韓国経常収支、過去最大の米国黒字・中国赤字
韓国は昨年の2023年、中国貿易で過去最大の赤字を、米国との貿易では過去最大の黒字を出した。
韓国銀行が6月発表した「2023年地域別国際収支(暫定)」の統計によると、昨年の米国に対する経常黒字は912億5千万ドルで、前年より222億8千万ドル増えた。1998年の地域別経常収支の集計以来、最大の規模の黒字だった。乗用車や機械、精密機器などの輸出が好調で、商品の貿易収支の黒字額が821億6千万ドルで、大きく増えた。
一方、昨年の中国に対する経常収支は▲309億8千万ドルの赤字で、過去最大の赤字を記録した。
対中経常収支は2022年に21年ぶりに赤字▲84億5千万ドルに転じたが、昨年は赤字幅が大きく増えた。半導体の輸出不振などで商品収支が最大の赤字▲335億ドル)を出した。
2020年に対米黒字が中国を追い越し、その乖離はさらに大きくなってきている。今後も、高性能の人工知能(AI)半導体およびHBMメモリを中心に輸出改善傾向が続き、このような流れは続くものとみられる。
韓国は、昨年、日本や中東との取引では赤字を、欧州連合(EU)や東南アジア地域との取引では黒字を出している。
昨年の韓国からの(工場等の)海外直接投資は345億4千万ドルで、前年の658億ドルから大幅に縮小した。しかし、対米投資だけは298億1千万ドルと過去最高水準にあるものの、米国を除く他のすべての地域で前年に比べて減少した。サムスンの建設中の新半導体工場や、現代自のEV専用新工場向け、それらのサプライチェーンの投資も米国へ集中している。
以上、
半導体の回復は、AI主導で、AI半導体+NVIDIA-GPU+HBMにより、急激に回復してきている。現在はSKのHBMがNVIDIA-GPUの補完メモリとして採用されており、一部にはHBM4からサムスンになるとされているが、今後もその流れは変わらない。NVIDIA主導のGPUとHBMのセットが1社から2社体制になったとしても本流はSKになると見られる。NVIDIAは一時、サムスンに製造委託(ファンドリー)していたが、問題が発生し、台湾TSMCに回帰した経緯がある。サムスンはHBMでSKに遅れをとったことが原因だが、第4世代のHBM4ではサムスンが開発先行している。ただ、米マイクロンもHBMを開発しており、政治的な圧力が加われば、NVIDIAはマイクロン製も採用するものとみられる。現状、データセンターやAI半導体に採用される(画像処理のための)
韓国、対米、経常黒字額 /億ドル |
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2023年 |
2022年 |
経常黒字 |
912.5 |
689.7 |
うち貿易収支 |
821.6 |
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韓国、対中国、経常赤字 /億ドル |
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2023年 |
2022年 |
経常収支 |
-309.8 |
-84.5 |
うち貿易収支 |
-335.0 |
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超高速計算半導体は、市場の8割をNVIDIAのGPUが有している。
米IRA法では、EV購入補助金において、半強制してEV生産を米国内での工場生産を求めている。また、バッテリーも米国内産やFTA締結国の原材料を使用することを義務付けている。しかし、バッテリーの原材料のほとんどは中国が生産しており、材料のレアメタルや黒鉛は中国から韓国へ輸出され、韓国で加工され、米国の韓国系バッテリー工場へ輸出され、車両に搭載されている。米国のバッテリー工場は韓国系3社とパナ社(テスラ)だけであり、この4社が全額出資や自動車メーカーとの合弁の工場で製造している。
EVの販売が増加するほどに中国→韓国→米国の材料供給構図は変わらず、拡大し続けることになる。ただ、足元ではEV販売は大幅に鈍化しており、環境規制を嫌うトランプが大統領に回帰するリスクもあり、短期的には低迷する可能性すらある。
米国産リチウムもオーストラリア産リチウムも実際は、含有鉱石を中国企業が購入し、中国へ運び、安価な石炭エネルギーでリチウム金属を抽出、実際は中国産といってよい。韓国勢3社とパナ社は3元系バッテリーで、リチウムのほかコバルト+ニッケルを使用し高価。
中国勢は3元系のほか安全性の高いLFP系(リン酸鉄リチウムイオン電池)の改良型を開発、走行距離を400キロ以上伸ばし、コバルトとニッケルを使用しないことから3元系より3割前後安価に中国自動車メーカーに供給されている。
中国勢が超安価なEVを販売して、欧米が問題視しているが、特に米国は中国系の自動車メーカーもバッテリーメーカーを排除しており、EVは値下げ販売しても高価なままとなっている。
中国でテスラの強力なライバルとなっているBYDは、バッテリーでも大手メーカーであり、10万元(210万円)以下のEVやPHVも販売し中国市場を席巻している。
西側が一方的に中国の安価攻勢に対して、過剰生産を問題視しているが、LFP電池を搭載しない欧米勢のEVは価格を下げられない現実に直面している。
(EV販売価格の25~40%(搭載量により異なる)はEV用バッテリー代、EV用バッテリーの75%前後は原材料費)
欧州には、中国勢が堰を切ったように自動車メーカーもバッテリーメーカーも工場進出を図ったり、計画したりしている。米国と異なり欧州では中国勢のこうした動きを止められない。
米CHIPS法は、米国の保護貿易主義に基づいており、半強制して米国内で半導体を生産させるもの。そのため、米国勢のほか台湾勢のTSMCも韓国勢のサムスンやSKも米国内に巨大工場の建設途上にあったり、米進出工場を計画している。
それに伴いサプライチェーンも米国へ工場進出、そうした半導体関連でも、今後、韓国から、中国製などの原材料を加工して、米国へ輸出される。
よって、半導体もEVバッテリーもその原材料の多くが、中国から韓国へ輸出され、加工され、米国内の自社関係工場へ供給=輸出され、こうした新規分野で米国への輸出は拡大し、それに伴い中国からの輸入も拡大している。
中国はこのたびレアメタルをすべて国家管理する法を制定した。
当然、米国をターゲットにしたものだが、脱レアメタルの改良型LFP電池の製造技術も中国勢のほかは有しておらず、今後、脱レアメタルの高性能バッテリーが開発されるものと見られる。米国では世界最大のリチウム鉱脈が見つかっており、今後、開発されていく。
日本はこうした分野に強かったが、小泉日本破壊政権により基礎研究開発費が現在も減らされ続け、研究人材も減り続け、とんと新開発の有力候補はあがってもこなくなった。その昔マグネシウム電池・・・・。