トランプ関税爆弾投下開始 韓国見て我振り返れ
トランプ米国大統領が打ち出した自国優先主義と対中牽制に、韓国政府も保護貿易基調を強化している。
トランプ米政権は鉄鋼とアルミについて、全輸入について3月12日から25%の関税をかけると発表した(アルミは現行10%、15%追加課税する)。
鉄鋼
●これまで低迷した鉄鋼産業の原因として指定された中国の低価格鉄鋼攻勢に韓国も反ダンピング関税を課すなど強硬対応に出た。
業界では、鉄鋼だけでなく自動車や半導体など中国製に脅威を受ける産業全般に保護貿易基調が拡散するという見通しが出ている。
韓国産業通商資源部貿易委員会は先月28日、中国製・日本製熱延鋼板のダンピング事実と韓国の産業被害を調査することに決めたと明らかにした。
現代製鉄は、昨年12月に輸入熱延鋼板が不当に安い価格で韓国に流入して被害を受けているとし貿易委員会に反ダンピング提訴をした。
韓国鉄鋼協会によると、昨年の熱延鋼板輸入量は中国製が164万トン、日本製が194万トンで韓国の鉄鋼会社の内需販売量949万トンの17.3%と20.4%の水準だった。
熱延鋼板は、鉄鋼を加熱して薄く延ばしたもので、自動車や鉄筋など製造業全般に広く使われる。
韓国貿易委は3月4日の官報で調査開始を公告し、最大5ヶ月の予備調査と最大7ヶ月の本調査を実施する。
今回の反ダンピング調査は米国の圧迫と中国の追撃を受ける韓国の鉄鋼産業に韓国政府も保護の意志を見せたという意味がある。
世界市場は安全保障上、自由貿易よりも保護貿易側に傾いている。
トランプ大統領は3月12日から鉄鋼とアルミニウム製品に25%の追加関税を適用すると予告し、欧州連合(EU)も4日にフォンデアライエン委員長主宰で「鉄鋼戦略対話」の初会議を開き鉄鋼産業保護対策を話し合う予定。
EUは1月25日に事前公開した計画案で「鉄鋼競争力を弱める不公正な貿易慣行と不当な関税に対抗する。
中国で過剰生産された鉄鋼の輸出地になるのを防ぐため、反ダンピングや反補助金関税を効果的に活用することが必須」と明らかにしている。
韓国政府は、中国製低価格厚板に対する反ダンピング関税を始まりに不公正貿易対応に出た。先月20日に中国製低価格厚板に対し27.9~38.0%の反ダンピング関税仮判定を下した。
厚板は厚さ6ミリメートル以上の鉄板で、船舶、送油管、重装備などに使われる。
韓国政府が輸入鉄鋼ダンピングに刀を抜くと鉄鋼業界も積もっていた問題に声を上げ始めている。
東国製鋼は1月27日、世亜製鋼、KGスチールなど同業界の企業とともに中国製メッキ鋼板とカラー鋼板に対する反ダンピング提訴を申請する計画だと明らかにしている。
ある鉄鋼業界関係者は「国同士の問題に拡大することを懸念してダンピング対応に消極的だった企業も厚板の反ダンピング判定を見て立ち上がり始めたもの」と話している。
梨花(イファ)女子大学国際大学院のチェ・ビョンイル名誉教授は「中国の低価格鉄鋼攻勢は2~3年前から問題になっていたが、実態調査と対応はこれから始めるもの。トランプ大統領が中国製品の迂回輸出を問題にしているだけに、韓国の産業の各分野に中国製ダンピング製品がいくら入ってきているのか正確に把握しなければならない」と話している。
韓国鉄鋼協会によると、全鉄鋼輸入規模が2020年の1238万トンから昨年は1469万トンに18.7%増える間に中国製鉄鋼輸入は601万トンから877万トンに45.9%増えている。
自動車
●中国BYDの新車への補助金策定遅延、平沢港に1000台留め置き
自動車の部品部材メーカーのコスト上昇と報復関税リスクが懸念されている。
