EVバッテリー LFPなしの韓国勢苦戦 CATLがテスラを押し上げる
全世界の電気自動車(EV)用バッテリーとエネルギー貯蔵システム(ESS)市場において、中国企業が躍進した反面、韓国企業は後退したことが分かった。
政治的な動きで火がついたEV販売の急増、EV安全性の問題、インフラ不足、高価格、それにトランプ旋風により、中国除く世界中で失速した。
テスラは第2聖地の中国ではBYDの価格攻勢にバーゲンセールを余儀なくされたものの、2024年は23年比8.8%増の65万7千台(23年は60万3千台)となった。世界販売台数は178万9226台で前年の180万8,581台より2万台あまり減少した。結果、2024年のテスラは中国を除けば、前年比▲6.1%減、7万3千台あまり減少している。
ただ、電池価格は需要低迷で大幅に下がっており、工場を米国に建設したばかりの韓国勢は大きな減価償却もあり、苦しい展開を強いられている。また、中国勢が主力とするリン酸鉄リチウムイオン電池=LFP電池、LFP電池より2~3割高い3元系バッテリーを製造している韓国勢はますます不利となっている。
テスラは中国ではCATL製のLFPバッテリーと3元系バッテリーを使用しており、CATLもEV販売の失速に、業績の伸びが限られており、テスラに値引き幅を拡大させても販売数を増加させる宿命を帯びている。その結果、テスラは中国では、大幅値引きしても赤字にならない価格競争力を持った。
なお、BYDは今や中国№1の自動車メーカーとなっているが、世界第2位のバッテリーメーカーでもあり、EVも価格競争力を持っている。さらに、同社はPHVを1万元から販売する技術力も有していることから決して侮れない。BYDは2014年までにはカルフォルニア州にEVバス生産工場を進出させ、北米で販売している。
エネルギー専門の市場調査企業「SNEリサーチ」が2月24日、「2024年電気自動車およびエネルギー保存システム市場のバッテリー企業別販売実績」の調査報告書を作成して発表、全世界の二次電池企業の販売実績は1460ギガワット時(GWh)で、2023年(1050ギガワット時)より39%増えた。
しかし、韓国企業の販売量は2023年より減少し、二次電池市場を他の企業に明け渡したことが確認された。
昨年LGエナジーソリューションは128ギガワット時を出荷し、前年(137ギガワット時)より出荷量が減った。
市場は拡大したが出荷量は減少し、シェア9%は10%以下に下がった。
サムスンSDIもシェア3%が、前年より3ポイント減り、
SKオンも3ポイント減少して2%となった。
世界の二次電池の10大企業のうち、韓国企業の3社だけが前年より出荷量が縮小した。
一方、中国企業は出荷量を拡大させ、シェアも増大させた。
CATLは昨年601ギガワット時を出荷し、シェア41%で1位を守った。
EVもPHVも生産するBYDは15%で2位となった。
シェア10位圏内の中国企業は6社(CATL・BYD・CALB・EVE・国軒高科・サンオーダ)のシェアの合計は2023年の63%から24年には74%に上昇した。
10位圏内の唯一の日本企業であるパナソニックは、テスラに円筒形バッテリーセルを供給しており、シェア2%。
SNEリサーチは韓国企業のシェア下落について、3元系より安価なLFP(リン酸鉄リチウム)電池の急速な普及を理由に挙げた。
LFP電池は価格競争力と熱安定性に優れており、ESSだけでなく、EVでも採用が増加している。
韓国企業はLFP電池の量産はまだ準備中であるため、中国企業にシェアを譲らなければならない状況にある。
SNEリサーチは「バッテリー市場がLFPに急激に転換しているなか、韓国企業もLFP電池の開発と生産ラインの構築が急がれる状況にある」と主張した。
中国勢はCATLが改造LFP電池を開発し、3元系バッテリーに遜色のない能力を発揮した。
以上、
2020年にCATLから発表された改LFP電池、1充電400キロを達成(それまでは最高で250キロ)、3元系と遜色がなくなった。価格は3元系に用いられる高価なコバルトやニッケルを使用しないことから、3元系より3割前後安く、また1充電距離もその後進化し続け、伸びている。
韓国勢は2021年はじめにも改LFP電池の開発に取り掛かるとしたが、4年も経過し、いまだ車載用のLFP電池の開発は発表されていない。当時、米国でEVが売れ出し、韓国のバッテリーメーカーは将来に向けた自動車大手メーカーのGMやフォードと大型契約を矢継ぎ早に締結しており、それに甘んじたと見られる。
何でねかんでも中国製をご法度にしている米国、韓国勢としてはライバルがおらず、バラ色の市場が続くと見ただろうが、米国ではEV販売そのものが失速事態、その影響が甚大となっている。
韓国のLGエナジーの2024年12月期の通期決算では、連結売上高は▲24.1%減の25兆6000億ウォン、営業利益(暫定値)は前年比▲73.4%減の5,754億ウォン(約623億円)だった。特に10~12月の四半期決算では▲2,255億ウォンの営業赤字となっており深刻。
世界的な電気自動車(EV)市場の停滞などが収益を押し下げた。
スクロール→
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2024年、EV車載用二次電池市場 |
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SNEリサーチ |
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メーカー |
シェア |
前年比 |
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CATL |
37.9% |
1.3% |
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BYD |
17.2% |
1.3% |
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LGエナジー |
10.8% |
-2.7% |
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CALB |
4.4% |
-0.4% |
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SKオン |
4.4% |
-0.5% |
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パナ社 |
3.9% |
-2.2% |
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サムスンSDI |
3.3% |
-1.4% |
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その他 |
18.1% |
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・CATLは寧徳時代新能源科技 |
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・BYDは比亜迪股份有限公司=ビーヤーディ |
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・CALBは中創新航科技集団股份有限公司 |
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・注、産業用のESS向け等は含まず・・・ |
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