アイコン 英FTもEUk現代重工業と大宇造船海洋の統合不認可見通し報道


英フィナンシャルタイムズ(FT)は11日、EU競争当局が、隣国の現代重工業と大宇造船海洋の企業結合を認可しない方針を固めたと報じた。
12月のロイター通信に続き、EUが両社の合併を認めないとする海外メディアの報道が相次いでいる。EUは今週中にも最終結果を発表する見通し。

FTによると、EU競争当局は液化天然ガス(LNG)タンカー市場の独占・寡占を懸念し、両社の合併を認めない決定を下したという。両社が合併した場合、LNGタンカー市場でのシェアは60%に達する。

EUは両社が合併後にLNGタンカーの価格を引き上げれば、A・P・モラー・マースク(デンマーク)やCMA CGM(フランス)など欧州の海運会社が被害を受けかねないと懸念してきていた。

また、最近のエネルギー供給混乱で、欧州でLNG価格が高騰しており、LNGタンカーの価格まで上昇すれば、欧州でのLNGの消費者価格が大幅に上昇しかねないことも不認可の重要な理由になったとみられる。

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現代重工業は大宇造船海洋の合併に向け、EU、中国、シンガポール、カザフスタン、日本、韓国に企業結合審査を申請し、中国、シンガポール、カザフスタンで認可を得たが、最大の関門であるEUの壁を超えられない状況となった。
1ヶ国・地域でも合併承認が得られなければ合併は頓挫する。

現代重工業関係者は「まだ決定の通知を受けていない。最終決定までEUによる無条件での認可に最善を尽くす」と述べているという。

隣国公正取引委員会もEUの否定的な姿勢をある程度感じ取っている。
公取委関係者は「EUが合併承認に否定的な状況であり、近く関連する発表を行うと聞いている」と話している。

ロイターは12月、「(現代重工業と大宇造船海洋の経営統合が、)競争制限に対する懸念を払拭できるだけの是正案を提示するのを拒否していることから、EU当局は『拒否権』行使を目前にしている」と報じていた。

欧州を含む全世界の主な独占禁止当局は、特にLNG運搬船市場の独占・寡占の深化を懸念してきた。
今回の企業結合が行われるとなると、サムスン重工、現代重工・大宇造船海洋の3強体制が2強体制に再編されることになる。
この懸念を根本的に解消するためには、株式の売却など構造的な措置が含まれていなければならないが、現代重工業は構造的な措置は選択肢ではないという判断により、是正案を提出しないと伝えられていた。

大宇造船海洋は、大宇財閥解体から政府系金融機関の産業銀行が実質傘下に入り経営を行っている。これまでも売却話はあったが、軍艦など製造しており、隣国政府が承認しなかった経緯もある。
2015年には大宇造船海洋は産業銀行出身者たちが経営しながら巨額粉飾決算を露呈、再び政府が支援して再建された経緯がある。政府支援に競争法違反だとして日本が問題視したこともある。

文政権になり、政府がもてあます大宇をいとも簡単に現代重工に実質糾合させることを決定し、すでに統合状態で動いている。しかし、EUが反対すれば、合併や統合を白紙にせざるを得なくなる。
計画では、韓国産業銀行と現代重工業が新たに持株会社「韓国造船海洋」を設立。傘下に現代系の造船3社と大宇が入る計画。

船舶を発注する世界の海運会社の大手はすべて欧州にあり、これまで隣国勢の3社は仲が異常に悪く、ダンピング合戦を繰り返し安値受注してきた経緯もあり、2015年には3社とも大赤字を出し、3社とも一時銀行管理下に陥っていた。
そうした中、欧州の海運大手が中・大型船を手放し、運搬効率のよいスーパーコンテナ船やLNG船を発注し出し、隣国造船大手3社は生き返っていた。

そして、新コロナ事態で海運業者は世界各国の港湾の防疫強化で荷揚げ作業が大幅に遅れ、順番待ちでの湾外に待機する船舶が続出、一機に船舶不足に陥り、コンテナ船の運搬費は高騰、バラ積み船のバルチック海運指数も2019年当時から大幅に上昇している。  
そうしたことからスーパーコンテナ船の発注やCo2問題から石炭火力発電からLNG発電への切り替えによるLNG運搬船ニーズが高まり、隣国勢は空前の船舶受注に至っている。
一方で、独、仏、伊、英の造船業界は日本同様、風前の灯になっている。米国は軍艦以外の造船はすでに捨て、海運も捨てている。元々ユダヤ系やギリシャ系が強い海運業界でもあった。

新コロナが終息すれば、所有船を巨大コンテナ船に切り変えてきた大手海運会社は再び、価格競争を行い、スーパー以外の海運会社は再編されることになる。
日本の大手3社(郵船、商船三井、川崎汽船)も再編され、コンテナ船部門を新会社1社に統合させている。新コロナ事態で、新会社の配当金は3社の利益頭になっている。
 日本の大手海運会社にしても日本の造船会社には発注しておらず、隣国3社に新造船のほとんどを発注している。
日本の造船業界は政府にも国内の海運会社からも見放され、かって財閥系の造船会社は、天下り等により政府との強い結びつきで予算に糸目を付けない軍艦ばかり造って儲けている。
かって日本は世界一の造船大国であった。

 


スクロール→

世界のコンテナ船大手海運会社

China Ocean Shipping Group

COSCO

中国

Maersk Line

マースク

デンマーク

CMA CGM

CMA CGM

フランス

Mediterranean Shipping Co.

MSC

スイス

Hapag-Lloyd Container Line

ハパックロイド

ドイツ

日本郵船

郵船

日本

ONE(日本3社のコンテナ船統合会社)

ONE

日本

商船三井

商船

日本

Evergreen

エバーグリーン

台湾

 

[ 2022年1月13日 ]

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