備蓄米制度の危機:政策の課題と食の安全保障への影響
2024年産の備蓄米をめぐり、政府との契約を履行できなかった集荷業者7社が違約金の支払いを求められる事態となった。このうち青森県弘前市の「町田アンド町田商会」は1日、記者会見を開き、「契約農家が売り渡しを拒んだ」と説明。転売疑惑を否定したが、コメ市場全体に影響を及ぼす可能性がある。
備蓄米納入で違約金の業者、転売否定 「農家に断られた」釈明 (毎日新聞)
政策の課題と市場価格の急騰
昨年の「令和の米騒動」以降、コメ市場は急激な価格上昇が続いている。備蓄米の落札価格は60キロ当たり1万3000~1万4000円だったが、市場価格は2万5000円前後にまで高騰。これにより、契約農家の約3割が備蓄米の売却を見送り、集荷業者の供給量が不足した。
この事態は、政府の備蓄米政策が市場の変動に対応できていないことを示している。農業ジャーナリストは「市場価格の高止まりが続くと、備蓄米の入札に応じる事業者が減少し、制度の維持が困難になる」と指摘。政策の柔軟性の欠如が、今回の問題を引き起こした一因といえる。
食の安全保障への影響
備蓄米制度は、災害や市場の混乱時に食料供給を安定させるための重要な政策だ。しかし、今回の供給不足は、食の安全保障にも影響を及ぼす可能性がある。政府が計画している備蓄米の追加放出が困難になれば、価格高騰時に市場を安定させる手段が失われる恐れがある。
さらに、流通市場への異業種参入や農業構造の変化も、食の安全保障に新たな課題をもたらしている。建設会社などが流通市場に参入し、価格変動を加速させたとの指摘もあり、従来の農業政策では対応しきれない状況が生まれている。
政策の見直しが急務
市場価格と備蓄米価格の乖離を縮小するため、政府の価格保証や補助金制度の再構築が求められている。また、備蓄米の価格調整メカニズムを導入し、契約不履行を防ぐ具体的な方策を検討する必要がある。
食の安全保障を確保するためには、短期的な対応にとどまらず、長期的な視点での政策運営が不可欠だ。政府は農家や流通業者と連携し、持続可能な備蓄米制度の構築に向けた具体的な対応を迫られている。
日本人は古来より食に対して敏感であり、食料政策の失敗は国民の信頼を大きく損なう可能性がある。政府与党である自民党は農家票を重視するあまり、消費者である国民全体の利益を見誤ったとの批判もある。
この不満は次の選挙結果に影響を及ぼし、政府に遅い後悔をもたらすことになるかもしれない。食の安全保障を軸にした政策の再構築が、今後の政治課題として浮上している。






