同月比で▲1.6%減、▲9.4万千人減少した。一方、全産業の就業者数は26.1万人増加している。

自営業者が前年同月比で減少傾向を示し始めたのは
2月の▲2.1万人からで、
3月に▲3.6万人の減少後、
4月に入ってからは▲9.4万人減と減少幅がさらに大きくなった。

自営業者には従業員を雇用して仕事をする自営業主と、従業員を雇わず一人で働く生計型自営業者がいる。
4月の全国統計では1人事業の生計型自営業者が▲9.4万人減少したことが分かった。
ソウルの場合、
従業員のいる自営業主が▲2.5万人、従業員のいない生計型自営業者が▲2.8万人減り、合わせて5.3万人減少している。

 

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■海外サイトからの直接購入が人気を集める理由
 物価上昇分ほど賃金が上がらず、実質所得が減った家計が多くなれば、内需消費の不振につながる。
家計消費に売上を依存する多くの自営業者はその余波を避けて通れない。
自営業者の4人に1人の割合で従事する卸・小売業は、4月の就業者数が昨年同月で▲1.2%減、▲3万9千人減少した。
 2021年から始まった物価高騰は「コストパフォーマンス(コスパ)」を重視する消費を煽っている。
海外サイトからの直接購入がさらに多くなっている。
関税庁の集計によると、2020年には6357万件だった海外サイトからの直接購入(電子商取引物品通関)件数が、2023年にはその倍を越える1億3144万件に増えている。
品物の値段が安い中国のサイトから直接購入するケースが特に爆発的に増え、昨年には全体の68%を占めた。

コスパの高い品目を主に販売するダイソーは、昨年の売上高が3兆4605億ウォン(約3930億円)に達したが、これは前年比で17.5%も増えた。
 家計が消費支出で何を減らしているかは、家計動向調査で見ることができる。

第1四半期の都市での家計消費支出を見ると、
●自動車やその他の運送器具の購入を大幅に減らし、全体の交通費支出が▲3.3%減。
●通信装備の支出も▲7%減、
○携帯通信の通信サービスの支出は0.5%増加に抑制。
●運動・娯楽サービスは▲2.2%減、
●文化サービスは▲13%減、
●塾・補習教育費も▲1.8%減。
○食料品と外食の物価が大幅に上がる中、食事費支出は5.7%増加。価格上昇によるやむを得ない支出の増加とみられる。

 韓国金融委員会が5月28日に出した「庶民・自営業者支援案作りに向けたタスクフォース(TF)第1回会議」の資料によれば、
個人事業者のカード売上が昨年4月から引き続き対前年同月比で減少傾向を示している。金融委員会は昨年、個人事業者の廃業率が9.5%で、前年比で0.8ポイント高くなり、廃業者数は11.1万人増の91.1万人に達したと発表した。

家計所得の不振などマクロ的不確実性と共に、安価なオンラインショッピングの増加など構造的変化により脆弱層がさらに追い込まれている状況となっている。
 自営業者たちは卸・小売業の他に飲食業、運輸業、修理およびその他の個人サービス業に多く従事する。

新コロナで生活に変化
カラオケはコロナ禍の中で打撃が大きかった業種。コロナ禍が長引くにつれ、人々の生活パターンに大きな変化が生まれた。飲み会が減り、夜遅くまで飲んだり食べたりすることが大幅に減った。コロナ禍以降も、カラオケには活気が戻っていない。

■「ローンの返済のため廃業もできない」
 消費者も出費が苦しく、サービスを供給する自営業者も苦しい代表的な業種が飲食店業だ。キムチチゲ、定食など39品目で構成された「外食」物価は、4月までのここ3年間で18%も跳ね上がった。同期間中の全体の消費者物価上昇率11.8%を大幅に上回る。
消費者は価格が高くなり過ぎて苦しく、値上げした自営業者もまた売上不振で苦しいのは同じだ。
飲食店は、コロナ禍の時も苦しかったが、政府の支援で持ちこたえてきた。しかし、今は食材価格が高騰し、電気料金や燃料費などの上昇で固定費が大幅に増えたが、値上げで客足が遠のいたうえ、生活習慣の変化で夜9時を過ぎると客がほとんどいなくなり、営業を続けても商売にならなくなっている。さらに、材料費の値上がりが続き、ここで値段をもっと上げたら客が減って損失がさらに大きくなる段階に入り、自営業の中で最も危険な状況に直面しているのが飲食店となっている。
 韓国地域情報開発院は、地方行政許認可データを公開している。
ここには現在営業中の店とこれまで廃業した店のリストがある。
ソウルの一般飲食店の現況を分析してみると、コロナ禍以降、飲食店業が被った打撃を確認することができる。
ソウルの一般飲食店は2020年以降、毎年1万軒以上が廃業している。
2020年には1万1633軒、
2021年には1万3040軒
2022年には1万2905軒、
2023年には1万4642軒(廃業率11.5%)
の廃業している。
昨年末、ソウルの一般飲食店は12万5727軒だった。
今年に入っては4月までに5248軒廃業したが、これは昨年同期の4636件に比べ13.2%も増えた廃業件数となっている。
このような傾向が続けば、今年の年間廃業件数は1万5000軒を上回ることになる。廃業率は12.5%になり、8軒のうち1軒が廃業する見通し。

