ソウル市 満充電EVの地下駐車場駐車を禁止へ 秘密のバッテリー情報
韓国は北朝鮮とは休戦中、ソウル市は国境から30キロしか離れておらず、数に限りがある核やミサイルならずとも長距離砲の射程圏内、大型のビルやマンションの多くが地下に避難スペースを設けており、地下駐車場もほとんどが設けている。そうした事情の韓国がある。
ソウル市は、満充電のEV(電気自動車)のマンション地下駐車場入場を制限する方向で準備を進めている。バッテリー過充電が原因の火災対策がねらい。
ソウル市は9日に発表したEVの新たな安全対策に、行政として上記の内容を含めるという。8月1日に仁川市西区のマンション地下駐車場で発生したベンツ-EQV火災を受けソウル市が方針を固めた(バッテリーは中国メーカー、ファラシス製)。
市は来月中に「共同住宅管理規約準則」を改正し、マンション地下駐車場への満充電EVの入場を禁止する。
共同住宅管理規約準則とはマンション入居者代表会議が管理規約を作成する際に参考とする一種の指針。
ソウル市が提示する充電基準は90%。バッテリー容量の90%以下の充電状態であればマンション地下駐車場に駐車可能とするよう勧告・誘導するという。
そのためソウル市は韓国のEVメーカーとも協議を続けている。メーカーはバッテリーの寿命を延ばすため長時間充電した場合でもバッテリー容量の95~97%までに制限しているが、これを90%に下げるというもの。その場合はプログラムで90%以上充電できないようにする。
ソウル市はこのようなバッテリーが装着されたEVに認証ステッカーを付着させる計画。
韓国では2021年現代のEV火災が相次いだが、多くが充電中だった。そのため、満充電の90%まで充電するようにプログラム変更して対応した。LGエナジー製バッテリーの不純物問題は別。
8月6日午前5時頃、立体駐車場に駐車中のSKオン製バッテリー搭載の起亜EV6から火災が発生、全焼した。。
2021年6月には現代コナEVの火災が多発、応急措置として満タンを90%に制御する方策が取られた。コナEVの兄弟車は起亜のEVも火災を発生させていた。この時に取られた対策が、プログラム変更による充電を90%に抑える対策だった。火災が減少したことから一定の成果はあったと見られるが、こうしたリコールし変更した車両からも出火していた。
LG製バッテリーは稀に製造工程で不純物が混入し、それが原因で火災を発生させていたことが判明、GMはEVボルト約15万台を20億ドルかけてリコールした(当時の額/LG9割負担)。
自動車メーカーは1回充電で走行距離を長く表示したいため、満タン時走行距離を公式表示採用しており、90%では客から表示法違反に問われる可能性もある。
1日のベンツEV火災では40台が全焼し、ほか150台あまりがなんらか影響を受けたとされる。
<スプリンクラーを管理人止める>
火災の際、スプリンクラーが機能しなかったことが判明していた。
原因は、管理人がスプリンクラー稼動の警報が鳴ったものの、手動で警報を切り、スプリンクラーに接続した給水装置をストップさせていたことが判明している。
管理人は誤作動と判断し、住民からのクレームが怖く切ったという。また、どうして鳴ったかの原因究明も急いでせず、暫くして火災が実際発生していることに気づき、スプリンクラーを稼動させたものの、給水バルブ等をコントロールする装置盤が火災で延焼・機能せず、スプリンクラーは作動しないまま大惨事となったものだった。スプリンクラーが作動していれば、40台も全焼することは無かったと見られている。
<自動車メーカー、バッテリーメーカーの情報開示せず>
<韓国では搭載バッテリー情報の開示を義務化>
世界の自動車・EVメーカーはEV用バッテリーについて、メーカーを車両情報として提供しておらず、ユーザーの選択権を排除している。現在はバッテリー容量と最大走行距離だけ表示している。
韓国では、こうしたEV火災が後を絶たず、韓国政府は来年2月から、販売EV車両にバッテリー情報(メーカー)の消費者への提供を義務化する。
(バッテリー生産工場は半導体並みの無塵室での生産が必要で、材料もそれに準じた材料が求められる。GMによると、LGバッテリー製の火災ではセルに稀に不純物が入り、それが原因で熱暴走=火災を引き起こしていたという結論に達していた。当然、生産設備や材料はコスト高となり、財務体質が健全で一定規模以上の企業でなければ、そうした投資やコスト高になるお金はかけない、かけられない。)
8月1日のベンツEQVの火災では、中国のファラシス社製を搭載していた。同社は売上高では世界10位だが、ほとんどは中国メーカー向けで中国外の世界での知名度は限られている。ただ、ベンツとは2018年から業務提携していた。中国製なのか、ファラシス製なのか、ファラシスとベンツの合弁会社製なのかなど何もわかっていない。それも安全性に注意が必要な3元系バッテリーでの火災だった。安全性が比較して高く中国勢が得意とするLFP(リン酸鉄リチウムイオン電池)ではなかった。
EQVは2020年に市場投入されたEV。
今回のベンツEQV・起亜EV6の火災は、まだ、原因が判明しておらず、今後の調査・検証内容が注目される。
今後、地下駐車場では、90%設定車であっても夜通しの充電はできなくなると可能性が高い。それほど、原因が不確かな火災が世界中で発生している。