アイコン 米、8月のインフレ率 3.7%上昇 2ヶ月連続再上昇 原油価格の行方


米労働省が13日に発表した8月のインフレ率=消費者物価指数が発表され、前年同月比で3.7%上昇し、上昇率は前月から0.5ポイント上回り2ヶ月連続拡大した。

項目別では、
輸送費が前年同月比で10.3%上昇
外食費も6.5%上昇
一方、ガソリンは▲3.3%下落している。

ただ、OPEC+の減産にくわえ、加盟国のサウジとロシアが結託して大幅に減産を今年12月まで敢行するとしており、国際的な原油の先物価格が上昇しており、前月比でガソリンの上昇率は10.6%となっていて、原油高が今後、物価を押し上げる要因となる可能性がある。
燃料は暖房用には11月からシーズン入りし、原油価格の上昇、灯油価格の上昇と過度な上昇が続くものと見られる。

スポンサーリンク

今回の原油高騰原因
※米国の原油生産量はここにきてやっと新コロナ前の生産量の水準に至っている。その最近の生産上昇が、世界の原油がダブツクリスクがあるとして、サウジ(100万バレル)とロシア(30万バレル)の特別減産を実施しており、需要期の冬季を控え、原油価格が上昇しているもの。
 11月から冬季の需要シーズンに入り、年内にも原油価格は100ドルに到達するとの見方もすでに出ている。

一方、
変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア物価指数は、前年同月比デ4.3%上昇と、一昨年9月以来、1年11ヶ月ぶりの低水準となった。
市場では、FRB=連邦準備制度理事会が9月19日から2日間開く金融政策を決定会合で利上げを見送るという見方が強まっているが、終了後の会見でパウエル議長が今後の金利の水準などについてどのような発言をするか注目される。
以上、

インフレ率は購買力によって左右される。
★米国のインフレ率は今後も上がり続ける。
1、米国の購買力は就業者数が過去最高を更新し続けていること。
2、時給も過去最高を更新し続けていること。
この2点をもって、米国人は総体として高くても購入する力が増加し続けており、米当局のインフレ目標2%は短期的には非常に難しい。2%になってもすでに大幅に上昇しており、高止まりとなるが、好景気・人手不足で報酬も上昇していることから、米国民の不満はある程度抑えられる。

(賃金を上げない日本は海外製品をより高く購入することになるが購買力がなく、2割の富裕層のみが購入でき、ほかは総貧困時代に突入する。半導体等、これまでの中国・台湾・韓国製から、今後、高賃金で製造コストが数倍高い米国製を購入することになる。人手不足=賃金上昇の哲理を実現させない国は日本だけだろう)

米国では超大手のIT企業が軒並み大幅賃金引上げを公約している。自動車労組(B3加盟)も大幅賃金引上げを要求してストに入る。
インフレ率は前年で見るが、インフレ率が増加しだしたのは米バイデン政権が2021年3月に1.9兆ドルもの新コロナ対策費を市場投入したことがすべての原因があり、2021年10月からインフレ率はジャンプアップ、その後上昇し続け、露のウクライナ侵攻、露制裁によって2022年3月から燃料価格や穀物価格も上昇、2022年3月からジャブ程度の公定金利を引き上げたものの、資源・エネルギーが暴騰し、手がつけられなくなり、金利を大幅に引き上げ続け、景気を沈静化させ、物価を抑え込もうとしている。

物価上昇策を強力に進めるバイデン政権は、
1、2022年施行のCHIPS法やIRA法により製造工場の新規投資会社に対して巨額補助金を提供、半導体、EVおよびEV用バッテリーも保護貿易に入り、結果、1ヶ所数千億円の巨大工場が全土に30ヶ所以上計画され、順次建設に入り、すでに完成した工場もある。現在でも人手不足にあり、そうした工場は数千人単位で雇用し、労働者の需給は逼迫状態が続く、結果、賃金は上昇し続けることになる。

2、それに加え、ウクライナの戦争特需が米国の兵器産業に生じており、フル生産状態が続いている。それでも間に合わず、韓国からさらに100万発の150ミリ砲弾を購入している有様。

新コロナ対策と合わせてニューディール政策に匹敵するものではないだろうか。米国では10年前にはシェールガス・オイルのエネルギー革命も起きている。その間、日本は目くらまし策・・・。

原油高も再び物価上昇をもたらす。
米バイデン政権がサウジへの増産要請をサウジが断った経緯があり、一方で、バイデン政権は制裁中のベネズエラと、同国のシェブロンの原油施設をシェブロンが改修して生産を再開させることで合意している。
ベネズエラは、OPEC加盟国として生産枠を有しているものの、実際は生産施設の老朽化で半分以下の70万バレル前後しか生産しておらず、財政的にも破綻しており、米バイデン政権の要請を受け入れている。当然そうした施設の生産再開により、ベネズエラは現在、昨年より増産しているものと見られる。

