アイコン 中国、手厳しく尿素水問題は韓国だけだと指摘 韓国尿素大乱


中国の新京報は、韓国で生じている「尿素水枯渇問題」は韓国政府の政策に問題があると指摘している。

<中国や日本と異なるディーゼル車両比率の高さ>
中国は大気汚染問題からディーゼル車の販売を商用車に限定し、乗用車はガソリン車にして久しい。欧州勢はクリーンディーゼルエンジンを開発して大々的に世界販売した時にも、中国は生産導入させなかった。
結果、夏の炎天下でのクリーンディーゼルエンジンのクリーン度は、マツダ車を除き虚偽であったことが判明している。
日本人はコトコトというディーゼルエンジン特有の音を嫌い、また粘り越し(トルク性能)より、ガソリン車の特性である加速力を重視し、ディーゼル車はトラックなど商用車がほとんどを占めている。
欧州は坂が多く以前からガソリン車よりディーゼル車が売れる市場でもあった。欧州へ輸出する韓国自動車メーカーは、2014年からのユーロ6基準に準拠して車両製造、国内や欧州で販売している。 

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韓国では、国産車のほか、VWのクリーンディーゼルエンジン車が、ドイツ信仰が強い韓国の人たちに受け入れられ大量に売れた。
そうしたことから、排ガス規制の窒素酸化物=NOx除去装置がクリーンエンジン車に取り付けられているが、その触媒に尿素水を利用している。ユーロ6基準は商用車やトラック・バスにも適用されている。

<尿素水が必要なユーロ6基準の対象車両、200~400万台>
韓国の報道機関が調べた登録年ベースでは、韓国でのディーゼル車は全車両2500万台のうち約4割の約1000万台とされ、新ユーロ6基準を適用した車両は、うち乗用車200万台、商用車200万台とされている(一方、韓国自動車協会によると、尿素水対象車両は国産車160万台、輸入車50万台の約210万台としている。)

問題は、乗用車の場合は1.5万キロごと、商用車の場合は2千キロごとに尿素水の補充が必要となり、今回の尿素水枯渇問題は、韓国の物流をマヒさせる可能性があると指摘されている。

<SGRを機能停止すれば大気汚染問題>
ほとんどの当該車両には、独製のNOx除去装置(SGR/主にボッシュ製)が取り付けられており、一台一台独社によるプログラム変更を余儀なくされるが、大気汚染を助長するものにもなる。ほかの排ガス機関に支障がなければ、一時的に装置を取り外すことも検討されている。

韓国では、そうした装置も取り付けられていない古いディーゼル車も600万台~800万台あまりが走行し大気汚染、さらにソウルを深刻なものにもしてしまう。

<中国へ緊急支援要請>
記事では、韓国政府は8日、中国政府に対して緊急支援を求めたと掲載。現在、韓国内では、ディーゼルエンジン用尿素水の買占め、価格釣り上げ現象が起こり、詐欺事件さえ起きているとし、「大した技術力が含まれているわけでもない尿素が、韓国の首を締め付けている」、「新コロナの世界的なまん延によるサプライチェーンへの打撃を象徴する極端な事例だ」と伝えた。

<緊急輸入>
そして、韓国政府が、中国の他にオーストラリアやベトナムなどからも緊急調達の動きを進め、オーストラリアから尿素水2万トン、ベトナムから尿素5000トンを調達。
(韓国政府は、オーストラリアへ軍用機を飛ばし調達している。しかし、値上がりをチャンスに変え一儲けたくらむ個人はいち早く日本から個人輸入、すでに6.5万トンを輸入しているという。航空便なりで調達コストが高くなる個人輸入、それはすでに騒動前価格より10倍に跳ね上がっている尿素水価格により稼げるという計算が働いている。価格上昇を狙った業者の大量買占めも原因になっているものと見られる。燃料スタンドではすでに尿素水はなく、業者により臨時の尿素水販売所が設置され、高額販売でもトラックが長蛇の列をなしているという。)

