アイコン 中国・碧桂園の14兆円投資のマレーシア開発ゴーストタウン化


マレーシア南部ジョホール州の人工島(シンガポールと運河で隣接)での都市開発プロジェクトは、中国不動産開発大手で危機に瀕している碧桂園(Country Garden)が手掛ける総事業費1000億米ドル(約14兆8千億円)の巨大事業。

しかし、現在、本土と島を結ぶ橋は一部崩落し、コンドミニアムや店舗が入る高層ビルは空室が目立っている。
開発区は「フォレストシティー(Forest City)」と呼ばれ、中国の中間層に狙いを定めた物件をそろえていた。
だが、売れ行き絶不調、中国による外貨管理、新型コロナウイルス禍に伴う経済活動の停止、中国の影響増大に対するマレーシア国内の反発といった事態に直面している。

AFPの取材で関係者は、「この人工島に居住している購入者は多くない」と語り、「資産として物件を所有している」のだという。
これまでの政権は、フォレストシティーは外国人向けだと批判し、非居住者が投資物件として購入することに反対してきた。

しかし、アンワル・イブラヒム現首相は、お荷物になってしまいかねないとして支援に乗り出した。
アンワル氏はこのほど、フォレストシティーを「金融特区」に指定し、特別所得税や数次有効ビザといった特典を導入する方針を発表した。それでも、関係者は前途は多難だと言う。

 

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<ゴーストタウン>
 首都クアラルンプールから車で3時間かけ、人々はこの近未来都市を見学したり、免税店でアルコールを購入したりするためにやって来るという。
シンガポール在住民は、「ここには皆、アルコールを買いに来る」、「私も長居はしない。ゴーストタウンだ。道路は暗くて危険だし、信号もない」と言い、活動しているのは大半が外国人労働者で、ネパールやバングラデシュ出身者が多いという。雑草刈りや道路の清掃、ビルの警備などに従事している。
人口海浜にはビール缶が散らばり、何組かの家族がココナツの木の下でピクニックをしていた。泳ぎたいと思う人に向け、「ワニに注意」と書かれた看板が立てられている。

関係者によれば、ある45階建てのビルは、二つのフロアしか埋まっておらず、残りは販売中だという。
道路・安全などのインフラ整備も今からで売り出しており、政府が全面的に中国企業に認可し、政府が一帯のインフラ投資の支援をしなかった結果だろう。

習近平政権は、ドル不足に直面しており、中国企業の支払いのためのドル買い元売り=元安を極度に嫌っており、2016年当時、中国最大手の不動産開発会社3社が槍玉に挙げられ、政府命令で金融機関が融資をストップしたため、

1社目は安邦、は会長が逮捕され、国家管理となり資産処分、一部傘下企業は政府が経営管理している(政府系で危機に瀕している住宅デベロッパー遠洋控股集団の元経営母体)。
2社目は大連万達、決済難に陥り約98億ドル相当額を調達のため、融創中国(2023年9月支払いデフォルト)に不動産を投げ売り、危機を脱したが、最近、再び資金不足に陥っている。
3社目は海南、会長が旅行先で謎の死、資金難に陥り、海南省が買い取った。
当時が以下不足に陥っており、何れも国内だけではなく、海外で大きく不動産投資していたことから、習政権から批判され、金融機関が融資拒絶、資金難に直面し、経営危機に陥っていた。

現在の恒大や碧桂園・花様年・華夏幸福基業・新力地産・融創中国の危機となんら変わらない。

中国も、一帯一路の融資国も経済低迷から外資問題を抱えており、新規の一帯一路の新規貸付金は2014年ピークの1/3まで減っているという。一帯一路の融資先=借金の漬物国はスリランカ・パキスタンなど実質デフォルト状態にあり、金利さえ支払えず元金に組み入れされている国も多い。中国がインフラ投資をしてくれず、東南アジア各国の中には中国離れも進んでいるという。

