中国製バッテリーだった 仁川地下駐車場ベンツEV-EQE火災 40台全焼
8月1日早朝に発生した韓国仁川市西区のマンション地下駐車場で発生したベンツの電気自動車(EV)火災、中国の車載バッテリーメーカー「ファーラシズ・エナジー(孚能科技)」の製品を搭載していたことが確認された。
5日に韓国・国土交通部やバッテリー業界が明らかにしたところによると
出火したのはメルセデスベンツEQEセダン(ベンツEVのフラッグシップモデル)、
バッテリーセルは、中国ファーラシズ社の製品だった。
ベンツEQEには世界トップの中国CATLのバッテリーが搭載されているが、今回の事故車両にはファーラシズの製品が搭載されていたことが確認された。
このバッテリーはニッケル・コバルト・マンガン(NCM)の3元系タイプ。
ファーラシズは20099年設立。
2023年の売上額は23.2億ドル、
出荷量は15GWh(ギガワット時)、
世界第10位にランクインしている。
同社は2018年にベンツの親会社であるダイムラーと、10年間で170GWh規模のバッテリー供給契約を締結し、2020年にはベンツが9億元(約200億円)を投じてファーラシズの株式の約3%を獲得して、バッテリーの共同開発に乗り出していた。
ファーラシズのバッテリー製品は、火災の危険があるとして、中国国内でリコールされたことがあるという。2021年3月に中国国営の北京汽車(BAIC)は、ファーラシズのバッテリーを搭載したEV3万1963台が「特定の環境でバッテリー火災が発生する可能性がある」として、リコールしていた。当時、ファーラシズは欠陥を認め、リコール費用を全額負担していた。
以上、
ベンツはバッテリーを大手バッテリーメーカーではないメーカーと提携して、自車搭載用に共同開発、韓国の3社、中国の2社以外と提携するとは、よほど締結条件が良かったのだろう。
ただ、当車両が中国製だった可能性もある。中国の場合は政治的にもメーカーが搭載バッテリーを半強制されることもある。
2021年に発生したLGエネのバッテリー搭載GM-EVボルトの一連の火災、原因は、製造工程に不純物が紛れ込んだセルが何らかの刺激で熱暴走を起こし、それが広がり火災を発生させていた。当時、LGや韓国政府系研究所でも原因究明できなかったが、GMが究明していた。それほど、原因究明は難しい。
中国は大量にEVやPHVが販売されており、大手が搭載すれば、バッテリーメーカーは瞬く間にランクインする。
中国ではEVバイクも含め、車両火災は毎年5万件以上発生している。多いのはバイクだが、やはりバッテリーの品質問題があるのだろう。
中国は2017年当時、EV販売における政府補助金について、中国勢バッテリーメーカーのみ認可した。韓国製の3元系バッテリーは火災リスクが高いことを理由に挙げパージした。
中国勢は安全性の高いリン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)をバスなどに利用拡大してきていた。中国勢バッテリーメーカー製のみ補助金対象の車両となった。
ただ、LFPは走行距離が短く、150キロが限度、改良して250キロまで引き上げていた。2020年には補助金対象も250キロ以上の車両に限定された。
ところが、CATLが2020年に標準型で400キロ以上走行の改LFPを開発、2021年から搭載開始、ほかの大手メーカーも改LFPを開発していた。
LFP電池は安全性は3原型に比べ安全とされるが、火災の危険性はリチウムイオン電池であり持っている。中国はあまりにもバッテリーメーカーが多く、当然品質に問題があるバッテリーを結果製造しているメーカーも多い。
LFPバッテリーの利点は韓国勢3社の3元系より2~3割安く、車両を安価に販売できる。
中国ではBYDが7万間の海鴎と8万元からの海豚を販売しているが、バッテリーの登載量を落とし300キロ以上の走行に抑えている。1充電300キロでは生活車両としては不自由はなく、売れている。また、BYDの販売を牽引しているのは、同じく最低価格8万元からの秦(PHV)でバッテリー登載量を抑えているもののPHVであり相当の走行距離を確保している。BYDが独自に開発したPHVの機構・システムにより実現している。日本ではHVより高いのがPHVという相場、独自開発によりガソリン車に対抗できる価格を設定している。
中国大手は3元系もLFPも生産しているが、韓国系は2021年から本格的に改LFP電池の開発に当たっているものの、いまだ開発には至っていない。結果、米国では政治的に韓国系バッテリーばかりが流通しており、車両価格が補助金付けても高い原因となっている。
車両価格に対するバッテリー価格の比重は走行距離=搭載量に異なるが25%~40%を占める。LFP電池の選択肢のない米国でEVの販売の成長が急鈍化したのはそうしたところに原因がある。
以上、
まだ、EV用バッテリーは新コロナワクチン同様、高度な安全性は検証されていない。それもいつ何時火災を発生させるかわからない恐怖がある。今回も早朝6時台、普通に駐車中のベンツEVからの出火となっている。