アイコン 韓国 8月の出生数 統計開始来初の2万人割れ


今年8月の出生児数が前年同月比▲12.8%減少(▲2798人減)した1万8984人だった。これは統計を開始した1981年以来最低の8月の出生数となっている。
減少率では2020年11月の▲15.5%来の減少幅で、8月では2008年▲14.2%と2001年の▲13.4%に続く、3番目に大きな減少幅となっている。
出生児数が毎月最低を更新している状況で、減少幅が7月の▲6.7%よりも大きくなった。
8月としては2016年に史上最低値の3万3897人に下がって以来、23年までの7年間、毎年最低値を更新している。

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<ソウルでは合計出生率が0.59人>
韓国の少子化が予想よりもはるかに速いスピードで進行していることを示す衝撃的な数字となっている。
 急落傾向を示している合計特殊出生率は、昨年0.8人ラインが崩壊して以来、今年第2四半期には0.78人まで落ち込んでいる。

各種調査で「子どもを産まない」という回答の割合はますます増えており、ウィズコロナ策転換後、増えそうだった婚姻件数も減少傾向に転じている。

<婚姻件数も急減>
8月の婚姻件数は1年前より▲7.0%減、▲1099件減の1万4610件、過去最少を記録している。これに連動した新生児数の減少も目に見えている。
このままでは世界的にも前例のない「0.6人台出生率」の記録は時間の問題となっている。
ソウルでは、すでに0.59人まで落ち込んでおり、底がどこなのかも分からない。

韓国では出生率が反転しない場合、2040年には14歳以下の人口が20年の半分に激減するという国会予算政策処の報告書も出ている。
若い世代の急激な減少は急速な高齢化と相まって、成長動力の喪失をはじめとする経済、社会全般の悪循環につながるほかない。

OECDの韓国の潜在成長率の見通しは、すでに過去初めて1%台にまで落ちている。
政府と企業が様々な少子化対策を打ち出しているが、実効性が低かったり、一時的、断片的だったりするものが多い。
韓国・国会人口特別委員会は、最近6ヶ月間会議すら開かれず、法整備も進まず、「育児休暇を自由に使えない」という会社員の割合は54%と依然として半数を超え、育児、出産による人事差別も繰り返されている。

  出産回避の主な原因は、婚姻そのものに対する考えの変化、住環境、私教育費の高負担、出産に対する生活環境・労働環境など挙げられる。

少子化で年金歳入の減少、一方、高齢者の増加での年金歳出増、このアンバランスも少子化に拍車をかけている。より抜本的で構造変化、必要な対策を打たなければ、予想を上回るスピードで迫る「国家消滅」の危機を防ぐことはできない。

なお、8月の死者数は1年前より1.7%(500人)増えた3万540人、史上最多だった。このため、人口1万1566人が自然減少した。
人口の自然減少幅も、やはり8月基準では史上最大となっている。今年1~8月までに自然減少した人口は▲7万2725人となっている。

「韓国の生産年齢人口」(15~64歳)は、
2020年の3,583万人から急減し、
2035年には2,975万人と3,000万人を割り込み、
2040年には2,676万人まで減少する。
(ただし上記は2020年を基準としており、出生率がさらに減じており、生産年齢人口もさらに減少し、その後も加速度的に減少が進む可能性が高い)

「韓国の人口」は、(韓国当局2023年7月公表)
2022年末で、5169万人
2041年に5000万人を割り込み、
2070年には3800万人まで減少する見通し。

仮定(1)(出生率考慮せず単純仮定での計算)、
2023年8月の出生数2万人、12ヶ月で年間24万人
平均寿命85歳として、24万×85年=2040万人

仮定(2)、5000万人維持するには
5000万人÷85年寿命=1年齢58.8万人÷12ヶ月=4.9万人
毎月の出生数は4.9万人が必要となる。

女性が子を産む喜びと出産・育児・教育を家庭が育む経済環境を社会が提供しなければ、ますます出生率は減少することだろう。
現代社会はそれほど貧富の差が拡大し続けており、また高学歴女性ほど出生率は減少している。環境と意識の問題が横たわっている。

ネット社会でますます蔓延している批判・否定からは何も生まれず、思考回路の入れ替えが必要、社会全般が変化しない限り無理だろう。
その変化も今後、数世代が過ぎ、本格的な世代交代が進まない限り、表面上に浮上してこない。否定的な儒教が、社会が、政治が、家庭が、男女間が・・・という問題意識だけでは何も解決しない。問題の解決策こそ今、必要ではないだろうか。



 

[ 2023年10月27日 ]

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