アイコン 欧州のEVバッテリーの旗手ノースボルト1600人削減 リストラ


電気自動車(EV)のバッテリーを手がけるスウェーデンの新興電池メーカー、ノースボルトは23日、国内の約1600人を削減すると発表した。世界的なEVの販売失速の影響とみられる。
EVは充電インフラの整備遅れや一部の国での購入補助金打ち切りを受け、販売が鈍っている。ノースボルトは今月9日、リストラ実施の方針を発表していたが、規模は明らかにしていなかった。
ノースボルトは独自展開のEV用バッテリー工場とVWなどと合弁での工場を有している。
欧州でも韓国勢がハンガリーやポーランドにEV用バッテリー工場を持ち、欧州のEV車 向けに製造している。
以上、

ノースボルトについては、急速なEV販売の低迷から、先行投資の工場が回らなくなり、スウェーデン政府が救済出資すると見込まれていた。しかし、ス政府は救済出資しないことを今9月決定している。工場はスウェーデン国内やドイツに設け、国内ではボルボとの合弁工場、家具工場跡地進出、カナダやドイツ北部に自社工場を進出させる計画を今春までに発表していた。

 

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22年はEV元年、23年には米国も補助金参戦して急激に販売台数を伸ばしたが、
① 政府補助金を考慮しても高価なこと、
② 補助金を一部欧州国では廃止していること、
③ 短時間の高電圧急速充電整備も含めた充電インフラ整備が未整備なこと、
④ バッテリーの耐用年数=保証期間が8年・16万キロと短く中古車価格が安価なこと
などが嫌気され、昨年秋から急速に販売台数の伸び率が落ちている。

欧州では安価な中国製EVが販売され、価格競争にもならないことから、欧州は高い関税を設定し、中国製EVの販売を抑止する動きに出ている。
すでに米国では、米中貿易安保戦争の最中でもあり、これまでの25%から100%に自動車関税を引き上げ、実質輸入を停止させている。

 韓国勢は、SKオンはハンガリーに進出し、工場を拡大させている。サムスンSDIもハンガリーにそれ以前から工場進出。LGエナジーはポーランドに製造基地を擁し、欧州包囲網を確立している。そうした中でノースボルトの存在はEC域内で際立っていた。
ただ、韓国勢も含めて、欧州では急激にEV販売が減速しており、その影響はき大きくなっている。
特に韓国勢は向こう見ずに欧米等に工場を多数進出させており、EV販売の失速は大きな痛手となっている。
また、韓国勢の3元系(ノースボルトも同)バッテリーであり、中国勢は3元系より2~3割安価な改LFP電池(改リン酸鉄リチウムイオン電池)で、車両事態を安価に販売できるバッテリーを有しており、その優位性は計り知れなくなっている。
改LFP電池は中国CATLにより2020年に発表され、それまで250キロが限界とされたLFP電池を、製造方法を改造し、400キロまで延ばし最近はそれも走行距離を伸ばし続けており、日常乗車では3元系と何も変わらない次元に達している。3元系が高価なコバルトとニッケルを使用している点で、コバルト・ニッケルフリーのLFP電池であり、安全性も3元系より高く、安全対策コストもLFPは3元系より安価に済む。
中国に対して嫌中が少ない欧州では、先行した韓国勢3社に対して、安価なLFP電池を引き下げて韓国勢とノースボルトに染まった欧州市場が、大きく中国勢に侵食され始めている。中国勢のEVメーカーもEV用バッテリーメーカーも欧州進出をすでに打ち出し、工場建設に入っており、中国のEVメーカーの多くが欧州進出を構想し、欧州勢の先行きは暗いものとなっている。

米国ではフォードがCATLからライセンス供与を受け、米国に工場建設・生産する発表したが、嫌中で昨年9月一旦停止、昨年12月再度2026年を予定してLFP電池を生産するとしたが不透明。
日本のTDKがCATLからライセンス供与を受け米国で工場建設を計画している。当局の認可が下りればGMが購入する基本契約をすでに締結している。生産開始するとしても2026年になると予想される。

LFP電池はコバルトとニッケルを使用せず、リチウムを必要とするが、リチウムは南米から購入するルートがあり、中国製品でも含有鉱石の原産地は米国と豪州であり、さらに米国では桁違いの世界最大のリチウムの露天掘り可能な鉱床がネバダ州マクダーミット・カルデラで見つかっており、認可が下りる可能性が高い。
加州インペリアルバレーでも世界最大級の鉱床が見つかっており、BHEが生産する計画。この鉱床の商業可能性を探る実証プラントをバフェット氏率いる投資会社のエネルギー部門が研究施設を開設している。フォードもTDKも米国内産のリチウムの使用が可能となる。
(急激に増加しているESSでも価格競争力や安全性からしてLFP電池に歩がある)

中国の自動車メーカーの車両は、日米欧の自動車メーカーが挙って長期間、技術提供してきており、中国の大手メーカーの車両の性能は決して侮れない。

3元系バッテリーで最高の技術を持つとされるLGエナジー、2021年から改LFP電池の開発に当たっているが、いまだ開発できていない。2020年のGMシボレーボルトEV火災(リコール15万台)の原因でも、搭載したLGエナジー社や韓国技術院では見つけられず、GMが原因を見つけ、現代自搭載分(コナEV8.2万台/世界販売)も含めて対策が遅れた経緯もある。

国際エネルギー機関(IEA)によると、世界の新エネ車(EV+PHV+FCV)の2023年時点で18%に達している。
2020年4.2%、
2021年9%、
2020年14%、
2023年18%と上昇を続けている。
欧州では2023年には5台に1台の新エネ車販売で25%に達していた。

2023年の新エネ車販売1400万台のうち、
中国が60%、
欧州が25%(23年販売総数は前年比13・7%増の1284万7481台)
米国が10%
と当3地域で95%に達している。
ただ、2023年にドイツは購入補助金を打ち切り、22年の83万台から70万台に減少している。

欧米は金利を下げてきているが、これはインフレ退治の金利高で景気が悪化し、インフレが沈静化したものであり、欧州では元々、22年3月からのウクライナ戦争、露制裁により欧州ではエネルギーコストが暴騰して家計を直撃、新コロナ不況も重なり景気が悪化する中での景気悪、さらなる金利高での景気悪と続き、いくら環境に良いと宣伝しても新エネ車が買い求められ続ける消費環境にはない。

諸悪の根源は米国にあり、それもバイデンの2021年の大統領就任祝いの1.9兆ドル(名目は新コロナ経済対策)の政府投資にあり、この投資により好景気に浮かれ、資源や穀物などが一斉に値上げ、世界で高騰させ、2022年3月の露制裁前の2月にはすでにインフレ率が7.9%に達していた。
米国もインフレが沈静化したとして今9月50bp金利を引き下げ5.0%に下げた。インフレの沈静化は景気悪化の裏返しであり、ソフトランディングの見方が強いが、ハードの可能性も残っている。

日本が米国を買い占めたため米国から言われるがままにバブルを崩壊させた金利の最高が6.0%で1990年11月から91年6月までだった。それから失われた30年が始まった。
米国の今回のインフレ退治の最高金利は5.5%だが、2023年7月から24年9月まで続けられており、景気を沈静化させるためには十分なものの、2件の戦争特需とChips法+IRA法のインフレ促進策との関係で好景気が続き、物価の鎮静化が遅れていた。
以上、

 

[ 2024年9月24日 ]

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