韓国貿易協会国際貿易通商研究院のチャン・サンシク院長は、「造船と自動車など鉄鋼を使う関連産業では、コスト負担が大きくなる恐れがあり、反ダンピング相手国が報復関税を課すかもしれない。中国の鉄鋼ダンピングは世界が認めておりリスク負担は少ないが、日本は韓国から大量の鉄鋼を輸入しているため、日本製熱延鋼板がダンピングに指定されれば、日韓の紛争リスクは大きい」と話している。
中国の電気自動車メーカーBYDも韓国攻略計画で伏兵に出会った。韓国政府によりBYDの車への補助金策定が遅れている上に、大量購入先として注目されたタクシー会社やレンタカー業者まで購入に難色を示しているという。
BYDコリアは先月26日に準中型電気自動車「アット3」の電気自動車補助金算定に向けた車両基礎情報を韓国環境部に提出した。この情報に基づいて環境部は補助金額を算定する。基礎情報提出から通常は1ヶ月後に補助金が策定される点を考慮すれば、「アット3」の補助金確定時期は3月末~4月初めになりそう。1月16日の「アット3」発売当時、BYDコリアは「2月中旬には車を引き渡せるだろう」と消費者に伝えたが1ヶ月以上遅れていることになる。
現在、平沢(ピョンテク)港には1月に中国から貨物船で運ばれ輸入された「アット3」の新車1000台以上がそのまま置かれている。
こうした遅延事態は、今年から強化された韓国の補助金支給基準を「アット3」がクリアできないことによるところが大きい。「アット3」は、保険要件はクリアしたが、バッテリー充電量情報を充電器に伝達する機能をまだ反映できていない。代わりにBYDコリアは最近環境部に「ソフトウエアアップデートを通じて1年以内にその機能を搭載する」という確約書を提出している。
国民大学自動車運送デザイン学科のクォン・ヨンジュ教授は「親環境、安全規制を契機に『自動車民族主義・保護主義』が始まったもの」と説明している。
一方、韓国から米国に輸出するすべてのアルミニウム撚線・ケーブルに対し米政府は反ダンピング関税52.79%、相殺関税33.44%を課している。米商務省は1月27日に韓国の金属企業が中国の対米迂回輸出ルートの役割をしたと判断して国単位の措置を下した。
米商務省の調査が始まった2023年10月以降の輸出品から関税が遡及適用される。第2次トランプ政権発足後に韓国企業を対象に貿易制裁を正式に発動した初めての事例だ。ただ今回の措置に影響を受けるのは1社だけ。
韓国の財界関係者は「国単位措置とは今後韓国で新たに米国に撚線・ケーブルを輸出する企業もまず関税賦課対象になるということを意味する。今後関税免除を受けるためには中国製原材料を使っていないことを証明しなければならない」と話した。
以上、韓国紙参照
日本
鉄鋼の対米輸出3027億円(2024年)
鉄鋼製品を対米輸出している日本企業も、関税爆弾を投下されることになるが、米国で生産できない特殊鋼も多く、米国は高くても購入せざるを得ない業界環境にある。しいては米製品価格の大幅上昇が懸念される。
トランプ1政権でも、中国鉄鋼製品を韓国企業が購入して、韓国企業が加工して米国に輸出しているとして、韓国の鉄鋼製品について規制をかけていた。
今回のトランプ2政権では、個別国ではなく、鉄鋼輸入品につき一律関税を課すもの。
中国が鉄鋼製品の世界の半分以上を生産しており、その中国は内需不振で世界へ輸出を拡大させており、安全保障上、鉄鋼を基幹産業にしている欧米では、中国製品の流入につき、監視の目と規制を強化している。当然、規制の目が厳しい欧米への輸出はセーブされる代わりに世界の新興国へ大量輸出、韓国などの鉄鋼輸出企業の輸出先の門戸を狭まらせている。
日本の鉄鋼輸入動向は、北九州の鉄鋼輸入企業の上場会社「小野建」の業績により識別できる。





