アイコン 韓国の自動車産業 会社側と労組の対立激化、ストの季節入り


世界の自動車業界は、エンジン=内燃機関の車よりも部品数が37%少ないEV市場に備え、生き残りを懸けた構造調整に取り組んでいる。・・・パラダイムシフト。

一方、韓国の自動車労組は、目先の賃金交渉にストで会社側と対立している。文在寅大統領を支える民主労総が労組を支配し、文政権になりさらにやりたい放題となっている。

民主労総の労組は毎年、賃金・諸条件闘争だけではなく、工場縮小や撤退されないように生産計画も闘争対象に入れている。

ただ、韓国GMとルノーサムスンの会社側は、こうした労働争議に対して「撤退」をいつもちらつかせ、今ではマンネリ状態で脅しは通用しなくなっている。
GMに至っては、前回、韓国政府から資金調達して撤退を覆した経緯もある。足元を見られている。

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<ルノーサムスン>
ルノーサムスンでは労組が3年連続の全面ストライキを決行している。
生産コストが高いため、ルノー本社から生産台数の割り当てを受けられずにいるが、労組は、会社内(整備工場など事業所)を喪服姿で棺桶を担いだパフォーマンスを繰り広げる一方、会社側はスト参加者の工場への入場をシャットアウトしている。
会社側は、労組員の喪服姿での事業所の不法占拠、会社側が警察に通告しても、当然、文政権の警察は動かない。
赤字が続くルノーサムスンでは、昨年の賃金交渉がまだ組合と妥結しておらず、困難な状況が続く。
同社では、昨年の争議から「会社の存続あっての従業員だ」として労組員のスト破りが急増、今年も不参加率が70%に達している。
生産は継続されているものの、主力は欧州への輸出車生産であり、納期遅れなどの問題を生じさせている。
ルノー本体は、韓国での構造調整は困難であると見て、EV生産どころか、撤退も検討している。

<韓国GM>
GM「韓国GMが国際競争力をなくしている」と。
GM本社が5月18日、毎年の賃金団体交渉で会社側と対立している韓国GMの労働組合に対し、「韓国から撤退する可能性がある」と警告した。
米GM本体のスティーブ・キーパー上級副社長兼海外事業部門代表はこの日、ロイター通信の電話インタビューに対し「労組のストによって1万7000台余りの生産に支障が出ており、今週末までに生産への影響は2万台に達するだろう」として「新型コロナウイルス感染拡大による生産損失6万台を勘案すると、韓国GMは今年、利益を計上するのは困難だろう」と述べた。
さらに、キーファー副社長は「韓国GMの労組は生産台数を人質に取って財政的打撃を与えており、このために本社は韓国GMへのさらなる投資や新車割り当てが困難になっている」とした上で、「労組の振る舞いのせいで韓国が競争力のない国になっている」と批判した。
さらに「数週間以内にこの問題が解決されなければ、長期的な影響が出るだろう」と述べた。長期的な影響とは、GMの韓国撤退を念頭に置いた発言となった。
これに先立ち、全国金属労働組合の韓国GM支部は今月16日、中央争議対策委員会を開催し、20日までに前半組と後半組それぞれ4時間ずつの部分ストと残業・休日特別勤務拒否の延長を決めた。
韓国GMの労組と会社側は今年、24回にわたり交渉を実施したが、賃金交渉の周期と富平第2工場への新車割り当てなどの主要な問題について歩み寄ることができなかった。
これについて韓国GMは、次世代のグローバルな新製品の生産に向けて予定されていた富平工場への投資関連費用の執行を保留し、再検討することを決めた。
当初、富平第1工場では来年から、昌原工場で生産したC-CUV(クロスオーバー)車の派生モデルを生産するために1億9000万ドル(約200億円)を投じる計画だった。
 韓国GMは2014年から昨年まで、6年連続で赤字を計上している。
2018年には、▲8593億ウォン(約800億円)の当期純損失を計上し、昨年の損失も▲3202億ウォン(約300億円)の赤字となった。
カハー・カゼム韓国GM社長は、今年9月「労使紛争が悪化すれば、GM本社は韓国からの撤退も検討するだろう」と言及していた。
以上、
韓国GMのカゼム社長は、派遣法違反容疑で昨年7月から出国停止命令を受けており、「こんなんでは誰が韓国の代表になりたいと言うのだろうか。世界中でこんな国はない」とこれまでに何回も韓国の検察・司法制度を批判する発言をなしている。

<国内でも、現代自動車労組>
韓国で貴族労組と呼ばれる同労組は昨年は新コロナ惨禍事態もあり、何十年かぶりかに労組が争議をせず、会社側に貸しを作った。
現代自動車労組は5月17日、「会社側の一方的な8兆4000億ウォン(約8000億円)規模の米国での投資計画に反対する」との声明を発表した。
現代自が13日、米国で電気自動車(EV)を生産することを含め、現地のエコカー市場に先行して参入することを目指す投資計画を発表していた。
これは文大統領の訪米に先立ち、不足しているワクチンにつき、米当局から技術移転を有利に進めるための援護したタイムリーな発言と見られている。
同社は「韓国国内の生産能力を移転するのではなく、新たな市場を開拓するものだ」と説明しているが、労組は「一言の相談もなく発表したことは、労組員5万人を無視する行為だ」「投資を強行すれば、共存共生は遠のく」などと脅しをかけた。
現代自労組は今月14日、
① 今年のベースアップ(9万9000ウォン/9500円)
② 定年延長(最大満64歳)、
③ 純利益の30%の成果給支給
を盛り込んだ賃金・団体協約案を決定している。

 

[ 2021年5月18日 ]

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