中国から1万8千トン(尿素/今月末入荷予定)/市場投入は精製後
オーストラリアから2.7万ℓ(尿素水/調達済み)
ベトナムから5千トン(尿素/今月から順次?)/市場投入は精製後
(個人輸入により日本から6.5万ℓ(尿素水)調達済み/韓国報道)

該当全車両の1日平均必要量は60~65万リットル(精製後の尿素計算では200トン分/韓国環境部)。

<韓国だけで生じている問題と指摘>
記事では、今回の尿素水不足が韓国国内だけで発生し、他国において連鎖反応が起こっていないとも指摘している。
その理由について、
1、「韓国自身と直接の関係がある。はっきり言えば、韓国の自動車車両の構造的リスクに関係している」と指摘し、「韓国のディーゼル車保有台数は981万台で、日本や米国、中国よりもはるかに高い比率になっていること、それにもかかわらず尿素水の供給問題について、各当事者が十分に思慮せず、相応の備蓄をしてこなかったことが問題の一つだ」と報じている。

2、また、韓国での尿素水不足を「予知できたにもかかわらず前もって対処してこなかった問題」と指摘し、
(1)、韓国が輸入する工業用尿素のうち97.6%が中国からと深刻な対中国依存状態であること、
(2)、中国政府が近ごろ尿素輸出に対する管理強化し始め、以前からその予兆が見られたにもかかわらず関係業界が危機意識を抱かなかったこと
を問題点として挙げている。
(3)、また今回の問題で、韓国の外的な変化に対応する能力・脆弱性が露呈されたとも指摘している。

そして、現時点では供給状況が完全な不足状態ではなく「お金を出せば尿素が手に入る」状況の可能性があるとしつつ、「もし、市場取引の自由を制限する政策を出さず、関係当局が供給源のコントロール保ちつつ、買いだめに対する有効な取り締まりを実現できなければ、韓国の尿素水問題は『供給状況の逼迫』から『供給不足』へとエスカレートすることになる」と指摘している。

<産業用尿素は精製が必要、ロッテ化学だけ>
工業用産業用尿素は肥料用などに用いられ、車両用にするには不純物を取り除く精製工程が必要となる。
韓国ではこれまでに安価な中国製などに負け、尿素の生産施設はすでになく、ロッテ化学だけしか精製施設はなく、尿素を輸入し精製して尿素水も生産している。
その尿素在庫も今月入荷がなければ枯渇するという。ロッテの尿素水の韓国市場シェアは40%あまり、残りは輸入されているため精製能力も限られている。

<儲かる事業しかしない韓国の財閥>
韓国政府のご加護下にある財閥は利益が出る事業しか行わず、事業を細かく分社化し、儲けが出なければ潰すか、再編するか、売却するかで儲かる事業のみを推進している。そのため総合利益により国家のため生産を継続する意識もなく、政府にもその意識はない。
新自由主義にどっぷり漬かった日本の大手企業もすでにその領域にある。戦略物資とは最先端の製品や部品だけではない。食料安保の考え方もそこにある。国がそうした生産物については税率でも特に引き下げ生産を続けさせる必要がある(トランプの鉄鋼制裁はそこにあった)。

韓国においては、尿素水は火力発電所の排煙のNOx除去装置にも大量使用され、需要がピークとなる冬場の発電にも影響すると、尻に火がついた状態となっている。

<中国で石炭と電力が安定するのは来年4月以降>
現在、中国では石炭の増産体制に入っているが、総発電量の6割をまかなう石炭火力発電所の電力不足は、電力需要低迷期の初秋に始まり、今後、需要期の冬場、解消するのは4月以降との見方がなされている。
それまで、発電所への石炭供給を安定化させ、石炭使用率の高い粗鋼生産(溶鉱炉/コークス=石炭)や電力消費の大きい鉄鋼(電炉)、アルミ、レアメタル生産などは国家主導で生産調整している。そうした中、石炭や天然ガスから抽出するアンモニアから製造する尿素も電力も石炭も大量消費することからその対象となっている。


 

[ 2021年11月12日 ]

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