埋蔵量世界一とされるベネズエラの原油生産施設は、ほかの停止施設も米援助で再開させる可能性もある。まずはOPECの生産枠まで生産量を引き上げるものと見られる。

ベネズエラの原油施設は老朽化で次々に生産ストップ、原油収入が激減し、財政難に陥っている。これまで中国が改修工事を行っていたが、改修費用を原油で回収し、ベネズエラとしては実入りが少なく、また中国にしても、ドル不足から海外投資を控える動きにあり、ベネズエラでの改修工事は進んでいない。現在のベネズエラは米国と関係を修復することで、改修工事を進め、実入りと米規制の緩和を実現させる動きにある。)
米国の原油生産増とベネズエラの生産増に対抗する形で、原油価格の下落を阻止するためサウジとロシアが共同して対抗、大量原産を続けているもの。
米国はサウジとロシアの関係を断ち切ることもできないどころか、サウジは中国との関係も迎撃ミサイルの共同開発やサウジ東部の壮大な開発プロジェクトへの参画など関係を大幅に強化している。
根底にあるのは、米国の世界一の生産量を誇る原油と天然ガスにある。


スクロール→

米国の総合インフレ率の推移

 

21

22

23

22+21

22+23

1月.

1.4

7.5

6.4

8.9

13.9

2月

1.7

7.9

6.0

9.6

13.9

3月

2.6

8.5

5.0

11.1

13.5

4月

4.2

8.3

4.9

12.5

13.2

5月

5.0

8.6

4.0

13.6

12.6

6月

5.4

9.1

3.0

14.5

12.1

7月

5.4

8.5

3.2

13.9

11.7

8月

5.3

8.3

3.7

13.6

12.0

9月

5.4

8.2

 

13.6

 

10月

6.2

7.7

 

13.9

 

11月

6.8

7.1

 

13.9

 

12月

7.0

6.5

 

13.5

 

 

米国の食料インフレ率の推移

 

21

22

23

22+21

22+23

1月.

 

7.0

10.1

 

17.1

2月

3.6

7.9

9.5

11.5

17.4

3月

3.5

8.8

8.5

12.3

17.3

4月

2.4

9.4

7.7

11.8

17.1

5月

5.0

10.1

6.7

15.1

16.8

6月

5.4

10.4

5.7

15.8

16.1

7月

5.4

10.9

4.9

16.3

15.8

8月

5.3

11.4

4.3

16.7

15.7

9月

4.6

11.2

 

15.8

 

10月

5.3

10.9

 

16.2

 

11月

6.1

10.6

 

16.7

 

12月

6.3

10.4

 

16.7

 

 

米国のコアインフレ率の推移

 

21

22

23

22+21

22+23

1月.

1.4

6.0

5.6

7.4

11.6

2月

1.3

6.4

5.5

7.7

11.9

3月

1.6

6.5

5.6

8.1

12.1

4月

3.0

6.2

5.5

9.2

11.7

5月

3.8

6.0

5.3

9.8

11.3

6月

4.5

5.9

4.8

10.4

10.7

7月

4.3

5.9

4.7

10.2

10.6

8月

4.0

6.3

4.3

10.3

10.6

9月

4.0

6.6

 

10.6

 

10月

4.6

6.3

 

10.9

 

11月

4.9

6.0

 

10.9

 

12月

5.5

5.7

 

11.2

 

過去1年間の米原油生産状況/BBL/D/1K/米EIA版

米国の原油生産は過去最高水準まで増加してきている。

メキシコ湾岸はメジャーが海底も含め掘削し、大陸内部のシェールオイル・ガスは新興勢力となっている。メジャーはバイデン支持で生産量はMAX状態を続けているが、シェール軍団とバイデンは対立し犬猿の中、それでもシェール軍団も徐々に生産量を伸ばしてきていた。

0915_03.jpg

↓10年間推移

0915_04.jpg

↓WTI先物価格の推移

日本価格は、WTIより高いドバイ原油であれ、北海ブレントであれ、超円安が掛け算される(147円)。 制裁を受け安価なロシア産原油をインドや中国で精製した油類を輸入すれば安価だろうが・・・。

 


スクロール→

WTI原油先物価格 NYM

年月

ドル

年月

ドル

22/1.

82.86

223/1.

78.35

22/2.

92.05

223/2.

76.74

22/3.

108.86

223/3.

73.30

22/4.

101.45

223/4.

79.41

22/5.

109.71

223/5.

71.60

22/6.

114.11

223/6.

70.64

22/7.

99.98

223/7.

81.80

22/8.

91.44

223/8.

83.63

22/9.

84.09

9/15

90.84

22/10.

86.97

 

 

22/11.

84.18

 

 

22/12.

76.57

 

 

 

[ 2023年9月15日 ]

スポンサーリンク
 

 

 


HTML Comment Box is loading comments...



※記事の削除等は問合せにて。

スポンサーリンク
 

 

関連記事

 

 



PICK UP


破産・小口倒産一覧