コロナ禍 農的視点からの一考察・その11
コロナ禍 農的視点からの一考察・その11
みのり農場 麻生 茂幸
http://www.minori-karatsu.com/about/
〇 連続飼育が可能な環境
何故消毒しない戻し堆肥区のほうが、成績が安定しているのか。
一般的な常識が覆される現実に疑問を抱く人が多く、この方式は普及しないのも現実です。
その理由は次のような要素にまとえられるようです。
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1 水洗消毒を徹底して、新しい敷料を入れたほうが清潔だ。
2 戻し堆肥を試験したいが、きちんとした堆肥ができない。
3 いろんな堆肥の作り方があるが、どれを選べばよいかわからない。
4 堆肥の処理は農協が一括してやるので敷料には不安がある。
5 堆肥の中の病原菌が心配だ。
以上のように一般的に変革する事はなかなか容易ではないのですが、この素晴らしい方式は全てに通用する原理なのです。
1、完熟した堆肥は糞尿を高度に分解するバクテリアが増殖して、戻し堆肥で
新しい糞尿を次々に分解していく。その為に悪臭も軽減される。
2、堆肥化の過程で高温となり、病原菌の原因となる細菌や害虫が死滅する、従
って、万一病原君が発生していた床面でも戻し堆肥として利用出来る。
3、逆にそうした病原菌で汚染された床面を発酵堆肥化することで、その病原
菌を攻撃するバクテリアが増殖し、清浄な環境となる。
〇 毒を以って毒を制す 菌を以って菌を制す。
以上のように、基本的な水洗、清掃 消毒が如何に無効であるか。しかしながら、一般的には常識はなかなか覆れないものなのです。
養鶏の平飼いにおいても、洗浄した床面で育雛するとコクシジウムという原虫 による被害が出やすいものです。その為に餌の中に抗コクシジウムのサルファ 剤を一派的には添加します。
しかし戻し堆肥の上で飼育すると、コクシジウムの被害が出ないばかりか 良好な生育となるのです。
戻し堆肥の中に様々な病原菌や病害虫を淘汰するバ クテリアが常在する環境となり、更には死滅した病原菌の成分を捕食したり、 接したりすることで、ある意味での抗体機能が働くのではないかとも考えられ るのです。
私達が一般的に消毒することは、目的とする病原菌を完全に死滅させることは不可能な上にその病原菌に優性に働く細菌でさえも排除するために、逆にそれまで優位な病原菌が繁殖しやすい環境となる矛盾を引き起こしてしまうことにもなるのです。
[ 2020年5月23日 ]
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