アイコン TSMC 第3四半期、売上高22%増、純利13%増 熊本菊陽町進出投資額は8千億円


半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が14日発表した第3・四半期決算は、売上高は前年比22.6%増の148億8000万米ドル、純利益は13.8%増の1563億台湾ドル(55億6000万米ドル)となった。世界的な半導体需要の高まりが寄与した。

売上高は従来予想と一致し、利益は予想の1490億台湾ドルを上回った。粗利益率は51.3%、営業利益率は41.2%。前年同期の売上高は126億8000万ドルだった。

第4・四半期については、売上高は154億~157億ドル、粗利益率が51~53%、営業利益率は39~41%と予想された。

2021年売上高は、好調な半導体需要という「業界のメガトレンド」を理由に約24%の増加を予想。従来予想は20%以上の増加だった。

TSMCは日本の熊本県菊陽町に工場を建設する意向を表明、2024年後半に稼働開始する見通しと述べた。

魏哲家・最高経営責任者(CEO)は決算会見で「TSMCは顧客と緊密に連携して生産能力を計画し、顧客の需要に応えるため、最先端技術・特殊技術への投資を進めている」と発言。
同社の生産能力は、来年末までタイトな状況が続くとし、「便乗ではなく、当社の価値創造を反映した戦略的な」半導体の価格設定を続けていくと述べた。
同CEOは、TSMCが「構造的な成長拡大」期に入ったと指摘。粗利益率の長期目標を「50%以上」に設定したことを明らかにした。

同社は、第3・四半期について、スマートフォンや自動車、「インターネット・オブ・シングス(IoT)」など「4つの成長プラットフォーム」の全てで需要が旺盛だったと説明し、「第4・四半期は業界をリードする5ナノメートル(ナノは10億分の1)技術に対する需要がビジネスを支える」と述べた。
以上、

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TSMCが新設する工場は現在のソニーの熊本工場に隣接する(仮)第二原水工業団地に入居するもの、投資についてはソニーやデンソーと合弁で進出する。
元々、ソニーがCMOSセンサー半導体を製造する熊本工場を拡張するため、新団地の土地を取得しようとしていた経緯がある。
TSMCの進出については日本政府の支援もあり、計画通りに今後進むと見られる。
製造予定の半導体は、自動車用や産業ロボット用の演算チップを予定しているという。
総投資額は約8000億円で2000人を新規雇用する。
2022年に着工、24年後半の稼働を目指す。

新設工場では、回路線幅22ナノメートル(ナノは10億分の1)、28ナノのこれまでの半導体を手掛ける。
TSMCの最先端半導体は7ナノメートル以下を呼び、現在の最先端半導体でもあり、製造は極端紫外線半導体装置(EUV装備/オランダASML社が独占生産)で行う。サムスン電子より先にTSMCが装置を先に確保している。
EUV装置はサムスン電子の場合、次世代メモリ半導体の製造にも必要で、受託専業のTSMCは顧客の要望に応えた製造に特化することができる。

香港の市場調査会社カウンターポイントリサーチによると、今年4~6月期で、
TSMCがグローバルファウンドリー市場シェア(売上高基準)58%でトップだった。
2位はサムスン電子の14%、
3位は台湾UMCの7%、
4位は米グローバルファウンドリーズの6%、
5位は中国SMICの5%。

昨年末と比較すると上位4社の市場シェアはそれぞれ1%ポイントずつ減少している。
ファンドリー事業でも、TSMCはファンドリー専業で純粋ファンドリーと呼ばれ、この分野はサムスン電子が属する総合ファンドリー事業より成長率は大きいと予想されている。
売上高基準の市場規模も「純粋ファウンドリー」は今年871億ドルに達し、一方総合ファンドリー事業の規模は201億ドルと4倍以上の開きがあり、今後の成長率も純粋ファンドリー事業分野が高く、共に拡大するものの、その差は今後とも開き続けると見られている。

サムスン電子の場合は、ファンドリー事業を拡大する中、これまでの主力である世界一のメモリ系半導体製造と共に、システム半導体分野でも2030年には世界一になると宣言しており、ファブレスメーカーにとっても、最先端技術の設計を組み込んだシステム半導体は盗用懸念のあり、サムスン電子に発注しない立場にある。
そうしたこともメーカーにはならないと誓約する半導体受託生産の専業メーカーの伸びが総合ファンドリールーカーより大きくなると見込まれている原因でもある。

 

[ 2021年10月15日 ]

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