アイコン 中国の貧困県が金持ち県に 「日本の棺桶」の9割製造 「漢服」も


中国の山東省菏沢市の曹県は十数年前まで貧困地域だったが、今では地域で最も豊かな県となっている。収入が高い街として、ジョークで「北京、上海、広州・曹県)」と言われるほどに急成長している。
その理由は「日本の棺桶の里」とコスプレ風民族衣装「漢服の里」として、二大産業を軸に発展を遂げたことだった。

曹県孫庄村の孫康佳党副書記は、「昨年は、BMWのセールスが村にやってきて、3日足らずで村民が8台購入。今年はAudiが来たが、繁忙期でみんな忙しく、4台しか売れなかった」という。曹県にはこうした「金持ち村」が数多くあるという。

 曹県の面積は大阪府と同程度の1967平方キロで、人口は約170万人。以前は木材加工業以外に目立った産業はなく、住民の多くが出稼ぎをする「労働輸出県」だった。

 そんな中、高品質の桐の木が豊富なことから、日本の棺桶製造を手がけることになる。成長が早く、軽くて湿気に強く、燃えやすい桐は棺桶作りに適している。

曹県の材木加工企業は、日本の葬儀文化や礼儀を学び、従業員を日本で研修させながら、日本側の厳しい品質要求に応じて棺を一つずつ手作りしている。
棺の製造企業・工房は数千社に及び、一社だけで年間30万基の棺を造っている大きな会社もある。あるデータによると、日本の棺桶の9割は曹県で作られているという。

 

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曹県ではさらに飛躍を遂げたのは「漢服」の生産

中国ではここ数年、伝統文化をファッションやライフスタイルに取り入れる「国潮」文化=漢服のコスプレファッションがブームとなっている。
その一つとして、漢や唐などの時代の衣装をオシャレに仕立てた「漢服」が若者の間で人気となり、グループで漢服を着て花見をしたり、SNSで投稿したりしている。
 (「漢服」は日本の浴衣や着物に刺激され、韓国との激しい韓服×明服論争で拍車がかかっている)
曹県では、昔から葬式で故人に着せる着物や舞台衣装の製造も盛んだった。
その応用で早期から漢服を手がけ、今では関連企業は2000社を超え、中国で販売される漢服の3分の1は曹県で作られているという。
販売はインターネットを通じて行われ、売上額は4億元(約76億円)に上る。阿里巴巴(アリババ)の通販サイト「淘宝(タオバオ)」でのショップ数は世帯数の10%以上となっている。

中国では、年間売上高が1000万元(約1億9千万円)以上の地域を「淘宝村」に認定しており、曹県は全国の「淘宝村ベスト100」で第2位となっている。
2018年以降、曹県では若者たち9万7300人が帰郷して仕事するようになり、就業者の平均年齢は以前より5歳も若返ったという。
かつての貧困県は、地方で自立した成長を成し遂げた成功モデルとなっている。
以上、AFP参照

曹県には桐材加工の町とポプラ材加工の町があり、主な製品は、桐棺桶、桐家具、ボード、ポプラ、手工芸品、合板、ブロックボード、壁パネルなど40種類以上、米国、日本、韓国など20以上の国や地域に輸出されている。

年間生産額は10億元(1元/19.3円)を超え 2006年の1人当たりの純所得は2145万元(41,400円/19.3円)だったものが、今では4300元(83,000円/同)を超え、2006年の倍以上になっているという。特に桐生産地で棺桶や衣装ケースを生産する孫庄村はさらに所得が多いようだ。
(日本の個人所得平均は1990年前後のバブル時代より、現在は低くなっている。高齢の高額所得者が退職し、一方で、国の政策により低賃金の非正規雇用者が増加していることによるもの)

山東省菏沢市は黄海に面する山東省の最南西部に位置し河南省に接した山間部。日本では、以前は中国桐の木材を輸入し、日本で棺桶や家具を製造していた。しかし、日本より安価に製造できる桐産地の現地企業に製造委託するようになったもの。

[ 2023年4月13日 ]

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