東京国立博物館の市元塁主任研究員は「白磁が歴史上、どう位置づけられるのか大変興味深い。三国志の時代は戦乱が続き、文化的、美術的には注目されてこなかった時期で、白磁が見つかったことで、より等身大の三国志像が描かれるようになると思います」と話している。
この壷は、今年７月から東京国立博物館で開かれる特別展「三国志」で展示される予定。

＜曹操＞
曹操は、魏、呉、蜀の３つの国が覇を競った３世紀の中国で活躍した武将、このうち「魏」の基礎を築いた。
墓の場所は、諸説あり、長く謎とされてきたが、２００９年に河南省安陽市で発掘調査が行われ、中国政府の研究機関が曹操の墓だとしている。
その根拠としては、
出土品や墓の遺構が、後漢から三国時代の特徴を持っていること、
墓全体の面積が７４０平方メートルもあり、その規模から王などの権力者のものであること、
唐の時代にかけての複数の文字資料に曹操の墓であることを示す記述があること
などを挙げている。
さらに墓からは、曹操を指すとされる「魏武王」の文字が刻まれた石板が出土し、墓の主が曹操だとする有力な根拠になっている。

＜曹操にまつわる諺＞
「说曹操，曹操就到（曹操の話をすると曹操がやってくる）」噂をすれば影
「曹操杀吕伯奢（曹操が呂伯奢を殺す）」間違ったら間違ったままとことん押し通す
「曹操作事（曹操のやり方）」とても綺麗であることの例え
「曹操用计（曹操の計略）」狡猾であることのたとえ

＜白磁＞
白磁は、白色の粘土に灰を主な成分とする透明の釉薬をかけて１３００度程度の高温で焼き上げられた磁器。
研究チームによると、中国が起源とされ、明の時代には景徳鎮で盛んに作られて世界に広まり、豊臣秀吉が朝鮮征伐、鍋島藩主の鍋島直茂が陶工の李参平らを連れて帰り、江戸時代初期に生産が始まった有田焼が最初とされている。有田地区に適した粘土質の山があったことも有田焼が盛んになった要因。
磁器の製造そのものは、殷の時代の紀元前１４世紀までさかのぼるが、白磁は粘土から不純物を取り除いたり、釉薬を精製したりといった、白い色に仕上げるための作業が必要。
以上、報道参照