アイコン 世界最大級のリチウム鉱床 米政府10億ドル助成 最大4000万トン埋蔵


米科学振興協会の学術誌「サイエンス・アドバンシス」で2023年8月30日の発表論文で、地質学者が米ネバダ州とオハイオ州の境にある古い大火山「マクダーミット・カルデラ」(約1630万年前から火山活動があった休眠もしくは死火山)で、世界最大規模とみられるリチウム鉱床を発見したと発表された(当初の発見は2017年/これまで品質や分布・埋蔵量の調査を行っていた)。

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GMが6.5億円投資、米政府10億ドル助成へ
場所は、ネバダ州のカルデラ内のタッカーパス鉱山/2017年に発見され、開発はカナダのリチウム・アメリカズ社が担当、2026年後半から生産開始予定。炭酸リチウム換算で年間8万トン、最大で100万台分のEVバッテリー用のリチウムを生産予定。
GMはリチウム確保のため、当鉱山開発プロジェクトに6.5億ドルを同社株式の新規取得により投資している。
米バイデン政権は10億ドルを当開発プロジェクトに対して助成を決定している。
同社はアルゼンチンでもリチウム鉱山開発を担っている。

米国はほかの鉱山でもリチウム鉱石を採掘しているが、リチウムにするには電炉が必要で、鉱石を溶融し抽出する必要があるが、米国の高い電力では競争力に淘汰される。そのため、リチウム鉱石を中国企業に売却し、リチウムは中国で生産されている。
オーストラリアのリチウム鉱石のほとんども中国企業へ販売されている。世界一の石炭産出量の中国、それでも足りず石炭を輸入して、鉱石からリチウムを抽出するため安価な石炭火力発電力により、電炉で鉱石を溶融し、各種レアメタルを抽出している。そのため、中国が実質、レアメタルの最大の生産国となっている。
中国ではリアメタル生産の拡大から、石炭を増産しても足りず、一般用電力に停電をもたらしている。
(中国はレアメタルの輸出規制に動いたが、最近、正規に申請すれば輸出を認可するとまで軟化している。これはドル不足に陥り、また元安に振れ、それを修正するため軟化したものと見られる。)

地質学者によると、トーマス・ベンソン氏は、当鉱山のリチウムは火山活動により火山ガラスから溶け出してカルデラに蓄積、熱水濃縮作用により濃縮し、地表付近に溜まったものと見られるという。
長さ45キロに及ぶ火口には貴金属の粘土2000~4000万トン(時価換算では最大137兆円)が含まれているという。

これまで、世界最大の単体リチウム鉱床は、ボリビア(チリ・アルゼンチン産同様塩湖由来)にあり、埋蔵量が約2300万トンであると紹介した上で、今回、発見されたリチウム鉱床はこの埋蔵量を上回り、世界最大級の単体鉱床となると

いう。
また、世界のリチウム供給の構図をひっくり返す可能性を秘めていると説明した。

マクダーミット・カルデラで見つかったのはリチウム粘土鉱床「イライト」、濃度は1.83〜1.87wt%Li、南アメリカに分布するリチウム含有粘土鉱物であるマグネシウムスメクタイトの倍のリチウムを含有しているという。
2022年の電池用炭酸リチウム平均価格である1トン当たり3万7千ドルで計算すると、埋蔵資源の価値は1兆ドル(約147兆円)を超える可能性があるという。
以上、

リチウムを含有するリチア輝石(スポジュメン)は、リチウムとアルミニウムを含んだ鉱物をいい、豪州、カナダ、米国で産出している。

今後、
半導体もEV電池も、それぞれの材料も、Chips法やIRA法により米国で生産されれば、生産コストが大幅に上昇することになる。当然、組み込んだ電子製品やEVは高価になる。


 

[ 2023年10月 3日 ]

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