結局、中国は資源のある国に対しては一帯一路戦略による融資を継続させ、資源開発により相手国の取り分で返済させる方策のようだ・・・インドネシア・・・。

碧桂園のマレーシア・人工島開発も習政権の一帯一路戦略に乗ったものだろうが、ドル不足などからその梯子をはずしたもの。
マレーシアの物件も、中国政府が元安、国内の経済問題も踏まえ、碧桂園に対して実質放棄させたものになっている。
(中国で見れば、国の政策に基づく事業遂行者の碧桂園であっても、木遣りの梯子のりで梯子を外されたようなもの。)

元々、マハテール元首相らは反対していた案件、中国の一帯一路戦略に基づく、こうした投資をその後のマレーシア政権が認可し、開発が進められた案件でもある。膨大な賄賂が動いたものと見られる。
ただ、政治的な反対もあり、一切喝采中国企業が行うことでゴーサインが出た経緯があり、新コロナ事態、共同富裕論、外貨問題もあり、中国からの購入=投資も一変している。

中国そのものが不動産バブル崩壊問題を抱え深刻な状況。
中国はモデルで購入し即支払う、銀行ローンも契約でき、デベロッパーへは建設途上のマンションの売れたマンションの代金全額が入金される。
今回の問題は国の政策によりデベロッパーへの融資が滞り、デベロッパーは資金不足に陥り、数十万戸のマンション建設が中断され、購入国民に被害が生じていることにある。
また、国民が信託会社経由で不動産開発会社の社債を購入しており、すでに中小の不動産開発会社が何社も潰れ、大手も倒産の危機に瀕し、債権が紙切れになる恐怖に怯えている。施工しているゼネコンほか建築工事会社も代金未収で傷ついている。

こうした信用不安は2021年から始まっているが、2020年夏に策定・執行させた習近平氏の住宅価格は高すぎる、安くせよとの「共同富裕論」に基づく、不動産開発会社に対する融資規制にあり、自己資本率30%以内での融資通達により、民間不動産会社のほとんどが融資を受けられず資金調達難となっているもの。

2021年にはすでに問題化しており、2022年初めにも不動産開発会社に対する融資規制を撤廃もしくは緩和すればよかったものの、手を付けない状態が続いている。
今では弊害ともなっている3期目体制のスローガンである習近平氏の「共同富裕論」、その目玉で、その根幹をなすのが住宅政策による住宅価格の大幅値下げであり、習主席の逆鱗に触れる可能性もあり、誰も手を付けられない状態となっている。

(3期目の就任大会、習氏を後継者とした前国家主席の胡錦濤氏と習氏と雛壇で諍い、胡錦濤氏を追い出す場面は世界中に配信された。習氏の権力の高揚ぶりに誰も近づけないのが実態ではないだろうか。(胡錦濤前国家主席、李克強前首相とも共青同出身、習氏は政敵の江沢民派を不正・腐敗撲滅を利用して一掃、現在、その鉾先を共青同関係者にしている可能性もある))

住宅価格を大幅に引き値下げるための融資規制、結果、住宅建設の大幅減少は住宅産業の経済波及効果が非常に高いだけに、その経済への影響は深刻なものとなっている。

政策執行者のチャイナセブン、全員が習派で固め、意見する者などおらず、不動産担当は購入側の規制緩和ばかりで茶を濁している。
すでに不動産企業の危機は、民間どころか一部地方政府系にも及んでおり、それも増加し続けており、経済低迷により商業用不動産にも影響が出てきている。
過去の規制で危機に瀕し、乗り越えたもののここに来て数十億円の利払い金で再びクローズアップされた大連万達、その深刻さを物語っているようだ。
経済低迷が続き、問題が住宅用不動産から、商業用不動産へ連鎖する動きに至っている。
中南海の人たちだけではだんだん手が付けられなくなりつつある。
それは、一帯一路覇権戦略に基づく借金の漬物国化である海外への直接投資がこの間、激減しており、相手国のインフラ投資計画の多くが中断されている可能性すらある。

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[ 2023年9月25日 ]

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