官製お談合、古庄剛佐々町長を再逮捕 春本工業の社長も逮捕 長崎
長崎県警は29日、佐々町発注の工事をめぐる官製談合事件で、入札を妨害したなどとして、町長の古庄剛容疑者(77)を官製談合防止法違反などの疑いで再逮捕したと発表した。
古庄剛町長は2009年6月から町長を務め、現在4期目。
また、公契約関係競売入札妨害の疑いで、受注会社の(株)春本工業の代表取締役:中島幹人容疑者(68)を逮捕、別の建設会社の元社員山口情二容疑者(62)を再逮捕した。県警は捜査に支障があるとして3人の認否を明らかにしていない。
県警捜査2課によると、古庄容疑者は昨年6月14日に行われた、図書館の照明をLED化する町発注工事の指名競争入札で、入札前に山口容疑者に最低制限価格に近い金額を漏らし、中島容疑者が代表を務める電気工事会社「春本工業」に約2,879万円で入札させて、落札させた疑いがもたれている。
長崎県警、佐々町役場を再び捜索
佐々町長を再逮捕した長崎県警は29日午後4時前、町役場に捜索に入った。約10人の捜査員が数台の車に分乗して到着し、段ボールなどを手に役場に入った。町発注の入札をめぐり、町役場に県警の捜索が入るのは2度目。
中村義治副町長は、「度重なる逮捕は町政に対する信用を著しく失墜させるもので大変遺憾。深くおわびを申し上げます。今後も警察の捜査に全面的に協力し、同じ過ちを繰り返さないよう、すべての職員が法令を順守し、綱紀粛正を図り、再発防止に努め、一刻も早く信頼を回復できますよう全力で取り組んでいく所存です」と陳謝した。
逮捕容疑の舞台となったのは、町が昨年6月14日に実施した「町立図書館の照明のLED化工事」の入札案件。
町などによると、落札した春本工業は、最低制限価格をわずかに4,600円上回る2,879万3千円(税別)で落札していた。入札には6社が参加し、うち2社は最低制限価格を下回る額を入札して失格となっていた。
町長の古庄剛容疑者は、最低制限価格を知り得る立場にいたという。
<給水管改修工事入札談合では起訴>
長崎県警は2025年3月8日、昨年7月26日に執行された「令和6年度 松瀬団地(AB棟)給水管改修工事」の入札に関し、官製談合防止法違反及び公契約関係競売入札妨害の容疑で佐々町長の古庄剛らを逮捕し、町役場を家宅捜査した。翌日の3月9日、検察庁に送検した。
ここでも最低価格(1,657万3,300円)を伝えたとされ、最低価格を1万6,700円上回る1,659万円で(株)山龍が落札していた。
長崎地方検察庁は3月28日、
古庄剛町長を官製談合防止法違反などの罪で起訴した。
また、ほかに建設会社(株)堀内組の元幹部社員、山口情二被告(62/入札当時は執行役員)と建設会社(株)山龍の元役員の木田栄三被告(53/入札当時は代表取締役)の3人を入札妨害で起訴した。
起訴状によると、古庄町長は昨年7月、佐々町が行った団地の給水管改修工事の指名競争入札を巡って、最低制限価格のおよその額を山口被告に電話で漏らし、金額を伝えられた木田被告が役員を務める建設会社に落札させたとして、官製談合防止法違反と入札妨害の罪に問われている。
なお、古庄町長は28日現在、逮捕されても、起訴されても「(町長職の)辞職願」は提出されていない。
町長は辞職しない限り、失職するまで町長報酬は支払い続けられる。
自ら町長を辞職しなければ、失職させる方法は2つある。
●不信任決議、地方自治法178条では、
地方議会の議員の3分の2以上が出席して4分の3以上が賛成すると不信任決議ができる。
首長は通知を受けてから10日以内に議会を解散することができ、議会を解散しない場合、または、解散後の初めての議会で3分の2以上の議員が出席し過半数が賛成し、再び不信任決議され通知があった場合、首長は失職するという規定がある。
●リコールでは、
地方自治法では第76条から第88条まで及び第296条で定められた直接請求制度の一つにリコールがある。(有権者数総数40万人未満の場合)有権者数の3分の一の署名で選挙管理委員会にリコールを請求できる(地方自治法第81条第1項)。選挙管理委員会は当請求日から60日以内に住民投票を行う(地方自治法第81条第2項)。町長の場合、住民投票日より20日前までに住民投票日を告知する(地方自治法施行令第116条の2)。解職の住民投票では有効投票総数の過半数で失職する(地方自治法第83条)。
・官庁工事主体の春本工業、今後、ほとんどの官庁で指名停止処分が発せられると見られる。各官庁には、同業の登録業者も多く、官庁はこうした事件を特に嫌い、同社は大きな影響を受ける可能性がある。ただ、財務内容はよく、経営上の問題は少ないと見られる。
