アイコン マスク・ツイッター窮地に陥る 偽情報も「言論の自由」は通用するのか


米メディアは11月17日、米ツイッターの多くの社員が退職を決めた可能性があると報じた。
オーナーとなったイーロン・マスクが、17日午後までに「長時間労働を受け入れるか、辞めるか」選択するよう迫ったことを受けて決断したもよう。退職者は数百人規模に上るとの情報もあると報じた。

買収直後、ツイッター社のコントロールタワーの経営陣を全員首に、そして社員7500人のうち3750人あまりを即解雇。
残った3750人に対して、今度は「長時間労働をするか・辞めるか」の2社択一を迫り、数百人が退職したという。(社員の首切り退職者に対しては、給与3ヶ月分の解雇予告手当が支給されるだけ)
契約社員5000人についてもすでに契約解除により解雇しているという。

マスクは偽情報やスパムボッドなどに対する検閲強化につき、AIを使用して除去する方法により人手いらずにするという。しかし、それまでは偽情報が氾濫することになり、すでに企業の偽情報がツイッター上に氾濫とているという。

 

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こうしたマスク・ツイッター社の動きについて、大口広告主たちがツイッターの広告から離れ、ツイッター社は経営がすでに苦しくなってきているという。
それに対して、マスクは、社員に対して、月8ドルの「ツイッターブルー」会員を増やせと檄を飛ばしている。
長時間労働を迫っているのは、そうした有料会員が増加していないことの裏返しと見られる。
スパムボット対策や偽情報の検閲をAIロボットで撲滅するというが、その構築には膨大な費用と時間がかかる。
すでにSNSは氾濫している。若い人たちが使用している率も少なくなっている。偽情報氾濫でツイッター離れも加速しているものと見られる。

2022年4月25日、マスク、ツイッター社買収提案
6月6日、偽アカウントやスパムアカウントの詳細を明らかにしなければ白紙にすると言及
7月6日、買収を撤回・白紙に
10月27日、買収発表
ツイッター社を440億ドル=約6兆円で購入したマスク、
ツイッター社のコントロールタワーはマスクのみ。
契約社員含め検閲担当は1/3以下に、残った人材で検閲も営業も行うことになる。
偽情報氾濫、
大広告主逃げ
経営不振に、
・・・半値8掛けで売却する運命にあるのかもしれない。

そもそもツイッター社購入を一度白紙にした経緯は、偽情報、スパムボッドの撲滅体制がなっていないとしたものだった。どれほどのスパムボッド(メール収集ロボット)があるのかさえ把握していない点を問題視し、白紙にした経緯があった。

しかし、購入後は、偽情報(迷惑メール=スパム/ツイッター偽情報投稿)さえ許容する「言論の自由」を持ち出し、言っていることとなしていることのギャップはトランプ以上。
当のトランプでさえフェイクニュースだとして米主要メディアの確たるニュースさえ否定した人物。マスクもトランプそっくりさんの思考回路の持ち主のようだ。

IT企業、シリコンバレーの企業の多くの経営者は民主党支持、マスクは中間選挙直前に「共和党に投票しよう」と呼びかけ、政党色まで出しており、会員獲得に大きなハードルを自ら作ってしまっている(本人は昨年まで民主党に投票していたと述べているが事実かどうかはハッタリの多い人物でわからない。トランプ前大統領が即反応し、マスクに賛辞を与えていた)。
 ・亡者のマスク、ツイッターというSNS、これまでとまったく異なる世界に入り込み、成功するかどうかはまったくわからなくなってきている。

<裁判>
ツイッター社は本部をデラウェア州に置いており、州法により、一度買収を表明した者は買収を白紙にするにたる問題がない限り、買収しなければならないとする。
ツイッター社は7月19日、デラウェア州衡平法裁判所に、マスクを相手どり買収の契約履行を求めて提訴した。その裁判の審理が10月に始まる予定だった。
マスクはツイッター社の大株主・巨額資産家でもあり、簡単に白紙にできない立場に立たされていた。
そうしたことも踏まえ、10月、最終的に買収を決定し、買収したものと見られる。

その腹いせに、買収直後、ツイッター社の法務担当役員も含め経営陣9人全員を即刻解任したと見られる。
今回の問題の原点は、マスクの「腹いせ」・「八つ当たり」により、ツイッター社そのものが危機にさらされていることではないだろうか。

<今後>
人権団体は言うに及ばず、政府機関からも、すでに偽情報氾濫で指摘を受けており、議会の公聴会に引っ張り出される可能性も高い(中間選挙直前の共和党投票呼びかけも災いとなる)。
 無視すれば、制裁を受ける可能性もある。

<マスク>
1989年、18歳にしてカナダ(母親カナダ国籍/父は技師・米国籍持つ)に移住するまで南アフリカ人、当時の南アフリカは人種差別のアパルトヘイト時代(1994年まで)、幼少から百科事典を読破、天才とされ、9歳でコンピュータを購入、12歳にしてプログラミングした商売用ソフトを販売。(カナダ行きもアパルトヘイト下での兵役拒否を念頭にしたものとされる)
カナダではクイーンズ大学(その後、奨学金を受けペンシルベニア大に転校、経済学と物理学を学ぶ)、に入るまで1年間あまり、従兄弟が営む農林業の作業にあたるなど一時苦労したようだが、18歳までに形成された性格が今を形成しているものと見られる。

米国でベトナム戦争が終わったのは1975年、徴兵制度は1973年廃止、1980年以降、選抜制徴兵制度導入(登録制/貧困層の多くの志願兵もおり充足し、現実は活用されていない)。
1971年生まれのマスク、シリコンバレーの米国人との違いは、少年時代のアパルトヘイト、社会・生活環境下で形成される性格の違いにあるのかもしれない。

ペンシルベニア大時代から、次の世界はネット、エコ・宇宙にあると述べていたという。そしてエコ・EVへ走り、サンヨー電機の充電地(ニッカド電池)に着目してサンヨーと共同研究、サンヨー破綻で事業を継承したパナ社がテスラと車両用燃料電池で組み、テスラ車を誕生させた。

電力用蓄電池も2017年に豪南オーストラリア州の季節的な電力不足に提供し、停電のない当地の電力会社に変貌させている。ソーラー事業を展開していた従兄弟の会社を買収していた。

宇宙もNASAが民間委託事業に切り替えたことでスペースX社を設立して参入、NASAの協力の下、1段目ロケットの再利用を可能にして、安価にロケットを飛ばしている。
また、通信分野もスペースX社が担当する「Starlink」計画、宇宙に通信衛星をすでに1600機以上打ち上げ、世界の宇宙通信網を構築している。計画では2020年代までに宇宙三層に計12000基の通信衛星を打ち上げる計画。すでに最新のiPhone14には宇宙通信を利用したSOS発信機能を搭載し、宇宙通信時代が到来(基地局が宇宙にあり電波が届かないところがない。マスクは宇宙通信回線をウクライナに無料提供し、ネット回線が使用できるようにしている)。
大学時代の構想の最後の案件が、ツイッターであるのかもしれない。
米国の投資家がマスクの将来性を見込み、マスクに対して巨額投資し続け、これらをマスクは着実に実現させてきている。そうした投資家の基盤が米国にはある。

ただ、そこにはマスクはいるが、スタッフたちや社員たちの貢献は見えてこない。元テスラなり、元スペースX出身の事業成功者は限りなく少ない。

[ 2022年11月19日 ]

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