負債1.1兆円のマレリ(旧カルソニック) 経営ピンチ ADR申請へ
旧カルソニックカンセイのマレリ、伊マレリの巨額買収負担、新コロナ問題が大きく影響し、経営不振に陥り、ADRを検討しているが、30行余りの銀行、海外行も多く、大親会社が投資ファンドのKKRだけに紆余曲折するものと見られる。
経営不振から2020年12月(決算期変更で6ヶ月間)にはすでに債務超過に陥っていた。
1938年創業の日本ラヂヱーターが、1988年にカルソニックに社名変更、
2000年に日産系の自動車部品メーカー(株)カンセイと合併し、カルソニックカンセイ(株)に。
2017年3月、日産は投資ファンドであるコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)傘下のCKホールディングスが実施した株式公開買付けに、保有全株式を応募。同年3月29日付で日産グループから離脱、同年5月11日付でCKホールディングス(株)の完全子会社となり、上場も廃止された。(日産はカルロス・ゴーン時代)
2017年5月、上場廃止
KKRの買収は4700億円とされていた。
2018年10月、KKR主導でフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の自動車部品部門、マニエッティ・マレリを約62億ユーロで買収、カルソニックカンセイと統合させ、自動車サプライヤー売上高は世界第7位となる。
大手自動車部品会社としてグループ企業も有し、2017年3月時点で34の子会社と、14の持分法適用関連会社を有している。
2019年10月、KKRの意向で現在のマレリに社名変更している。
2022年までに再上場の構想を有していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う世界的な景気減速により経営悪化。
2022年2月、金融機関への債務が1.1兆円規模に達し、同年2月には事業再生ADRの活用を検討していることが報じられた。
同社の親会社はCKホールディングスで100%の株を有している。そのCK-HDの親会社はKKRで運用資産は2520億ドル(20年12月現在/現在円価は約28兆円)の投資ファンド。
KKRがマニエッティ・マレリを買収し、カルソニックカンセイ(株)(現マレリ)に買収額とともに抱え込ませた構図。
負債額にしても、KKRがカルソニックを買収したのが4700億円、KKRがマレリを買収したのが62億ユーロ(約8000億円)、少なくともマレリの8000億円は現マレリが抱え込んでいるものと見られる。
なお、下記のとおり単独の決算公告では1.1兆円の負債はまだ反映されていない。マニエッティ・マレリの買収分の負債に相当する資産および営業体はイタリアを中心とする海外に所在する。
当然、KKRは財務内容を改善させ、新コロナも収束し、利益が出るようになれば、第3社企業に売却し、カルソニックカンサイやマニエッティ・マレリを
日本の金融機関もADRに対する対応には相手が投資ファンドであり苦慮するものと見られる。
スクロール→
マレリの決算公告 2019年12月期 /億円 |
|||
流動資産 |
979 |
流動負債 |
2,133 |
売掛金 |
411 |
短期借入金 |
1,342 |
関係会社貸付金 |
187 |
固定負債 |
161 |
固定資産 |
1,272 |
長期借入金 |
129 |
投資等(関係者株式) |
765 |
株主資本 |
-41 |
|
|
資本金 |
4 |
総資産 |
2,252 |
負債+純資産 |
2,252 |
|
|||
マレリ決算/億円 |
|
||
|
売上高 |
利益 |
|
2019/3期 |
3,200 |
-150 |
|
2019/12期 |
2,171 |
-84 |
|
2020/12期 |
2,148 |
-282 |
|
↓連結 |
|
|
|
2020/12期 |
12,660 |
|
スクロール→
マレリ(株) |
|
本社地 |
埼玉県さいたま市北区日進町2丁目1917番地 |
設立 |
1938年8月. |
(日本ラヂヱーター製造株式會社) |
|
業種 |
輸送用機器 |
代表者 |
ベダ・ボルゼニウス(代表取締役社長) |
資本金 |
16億円(2018年3月期) |
|
群馬工場、児玉工場(埼玉)、吉見工場(埼玉)、追浜工場(神奈川) |
従業員数 |
連結:2万2,382名(2019年3月31日時点) |
主要株主 |
CKホールディングス 100% |
CK-HDの親会社は米投資ファンドのKKR |
|
主要子会社 |
東京ラヂエーター製造 40.06% |
連結 |
マニエッティ・マレリ(イタリア) |