スクロール→
社名 |
(株)春本工業 |
本社地 |
長崎県佐世保市白仁田町41-2 |
役員 |
代表取締役:中島幹人 |
専務取締役:春本竜太 |
|
取締役工事部長:松井尚樹 |
|
設立 |
1981年 |
資本金 |
3500万円 |
業種 |
電気工事業 |
電気通信工事業 |
|
ほか |
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主要取引先 |
防衛局 |
国土交通省 |
|
文部省(文部科学省) |
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長崎県 |
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佐世保市 ほか市町 |
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その他主要官庁 |
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その他民間等 |
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・以上同社HP参照 |
官製談合落札会社
(株)春本工業 決算内容 |
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決算 2024年8月期/千円 |
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流動資産 |
233,592 |
流動負債 |
59,451 |
|
|
固定負債 |
2,785 |
固定資産 |
28,084 |
自己資本 |
199,440 |
|
|
うち資本金 |
35,000 |
総資産 |
261,676 |
総資本 |
261,676 |
売上高 |
粗利益 |
経常利益 |
自己資本率 |
425,761 |
118,524 |
62,098 |
68.5% |
○電気工事、電気通信工事ほか |
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・本社:長崎県佐世保市白仁田町41-2 |
|||
・代表:中島幹人 |
|||
・電気工事会社であるが、経常利益率が14.6%の高収益企業 |
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・ほぼ無借金経営、自己資本率も68.5%と優良企業 |
官製談合落札会社
(株)山龍 決算内容 |
|||
決算 2024年3月期/千円 |
|||
流動資産 |
122,152 |
流動負債 |
107,434 |
|
|
固定負債 |
94,048 |
固定資産 |
136,661 |
自己資本 |
57,331 |
|
|
うち資本金 |
20,000 |
総資産 |
258,813 |
総資本 |
258,813 |
売上高 |
粗利益 |
経常利益 |
自己資本率 |
387,216 |
110,378 |
12,043 |
22.1% |
○土木工事、建築工事、電気工事、水道施設工事など |
|||
・本社:長崎県佐世保市小佐々町田原69-34 |
|||
・代表:木田栄三(現在は代表を辞任し交代している) |
官製談合関与会社
(株)堀内組 決算内容 |
|||
決算 2024年5月期/千円 |
|||
流動資産 |
3,601,250 |
流動負債 |
2,830,180 |
|
|
固定負債 |
707,293 |
固定資産 |
1,034,625 |
自己資本 |
1,098,402 |
|
|
うち資本金 |
80,000 |
総資産 |
4,635,875 |
総資本 |
4,635,875 |
売上高 |
粗利益 |
経常利益 |
自己資本率 |
5,451,217 |
814,528 |
232,918 |
23.6% |
○土木工事、建築工事、舗装工事、とび・土工・コンクリ工事等 |
|||
・本社:長崎県佐世保市光町109 |
|||
・代表:山下忠則 |
|||
・電気工事会社であるが、経常利益率が14.6%の高収益企業 |
|||
・ほぼ無借金経営、自己資本率も68.5%と優良企業 |