アイコン ルノーサムスン 過激な民主労総の組合活動に韓国撤退か

 

 

韓国では左派の文在寅政権が発足して以来、労働組合の活動が活発化、組合員数も大幅に増加させている。民間労組には大きく2つ労組があるが、会社側の話を少しは聞く韓国労総と、まったく聞かない過激な民主労総とが存在する。

問題となっているルノーサムスンでは、昨年9月、執行部を民主労総が握り、上部団体の民主労総金属労組も支援し、早速、賃上げを要求して翌10月から断続的に部分時限ストを打ち続け、現在(4月16日)までに計58回通算234時間のストを打っている。それも今年2月からは時限スト時間を長時間化させ、今では要求も賃上げだけではなく、人事権にまで及んでいる。

<韓国人の副社長、長期ストの責任を取り辞任・メッセージ>
こうした中、ルノーサムスン創立メンバーとして26年間勤務してきた李基寅副社長が12日、「釜山工場を去りながら」というタイトルの手紙を書いて全職員に送った。
「私たちは、国内本社に所属する工場ではなく、外資系企業に所属している一つの子会社に過ぎない。現在の不安定な状況は、私たちの雇用と企業の存立に致命的な悪影響を及ぼさざるを得ない」、「一日も早く、この事態を解決することだけが、役員・従業員と多くのパートナー会社の従業員の雇用と企業未来のための唯一の道だ」と書いていた。

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労使対立が続けば、韓国の会社ではない、ルノーグループがいつでも撤退できる現実を自覚しなければならないという最後の呼びかけの手紙を残し、ストの責任を取り去った。
これまでのストによる損失は2400億ウォン台に達すると試算されている。

ゴーン支配の終焉により日産は、ルノーサムスンに委託していたスポーツユーティリティ車(SUV)ローグの生産台数を10万台から6万台に減らすとすでに通知している。
ルノー本社は、韓国に割り当てようとしていた欧州向け輸出用新車の生産を、ストの影響により、スペイン工場で生産する方向に変えようとしている。
当然、安定した生産が見込めなくなっている子会社のルノーサムスンに対し、新型車の割当生産をさせられない。

ついに使用者側は、今月末から5日間、釜山工場の稼動をロックダウンすることを決定した。

<韓国経済の現状>
韓国経済は低迷、机上の左派経済学者らに誘導された文政権の政策の大誤算の結果であり、失業率が上昇、特に働き盛りの30・40代の失業者が増加している。(高齢者は文政権の指示の下、公共機関が短期大量採用し、雇用数が増加している)

<協力工場にも影響甚大>
ルノーサムスンの労使対立が長期化、釜山・慶南地域の協力企業も崖っぷちに追いやられている。すでに納品量が最大40%まで減り、操業を短縮したり、停止する協力会社が続出しているという。
(韓国の自動車会社は協力工場が垂直型、ルノーサムスンの協力工場が他メーカーに食い込むのは至難の業)

<民主労総・反日運動でも過激派なみの動き>
過激な民主労総は、元徴用工像を日本の釜山総領事館前に設置しようとした問題では、最近まで主導してきた挺対協に加え、実力行使の民主労総が前面に立ち、警察と対峙したり、釜山市役所に突入するなど激しさを増している。
当然、左派の文政権は見て見ぬふり、警察も不法侵入でも反日無罪により検挙することもなく、政権与党のともに民主党のバックもあり、民主労総はやりたい放題、歯止めが利かなくなってきている。

<会社側による人員削減問題もある>
ルノーグループのロス・モザス副会長(製造・供給ネットワーク管理部門総括)は、釜山工場の労働者にビデオメッセージを送りスト自制を要請した。ルノーサムスンは、「ローグ後続生産がすべてなくなると仮定する場合、理論的に釜山工場は約900人の人材縮小が必要な状況」と、人員削減が必要だとしている。
一方、民主労総は、200人増員と時間当たりの生産台数を現行60台から40台に引き下げを要求している。

<経営問題>
ルノーサムスンにしても、組合に譲歩するにも経営状態と今後の生産量の問題も抱え、限界があり、応じるわけには行かない事情がある。
ルノー本体にしても欧州経済は英EU離脱問題もあり揺れ動き、経済も低迷してきている。日産に依存するわけにもいかない。韓国では販売不振にも陥っており、韓国から撤退するのならば、体力がある今しかないだろう。

