アイコン 欧州委4日の会合で中国製EVに最高45%関税課税へ レアメタル暴落


中国製電気自動車(EV)に対する最大45%の輸入関税案について、フランス、ギリシャ、イタリア、ポーランドの4カ国は10月4日に賛成票を投じると関係筋などが明らかにした。
これらの国はEU人口の39%を占め、欧州連合(EU)欧州委員会の提案可決には十分とみられる。

EUの規則によれば、EU加盟国のうち15ヶ国(加盟27ヶ国)以上、かつEU全人口の65%を占める国々が反対しない限り、欧州委は今後5年間の最終的または「確定的」な関税を課すことができる。

域内最大の経済大国で自動車生産大国でもあるドイツがどちらに票を投じるかは依然として不明。

欧州委によると、中国製EVは、2020年のEU市場のシェアは3.5%だったが、2024年第2・四半期には27.2%まで大きく拡大している。

 

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売上高の約3分の1を中国で得ているドイツの自動車メーカーを筆頭に、EUの自動車業界は総じて関税に反対する姿勢を示している。

ドイツのショルツ首相は2日、中国との協議は継続する必要があると言明。ただ、同国は関税導入を巡る7月の欧州委の議論で採決を棄権しており、今回も同じく棄権に回る可能性が高い。

ドイツのリントナー財務相は2日、「中国との貿易戦争は欧州の主要産業とドイツの重要部門にとって利益よりも損害を多くもたらすだろう」との見解を示した。

また、EU執行部は、関税に代わる措置について中国との交渉を続ける用意があると言及。中国企業が提示する最低輸入価格と数量上限を含む価格協定については、これまで却下してきたが、再検討する可能性があると述べた。

中国製EVへの反補助金調査を実施している欧州委は、4日日に予定されている投票に先立ち、関税の最終案を加盟27カ国に送付している。
以上、

ドイツのグローバル製造超大手の中国進出企業は挙って中国EVに対する関税強化に反対している。中国の報復関税を恐れているものと見られる。

ただ、中国の技術の進化スピードはドイツを凌駕しており、このまま放置すれば、価格競争力からして、中国で製造できるモノはドイツで製造できなくなり、ドイツの産業自体が衰退し続けることになる。その象徴が今回のVWの創業工場の閉鎖だろう。

2018年当時、韓国勢が安価な価格で欧州自動車市場を駆逐、フランスが輸入規制すべきだと欧州委に諮ったが、ドイツが反対しベシャッた経緯がある。

今や中国勢EVの部品部材の国産化率は非常に高く、外資系から購入は減り続けている。当然、2010年代から始まった「中国製造2025(国産国消)」により、中国で製造する製品の部品部材は中国での製造品にしようという国家政策であり、まだ、欧米企業が製造で優位に立っているものは車両用塗料など限られている。
中国勢の強みは外資の技術をパクッても外資は中国政府の報復を恐れて問題にしないことから、当然ながら技術の進化スピードはリニア新幹線並み。また、CATLの改JFP電池製造技術のように、ほかの蓄電池メーカーに対して技術を開示させることから、中国の電池メーカーで瞬く間に改LFP電池を製造できるようになり、BYDのように蓄電池メーカー兼EV・PHVメーカーであり、超安価なEVを製造でき、ほかの中国EVメーカーも競争から安価なEVを販売し販売量の増加で利益を稼ぎ出している。
改LFP電池は、それまで1回充電で250キロが限界だったLFP電池をCATLは製造設計を見直し2020年に400キロ以上走行できる改LFP電池を発表し、2021年から量産している。
この発表を受け、韓国勢のLGエナジーやSKオンは2021年に改LFP電池を自社開発すると発表したものの、いまだ開発されていない。

中国でLFP電池が進化したのは、2017年からのEV補助金の対象を、安全性の高いLFP電池に限定し、3元系の韓国勢3社など中国進出の外資バッテリーメーカーのバッテリーを排除したことにより、その利益の多くが技術開発に当てられ、改LFP電池が開発されたもの。

LFP電池は標準搭載量車)で2017年当時120キロ→150キロ→250キロ(2020年補助金対象)⇒400キロ(改LFP電池、現在はさらに伸びている)
米国へは、中国製改LFP電池(ライセンスCATL)は、米中貿易戦争や米IRA法により輸入規制され、安価なEV販売ができず、販売が急減する原因にもなっている。

韓国勢の3元系より2~3割安価な中国勢の改LFP電池。
標準車/EVの30%以上がバッテリー代、バッテリーに占める材料比率は80%前後。
現在、米国で販売されているEVの全部が韓国勢の3元系バッテリーを搭載。
販売価格を下げるには、レアメタル価格が下がらない限り不可能。
3元系はリチウム+ニッケル+コパルト/改LFP電池はコバルト+ニッケルフリー
ただ、リチウム価格は2022年11月575千CNY/Tだったが、現在は75千CNY/Tまで下がり、2019年当時の価格と変わらなくなっている。南米や豪州での増産によるもの、また、米国では世界最大のリチウム鉱床も発見されている。
そんなこんなでバッテリーの製造価格は大幅に落ちているが、米国では30ド億ドル以上の投資による新工場で生産されており、予定通り販売台数も伸びず、下げるには限度がある。

欧州のこうした動きに中国勢は、EVメーカーもバッテリーメーカーも欧州への製造工場進出を表明し、一部はすでに建設に入っている。中国に甘いドイツやチェコが進出先に選ばれている。
韓国勢は、チェコにSKオンとサムスンSDIが、ポーランドにLGエナジーが進出している。


スクロール→

EV用バッテリー主材料のレアメタルの国際相場 

 

/年月

2019/12.

ピーク

現在24/9.

 

単位

価格

価格

年月

価格

コバルト

USD/T

32,250

82,000

22/3.

24,300

ニッケル

USD/T

13,683

48,226

22/3.

18,221

リチウム

CNY/T

49,500

597,500

22/11.

75,500

 

[ 2024年10月 3日 ]

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