アイコン 韓国の1~20日までの貿易収支赤字 今年24年ぶりの赤字か


韓国は貿易立国、世界規模の大宣伝、稼ぎも中国やベトナムを利用する上手な国だ。しかし、今年の狂乱物価と米国のインフレ退治の金利上昇による経済不振が直撃しており、昨年輸出を大幅に伸ばす原動力になっていた半導体や石油製品・合成樹脂などが低迷、一方、原油や天然ガスの価格暴騰による輸入額の急増により、今年の貿易収支はリーマンショックの2008年来14年ぶりに赤字になると予想されている。
輸入は原油価格が沈静化してきており、それに加え、昨年秋にはすでに高騰していたことから増加率は大幅に減少傾向にある。

問題は輸出、前年同月比で12月までの3ヶ月間連続してマイナス見通し。半導体は昨年11月をピークにして単価が大幅下落、すでにSKハイニックスは在庫を抱え生産調整に入り、来年の投資も半減すると発表している。メモリ半導体で世界ナンバー1のサムスンは、不況下のシェア拡大のため通常生産し在庫を積み上げ、価格下落の一要因にもなっている。比較的利益に影響を及ぼさないファンドリー部門は、新製品がTSMCに流れており、メモリ半導体の下落の影響をモロに受けている(受注していたGPUのNVIDIAでは発熱問題も抱えていた)。

また、最大の輸出先の中国経済の回復(中国と香港の合計では全体の35%前後)、ゼロコロナ策で経済不振が続き、ウィズコロナ策に転じたが、途端に大感染になっている情報が氾濫している(政府が認めておらず僅かな有症感染者数しか公表していない)。
政策的な不動産価格の下落も落ち込みが続き、今では規制を緩和して回復させようとしているが、不動産開発会社も購入者も打撃を受け、回復しないままとなっている。このままでは経済が持たないと見て11月から順次ゼロコロナ策の規制を緩和、12月から本格化していた。

 

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今年輸出が増加した分では、造船大国の船舶、昨年から引き渡し船舶数も増加し、売上高も大きくなってきているが、昨年からの狂乱物価で、昨年は造船大手3社は造船部門では3社とも大赤字を計上、今年も厚板鋼板価格は上昇しており(秋口から沈静化)、大幅な赤字は必至と見られている(第3四半期の決算では営業利益段階から大赤字)。
2019年から20年の安価な鋼板価格時に受注した分が引き渡し時期に入っており、鋼板の想定外の高騰に悲鳴を上げている。こうした赤字に対して3社は、受注する際、主材料の鋼板相場連動性での受注も一部始めている。さらに労働者不足も生じている。ベトナムからの大量の溶接工の労働者派遣、不正発覚で韓国入国が2ヶ月以上遅れ(12月までに入国)、すでに船舶の工期遅れも生じており、今後、違約金問題にも発展しそう、利益が厳しいだけに影響が心配される。

上半期好調だった東南アジアへの輸出も、しいては韓国企業の進出企業に対する輸出が多く、欧米経済不振では進出先国からの製品輸出が影響を受けることになる。サムスンやLGの家電やスマホの生産基地はベトナムにある。

2023年も新コロナ問題を抱え続ける中国経済の回復、インフレ退治中の米経済の回復が、韓国の貿易を大きく左右する。上半期は厳しい見方が大勢を占めている。


スクロール→

韓国の貿易収支/税関当局

 

輸出

輸入

貿易収支

/百万ドル

前年比

/百万ドル

前年比

/百万ドル

21/10

55,662

 

53,841

 

1,821

21/11

59,650

27.1

53,700

45.3

5,950

21/12

60,740

18.3

61,320

37.4

-580

2021年計

644,439

25.7

615,037

31.5

29,402

22/1

55,458

19.8

60,399

34.4

-4,941

22/2

54,156

19.1

53,357

25.9

799

22/3

63,794

16.9

63,701

25.1

93

22/4

57,850

11.2

60,326

37.8

-2,476

22/5

61,586

20.5

63,192

32.4

-1,606

22/6

57,683

9.1

60,180

18.9

-2,497

22/7

60,251

6.9

65,340

35.5

-5,089

22/8

56,673

6.6

66,067

28.2

-9,394

22/9

57,447

2.8

61,226

18.6

-3,779

22/10

52,482

-5.7

59,178

9.9

-6,696

22/11

51,910

-13.0

58,925

9.7

-7,015

12/120

33,600

-8.8

40,100

1.9

-6,430

1/112/20

662,890

 

711,991

 

-48,970

 

韓国、2021年輸出好調物品

半導体

29.0%

石油製品

57.7%

合成樹脂

51.8%

2021年増加した輸入品

原油

50.8%

天然ガス

62.0%

半導体

22.1%

半導体製造装置

51.0%

 

中国の4月からの上海ロックダウン、その後の各都市のロックダウンの影響で上半期は中国への輸出が大幅鈍化、下半期はマイナスとなっている。

韓国、22年上半期の貿易

輸出

15.5%

350,300

 中国

6.9%

81,380

 東南アジア

31.8%

64,720

 米国

18.2%

54,960

輸入

26.2%

360,600

 原油・ガス・石炭

87.5%

87,900

 

[ 2022年12月22日 ]

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