<甚大な日産ローグの委託生産量の減少と終了の影響>ゴーン采配終了
2018年のルノーサムスン釜山工場での日産ローグの生産台数は10万7245台、総生産台数22万7577台の47.1%に達している。

日産のローグ委託生産は、ルノーサムスンの2013年まで売上不振から生産台数が落ち込み、ルノー兼日産のゴーン采配により、日産からローグ生産を2014年9月から確保した。
生産されたローグは、米国への輸出車で、日産にしても米国で一番売れている車両であり、納品がタイムリーに入らなければ、販売機会をなくすことを意味し、ストばかりでは委託生産させられない事情もある。

日産は、ゴーン失脚もあり、今年9月まででOEM生産は契約どおり終了させる。
今年は10万台を6万台まで引き下げているものの、生産に支障が出た場合、九州苅田工場の生産を増加させる予定にしている。(車両により生産ラインを組むことから、フルモデルチェンジまでの期間は原則発注することになる)。

<時間当たり生産台数の改善と生産投入時間の違い>
民主労総は、2017年基準で現代自動車の賃金9200万ウォン(現代自も民主労総が主導権をもち、貴族労組と呼ばれている)の85%にすぎないとしている。
その根拠に、これまでの釜山工場の生産効率の改善としている。時間当たり自動車生産台数は2017年基準で66台、確かに2012年の47台と比べ効率性を40%引き上げている(ロボット数を増やせば生産台数は増加するが、その導入費がかかる)。

会社側は、ローグを生産する九州苅田工場の生産投入時間は1.90、釜山工場の1.99により、5ポイント良く、ルノー本体からの釜山工場への生産車割当も2.00を超過すれば受けられなくなるとしている。

人事権については、人事の配置について、組合は会社側に対して、組合との事前合意を求めている。当然、経営権の一部でもあり、会社側とは対立している。

<ルノーの東アジア戦略の破綻>
ルノーは、子会社扱いの日産との関係を見直さざるを得ない状況になっているが、東アジア戦略でも、中国では、2014年に生産量を4倍に増やすとした拡大戦略をはっぴょうしていたもののまったく売れていない。それに加え、韓国でも売れておらず、日産ローグの委託生産が終了すれば、東アジアは本体の経営の足を引っ張る事態に陥る。
ルノーの世界販売戦略及び生産戦略において、東アジア戦略は大きな見直しを迫られている。

 

ルノーサムスン生産台数=販売台数推移
/千台
韓国
前年比
世界販売
前年比
備考
2009年
 
 
192
 
リーマンショック余波
2010年
 
 
276
43.8%
2011年
 
 
243
-12.0%
2012年
59
 
154
-36.6%
2013年
60
1.7%
131
-14.9%
経営不振
2014年
80
33.3%
169
29.0%
2014年9月から日産ローグ生産
2015年
80
0.0%
229
35.5%
2016年
111
38.8%
257
12.2%
2017年
100
-9.9%
276
7.4%
2018年
90
-10.0%
227
-17.8%
2019年の月別状況 単位:台
 
韓国
世界
 
 
前年比
前年比
 
19/1月
5,174
-19.2%
13,693
-37.3%
 
19/2月
4,923
-8.0%
11,721
-26.7%
 
19/3月
6,540
-16.2%
13,796
-49.0%
 
1~3月計
16,637
-9.1%
39,210
-39.6%
 
2010年からの増加は、韓国とEUが自由貿易協定を締結、韓国での生産車を欧州へ輸出させたことに起因している。リーマンショックから回復したわけではない。
2019年9月日産とのOEM生産契約終了/韓国数値は世界数値の内数

 

中国での仏系自動車販売推移(乗用車)
 
仏系
前年比
中国全体
前年比
2013年
55.26
25.6%
1,792.89
15.7%
2014年
72.70
31.6%
1,970.06
9.9%
2015年
72.93
0.3%
2,114.63
7.3%
2016年
64.40
-11.7%
2,437.69
14.9%
2017年
45.58
-29.2%
2,471.83
1.4%
2018年
30.70
-32.6%
2,370.98
-4.0%
19/1~3
4.11
-60.3%
526.28
-13.7%
・中国汽車工業協会版で工場出荷台数ベース
・輸入車含まず、昨夏より関税が25%⇒15%に低下

 
[ 2019年4月18日 ]

 

 

 

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