コロナ禍の初年度だった2020年以降、ソウルの一般飲食店は廃業が開業より多く、
2020年は4,022軒、
2021年は4,404軒、
2022年に3,293軒、
2023年は2,113軒
が純減した。
今年に入って4月までに689軒の減少を含め、コロナ禍以降1万4521軒が純減している。
 
コロナ惨禍では、自営業者に元利金返済の猶予など積極的な金融支援が行われた。今は元利金を返済しなければならないが、金利が大きく跳ね上がり、利子負担が少なくない。
3月末基準で、5大市中銀行で1ヶ月以上の延滞がある個人事業者の借入額は1兆3560億ウォン(約1540億円)で、昨年3月末に比べ37.4%も急増している。同期間、5大銀行の平均延滞率は0.31%から0.42%に上昇している。
赤字のために廃業したくても商店街賃貸契約が残っているためそれもままならず、廃業をすれば、借入金を直ちに返済しなければならないがそれができず、ぎりぎりで商売を続けている人が多い状態となっている。
2022年3月、露制裁後、続いている高物価・高金利と実質賃金減少が問題の根源であることを考えると、「金融」が妙策になることを期待するのは難しく、実質賃金を上昇させるしかないが、企業の景気は、半導体と自動車は輸出中心に上向いているものの、ほかは停滞しており、賃金を大幅に上昇させる環境にない。企業もまた高金利に経営負担が増している。
以上、

こうした中、5大銀行の家計向け融資は大幅に増加している。これまで不動産価格が下がり、最近は手頃感からソウル都市圏の不動産取引件数が大幅に上昇しているもので、こうした事態が続けば、再び、不動産価格は上昇に転じよう(マンション価格+マンションチョンセ価格)。
若者の仮想通貨投資の多い韓国、こうしたマンションの買付増は、仮想通過の大幅上昇を経、連れて不動産取引が活発化しているものと見られる。
BTC相場・・・23年12末は42,278ドル⇒24年5月末は67,548ドル、上昇率は59.7%。

 

↓韓国の自動車販売台数の月別推移(消費のバロメーターの一つ)
 今年は1~5月までで前年比で▲約11%減少している。


スクロール→

韓国

/千台 

24年

23

22

21

23/22

24/23

1

102

100

94

116

6.4%

2.0%

2

99

125

103

101

21.4%

-20.8%

3

120

140

111

141

26.1%

-14.3%

4

118

128

119

135

7.6%

-7.8%

5

116

130

119

124

9.2%

-10.8%

6

 

133

121

134

9.9%

 

7

 

114

122

123

-6.6%

 

8

 

106

105

106

1.0%

 

9

 

106

113

91

-6.2%

 

10

 

117

120

106

-2.5%

 

11

 

132

127

123

3.9%

 

12

 

114

131

129

-13.0%

 

年計

555

1,449

1,388

1,434

 

 

前年比

-10.9%

4.6%

-3.1%

-10.8%

4.6%

-10.9%

 

韓国 小売販売高 前年同月比

 

20

21

22

23

24.

1

3.1

0.1

5.3

-1.7

-3.3

2

-0.9

8.2

0.3

0.4

1.1

3

-7.8

11.0

2.2

0.1

-2.7

4

-2.5

8.8

0.5

-1.4

 

5

1.1

3.6

0.6

-0.6

 

6

5.1

2.4

-1.5

1.5

 

7

0.2

8.3

-2.2

-1.7

 

8

0.7

4.2

1.9

-4.7

 

9

5.3

4.0

-2.5

-2.0

 

10

-0.8

8.6

-1.5

-4.4

 

11

-2.1

4.8

-2.3

-0.1

 

12

-2.0

6.4

-3.1

-0.7

 

 

[ 2024年6月 6日 ]

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