アイコン 中国、不動産バブル崩壊の危機=元暴落の危機


中国は共同富裕論により、不動産業界を強力に締め付け、その後遺症が中国経済を苦しめ続けている。
禁断の3期目を目指し「共同富裕論」を持ち出した習政権の政策の誤算は、公共投資の拡大により乗り越えられると見ていただろうが、大規模公共投資をしてもリーマンショック後のような効果が生じないことにある。

それは、
①新コロナ・ロックダウン等による中国経済への深刻なダメージと回復力の弱さ
②2010年と2022年ではGDPが3倍に拡大しており、大型公共投資を続けてもその効果が薄くなっていること、
③不動産政策の失敗、ダメージは不動産開発会社にとどまらず、購入した国民、不動産会社の債券を購入した国民、ゼネコン等住宅建築関連業界など多岐に渡っていること。
住宅開発は経済波及効果が非常に高く、関連業界全般の経済活動が殺がれている。

④ネット通販のネット企業の創業者などを「共同富裕論」の名の下に潰しており、そうした新産業創出力の高い創業者たちの活動が停止させられていることにある。

 

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⑤米中貿易戦争の拡大、米エンティティリスト掲載数の大幅増加と輸出規制
⑥失業率が高くなってきている。欧米のインフレ退治の金利高による経済悪化、米国の最先端半導体の輸出制限により、中国のサーバー用やAI機器用、ゲーム機の生産に制約が生じていること。
⑦一帯一路覇権戦略に基づく借金の漬物国化、新コロナ・為替安・物価高により貸付金の元利金の返済が滞っていることもあり、外貨不足、特にドル不足に陥っていること。

⑧習政権は3期目に入り、中央常任政治局員6人全員習派で固め(本人含めチャイナセブン)、経済政策・金融政策の柔軟性をなくしていること。3期目は中南海で独裁政権の様相。
2期目までは経済通の李克強首相が習主席と対立しながらも存在していた。
(李克強氏は日本たたきの火消し役も務めてきていた。現在そうした人物がおらず、中国は直接的に反日に動く可能性がある。ただ、経済との天秤にかけざるを得ない状況下でもある)

以上により、中国経済は内外需とも活力を失しており、抜け出すには情報統制しかないのが実情のようだ。当然、国家統計局の発表値もコントロールされることになる。

中国では現在、民間不動産会社最大の恒大、民間住宅開発会社最大の碧桂園、2017年に虐められ耐えた商業不動産開発会社の大連万達などが危機に瀕しているが、これまでに中小の不動産開発会社が数多く破綻している。
危機下にあるのはほかに政府系の遠洋集団、上海市政系の緑地控股、融創中国、金地集団など、安泰は中央政府の国務院系不動産会社と深圳市系の万科集団など限られた不動産開発会社となっている。


中国の習近平国家主席がインド・ニューデリーで9月9~10日に開催されたG20首脳会議(サミット)を初めて欠席した。
バイデン米大統領は8月10日、中国経済について「爆発するのを待っている時限爆弾」とズバリ言われ、不動産バブル崩壊は止まらず、金融不安も募るのに、情報隠し以外の対策を打てない状況。
「時限爆弾」の規模は、不動産デベロッパー発行の債券だけでも500兆円規模とみられている。各国首脳に聞かれたら返答に窮するだろう。

習氏膝元の北京では、信託商品の支払い不能の投資ファンド大手、「中植企業集団」とその傘下の「中融国際信託」のオフィスビルには投資家の主婦や零細企業経営者などが連日のように、押しかけている。

習政権の対応はもっぱら新聞やテレビに対する徹底的な報道管制と公安警察による投資家抗議グループへの執拗な監視や拘束。公安は投資家全員に個人情報の提出を求め、行動を24時間追跡しているもよう。

中国の場合、これまで何度も不動産バブルを規制強化しても広汎な金融危機の発生を阻止した。その秘訣は徹底的な情報の隠蔽にある。
貸し手の金融機関や投資ファンドの信用は、バランスシート(財務諸表)上の負債が資産を上回らなければ、つまり債務超過が表面化しなければ保たれる。
中国の場合、党の指示で不良資産を隠してしまう。その間に主な投資先の不動産市場が好転すれば、難局回避というシナリオとなっている。

しかし、今回は、これまでとは異なり、3期目突入に当たり共同富裕論の下に「住宅価格を大幅に引き下げる目的」で、金融機関を使い、不動産開発業界に対して徹底して融資規制をはかっており、その手綱を緩めない限り、購入者側の規制をいくら緩和しても片手落ちで回復の見込みはない。
「共同富裕論」の習政権のターゲットは、アリババに見られるように企業どころか、創業者や経営者にまで及んでおり、超一流の新産業の開発リーダーでもあるそうした人材を潰せば、新産業の芽を潰すことにもなる。

南シナ海の一方的な領海宣言と島嶼の軍事要塞化、中華思想でもある世界制覇に向けた一帯一路覇権戦略の奢り昂ぶりが、祇園精舎の鐘の声となっている。
・・遠く異朝をとぶらへば、秦の趙高、漢の王莽、梁の朱忌、唐の祿山、これらは皆旧主先皇の政にも従はず、樂しみをきはめ、諌めをも思ひ入れず、天下の乱れん事を悟らずして、民間の愁ふるところを知らざつしかば、久しからずして、亡じにし者どもなり(原文)。
・ ・・習氏の名が登場しないことを祈るばかりだ。

民間不動産開発会社を潰してしまえば、民間活力はなくなり、変わって国家管理が強まり、再び、政府組織は不正の宝庫となる。


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中国の政府系不動産会社 国務院系は安泰

保利集団(中央政府の国務院系)

中国海外発展(香港拠点、国務院系)

華潤置地(国務院系)

招商局集団(香港・深セン/国務院系)

万科集団(筆頭株主は深圳市地鉄集団)

越秀地産(広州市政府系投資会社傘下)

遠洋控股集団(政府系/元安邦保険傘下・破綻国有化)

緑地控股集団(上海市政府系)

 

[ 2023年9月11日 ]

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