アイコン 半導体製造装置業界 8月の販売は▲17.5%減 2025年に向け新設工場目白押し


日本半導体製造装置協会(SEAJ)がまとめた日本製半導体製造装置の2023年8月の販売高(速報値、6~8月の3ヶ月移動平均ベース、輸出含む)は、前年同月比▲17.5%減の2,865億400万円だった。前年同月割れは3ヶ月連続。
メモリー半導体の需要減で装置の販売が落ち込んだ2019年7月の同▲18.8%減に次ぐマイナス幅となった。(メモリー半導体は各社在庫増で生産調整中、すでに底を打ち回復過程にある)

世界経済をめぐる不透明感が強まる中、スマートフォンやパソコンなど民生機器需要の回復度合が鈍く、半導体メーカーが先端ロジックやメモリー関連の投資を抑制。装置の販売が伸び悩んでいる。
中国の非先端分野の半導体投資は例外的に活発だが、全体の落ち込みを補い切れていない。

前月比は2.3%増。年度末の反動で販売が落ち込んだ4月の影響がなくなったため7月(5~7月平均)、8月(6~8月平均)ともに2ヶ月連続のプラスとなった。

SEAJは2023年度(4~3月))の販売高について、前年度比▲23%減との予測を変えていない。想定以上に落ち込む可能性少ないものの、年度内に販売が力強さを回復するのは難しいとみられる。

 

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今後の好転材料は、
①米国ではChips法に基づく大規模半導体製造工場が6ヶ所以上建設途上にある。
インテル2ヶ所、サムスン1ヶ所、TSMC2ヶ所ほか、
 TSMCの投資額はズバ抜けており、アリゾナ州に第一工場を建設中ながら第2控除の建設に入ると表明している。総投資額は当初投資予想の3倍に当たる400億ドル(約6兆円/149.7円換算)。
インテルも2ヶ所計で2百億ドル投資の工場建設に入っている。

②米国による韓国勢の中国工場に対する最先端半導体製造装置の輸出禁止(1年間猶予措置中)が、撤廃される動きにある。今後、サムスンの西安工場、SKの無錫工場と大連工場(インテルから買収)が数年内に改修されるか、別途工場増設で新たなラインが構築されることになる。SKの重慶工場は半導体のパッケージング工場。
バイデン大統領は韓国が110万発の150ミリ砲弾をウクライナ戦線に間接的に供給してくれることから、ご褒美に規制解除に動いたものと見られる。米韓はFTA締結国でもある。

③韓国勢は、国内で工場建設計画を半導体暴落で凍結しており、次世代半導体の開発も終えており、半導体の在庫調整が済み、業績が少しでも回復すれば、再度新工場建設に動き出すものと見られる。
(韓国の8月のICT全体の輸出額は前年同月比▲10%減まで回復していたが、半導体は▲22.1%減で、通信中継機器、ディスプレイなどの減少幅が大幅縮小していた。9月は半導体が大幅に伸びている)

④日本では、TSMCとラピダスの半導体工場が建設中、ソニーも増設中、米マイクロンも広島工場の最先端製造装置への改修にかかっている。キオクシアも投資に動いている。
TSMCは熊本工場に隣接して第2工場構想もある。ラピダスはIBMと組み、次世代の2ナノ半導体を製造する計画で、2027年までに本格生産に入る予定。

なお、政管有頂天のラピダスの千歳工場(向こう10年間の総投資額は約5兆円)は2025年完成予定で建設中。2027年から次世代の2ナノ半導体の本格営業生産に移行する予定。

ラビダス千歳工場は、
大地震のリスクがある石狩低地東縁断層帯に所在する(千歳市美々758番7ほか/千歳空港東/工場団地内)。日本の耐震技術を総結集して建設され、M7.7でも生産ラインはびくともしないようだ。ただ、ブラックアウト(=停電=0.01秒の停電でも同じ)した場合、生産再開まで1ヶ月以上かかる。

2018年9月に発生した「胆振東部地震」(M6.7)では、多くの被害が生じたが、札幌近郊などでも液状化現象による建物被害が生じた。地殻内の逆断層地震とされている。

千歳空港の敷地土壌は、周支笏湖火山帯の火山灰の堆積地、ラピダスの工場敷地も同じだろう。
上海の寺院のように大仏様が、地震が発生しないように鰻を踏みつけ、地震の発生がほとんどない大都市もある。地震が発生するかどうかはまだまだ神頼みの領域。津波の過去の履歴さえ、過去の資料がありながら生かさないのはリスク地での建築にお墨付きを与える土木学会の悪知恵。現地は断層がいくつも走っており、地震リスクがあるとされている。

次世代の最先端半導体「2ナノ半導体」の量産。
設立から1年余りのこの会社に、政府はすでに3300億円の助成を行うと決めているが、さらに助成するものと見られる。政府は紙切れを切ればいくらでも助成できる。

8月の半導体製造装置の販売高は
日本半導体製造装置協会(SEAJ)がまとめた日本製半導体製造装置の8月の販売高(速報値、6~8月の 3ヶ月移動平均ベース、輸出含む)は、前年同月比▲17.5%減の2865億400万円だった。前年同月割れは3ヶ月連続。
メモリ半導体の需要減で装置の販売が落ち込んだ2019年7月の同18.8%減に次ぐマイナス幅となった。

世界経済をめぐる不透明感が強まる中、スマートフォンやパソコンなど民生機器需要の回復度合が鈍く、半導体メーカーが先端ロジックやメモリー関連の投資を抑制し、製造装置の販売が伸び悩んでいる。
中国の非先端分野の半導体投資は例外的に活発だが、全体の落ち込みを補い切れていない。

韓国の半導体の9月の輸出高は99億ドルと前月比で大幅増、これまで生産・在庫調整してきたことから大幅に改善されてきており、業績改善水準に至れば、工場投資に動くと見られる。

SEAJは、2023年度の販売高について前年度比▲23%減との予測を変えていない。
想定以上に落ち込む可能性は少ないものの、年度内に販売が力強さを回復するのは難しいとみられる。
今後、半導体工場の新設は目白押しであり、世界シェアの高い半導体製造装置関連の上場企業の株は、株価が下がったところで買いに入る絶好のタイミングではないだろうか。


スクロール→

日本半導体製造装置の販売高/SEAJ

/百万円

3ヶ月平均

前年比

前月比

22/1.

306,321

69.4%

 

22/2.

294,008

56.8%

-4.0%

22/3.

314,872

30.8%

7.1%

22/4.

306,198

8.6%

-2.8%

22/5.

307,718

0.8%

0.5%

22/6.

284,584

14.1%

-7.5%

22/7.

320,567

31.8%

12.6%

22/8.

347,356

38.5%

8.4%

22/9.

380,929

36.1%

9.7%

22/10.

347,054

27.6%

-8.9%

22/11.

335,495

19.1%

-3.3%

22/12.

306,596

1.1%

-8.6%

23/1.

299,774

-2.1%

-2.2%

23/2.

294,169

0.1%

-1.9%

23/3.

335,295

6.5%

14.0%

23/4.

333,944

9.1%

-0.4%

23/5.

313,412

1.9%

-6.1%

23/6.

259,222

-8.9%

-17.3%

23/7.

280,041

-12.6%

8.0%

23/8.(暫定値)

286,504

-17.5%

2.3%

 

[ 2023年10月 3日 ]

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