アイコン テスラ 2024年は計画倒れで前期より減少の179万台


テスラは、2023年は180万台と計画通り販売、24年は前年比22.2%増の220万台を設定していたが、2023年より▲1万台あまり少ない179万台だった。

これは世界的なEV販売の減速、中国市場でのBYDほか中国国産勢の台頭により、大票田の米国で苦戦、中国では大バーゲンセールで前年並みとなっている。

この間、リチウムイオン電池材料の価格も大幅に下落したが、同社は販売台数を確保するため度重なる値下げを実施し、営業利益率もこの間、半減、内燃機車メーカーとほぼ同じまで下落し、2022年より半減している。マスク氏は2025年について明るい見通しを示している。
2024年7~9月(第3四半期)決算を公表した10月時点で、来年の納車台数は20~30%増える可能性があるとしている。
しかし、投資アナリストに見方は異なる。
マスク氏の2025年販売見通しについて、「ドル高、規制緩和による国内原油生産の増加、原油価格の下落といった要因が重なり、EV販売には向かい風が吹くと見込まれる」とし、「テスラの自動車販売は横ばい状態になりそうな1年を経て、2025年は10~15%増とガイダンスの半分にとどまるとみている。

 

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トランプ氏の政策方針は、テスラにとって優位とは言い難い。
自動運転車の導入に向けた連邦政府の枠組みは楽観的な材料だが、同社の技術が追い付いているかは定かでない(事故を何回も発生させ一番遅れている)。
中国は、機能的にもすでに一定区間で完全自動運転車(レベル4)による商業運転をさせている中国の技術進化は目覚しい。
トランプ氏の周囲はEV補助金の削減、およびテスラに著しい収入をもたらしている燃料規制や汚染規制の撤回を提言している。
テスラは、排ガス規制の要件順守に苦戦する他のメーカーに対する温暖化ガス排出枠(クレジット)の売却で、2023年には17億9千万ドル(2009年から累計90億ドル取得)も利益計上している。規制をクリアできないトヨタなどにクレジットを強制して購入させるシステムの規制。

また、アナリストは、マスク氏が政治的に環境派が多い左寄りの消費者から距離を置き、EVを購入していないトランプ氏の支持者=共和党支持者を受け入れていることに警戒感を抱いている。環境派にとってEVもGMやベンツなど各社から販売され、テスラを選択する絶対条件は乏しくなり続けている。
また、海外では、中国勢が格安で台頭し、デザインも豊富なことから、もはやテスラの独壇場は消え失せている。

株価だけは、トランプ陣営の参謀となったマスク氏、トランプ効果で株はすっ飛び、高値圏にある。半年前より倍以上値上がりした。しかし、1月2日の2024年の販売台数発表で前年比でマイナスになったことから株価は下げている。
テスラの販売戦略と環境派ではないトランプ氏の政策が反比例することはあっても合致することは乏しい。トランプ氏がマスク氏に同調するのはSNSと仮想通貨だけではないだろうか。

完全自動運転車で巻き返し可能か
同社の自動運転車の実力レベルはカテゴリ-2程度、事故ばかり起こして試験走行が限定されている。
そうした中、昨年12月から自律型AI4搭載の完全自動運転車用ソフトを開発し、月額販売している。一定条件下で完全自動運転車だが、人が常に補助することを前提としている。しかし、ほとんどの利用者が一定条件化外の一般道でもこの機能を作動させ、運転手は補助的に付いているだけで、疲労などを大幅に軽減させているという。特に深夜などは一般道で完全自動運転状態だという。
事故が発生した場合、一定条件下以外は自己責任になるが、ユーザーは高い金を支払っており、一定条件外でも楽チンな自動運転を優先させているという。

テスラの野望は、AIソフトウェア=プラットフォームを自動車メーカーへ販売する計画だとされ、まずは自社のロボタクシーを運行させる。グローバル自動運転車ソフト市場規模は、2024年260億ドルから2032年1396億ドルへと、年平均23.4%成長する見通しだという。
GMは傘下の「クルーズ」がロボタクシー事業から撤退、フォードとVWは自動運転技術社の「アルゴAI」への追加投資を断念し、閉鎖清算することを決定している。
テスラが成功すれば膨大な市場が約束されることになる。

<トランプ氏とテスラ株>
自動運転の規制につき大幅緩和を打ち出しているトランプ氏、マスク氏は乗じる作戦。
ただ、大きな事故が起きれば一発で規制緩和は後退することになる。カルフォルニア州で試験走行の認可が取り消されたのは、不規則に近づいてきた救急車を認識できなかった。車両と自転車が接触、車道側に倒れた自転車を認識できなかったの2点だった。運転手は万が一を想定して運転席に乗っていたが、ゲームに夢中だったという。

トランプ効果のテスラの株価推移
24年6月末197ドル、
9月末261ドル
11月6日288ドル、
5日は大統領選挙投票日、マスク氏支援のトランプ氏次期大統領に確定、
11月末345ドル
12月17日479ドル
25年1月2日379ドル

自動運転車のタクシーはすでに中国では一定区域での商業運転が認可されている。万が一や一定区域外での運行も想定して運転手は乗っているが、補助的に乗っているだけで、事故の報告もないという。既存の自動運転技術とAIを組み合わせた自動運転車だという。中国では米企業製の最先端AIチップも世界中から簡単に入手できるようだ。ソフトはその域に達していることを物語っている。自動運転に必須アイテムの5G普及率は世界一の中国。

テスラ世界販売台数推移

 

販売台数

前年比

2015

50,700

59.9%

2016

76,200

50.3%

2017

103,200

35.4%

2018

245,500

137.9%

2019

367,700

49.8%

2020

499,600

35.9%

2021

936,200

87.4%

2022

1,300,000

38.9%

2023

1,800,000

38.5%

2024

1,790,000

0.0%

 

[ 2025年1月 6日 ]

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