韓国GDP1~3月期▲0.2%減 既存半導体の価格下落続く 米中経済行方しだい
韓国銀行(中央銀行)が24日発表した1~3月期の実質国内総生産(GDP、速報値)は前期比▲0.2%減少した。
四半期ベースの成長率は
昨年1~3月期に1.3%増、
4~6月期は▲0.2%減、
7~9月期は0.1%増
10~12月期も0.1%増
今年1~3月期は▲0.2%減
にとどまるなど明確な回復には至らず、今年に入り再びマイナス成長となった。
韓銀は1~3月期のマイナス成長について、国内政治の不確実性の長期化、米関税政策への懸念による3月の経済心理の委縮、過去最大となった山火事被害、一部の建設現場での工事中断、広帯域メモリー(HBM)の需要繰り延べなどを挙げた。
1~3月期の成長率の部門別では、
民間消費は娯楽・文化や医療などサービス消費の不振で前期比▲0.1%減少、
政府消費も健康保険給付の支出が減って▲0.1%減少。
国内の政治問題も米国の関税爆弾による景気の不確実性が高まり投資減少が目立っている。
建設投資は建物建設を中心に▲3.2%減少。
設備投資も半導体製造装置など機械類を中心に▲2.1%縮小。
設備投資の1~3月期の成長率は2021年7~9月期(▲4.9%減)以来3年半ぶりの低水準となった。
輸出は化学製品・機械・装置などが苦戦し▲1.1%減少。
輸入も原油・天然ガスなどエネルギー類を中心に▲2.0%減った。
1~3月期の成長率に対する寄与度をみると、
建設投資は▲0.4ポイント押し下げ、
設備投資も▲0.2ポイント押し下げた。
民間消費と政府消費は成長率にほとんど影響を及ぼさなかった。
消費と投資を含めた内需が成長率を▲0.6ポイント押し下げたが、輸出から輸入を差し引いた純輸出は0.3ポイント増加した。輸出の▲1.1%減に対して輸入の減少幅は▲2.0%とより大きかった。
業種別では
電気・ガス・水道業がガス・蒸気・空気調節供給業を中心に7.9%増、農林水産業も3.2%増と好調に推移した。
一方、減少は、
製造業は化学物質、化学製品、機械、装置を中心に▲0.8%減少、
建設業も建物建設の不振で▲1.5%減だった。
横這いは、
サービス業(0%)は金融・保険、情報通信業で増加したが運輸業、卸小売・宿泊飲食業は減り、全体では横ばいとなった。
結果、1~3月期の実質国内総所得(GDI)も前期比▲0.4%減少した。
以上、
韓国の場合、半導体の輸出がGDPを牽引しているが、一昨年10月に底から上昇に転じたものの昨年7月には早ピークに達し、再び半導体価格は下落、ただ、高付加価値の最新のHBMとSSDはAI半導体向けに堅調に推移している。
だが、トランプ関税爆弾で国内外の景気は暗雲が垂れ込めている。中国に対するこれまで認可されていたH20含む半導体輸出規制の強化により、NVIDIAの株価はピーク141ドルから102ドルまで下落している。大量需要先のビッグテックのデーターセンターの建設計画がトランプ爆弾により先延ばしされたりしており、その影響を受ける。
SKハイニックスがHBMをNVIDIAI納品しているが、サムスン電子は1年以上nvidiaの品質検査に合格しておらず、AI半導体市場が拡大するなか、NVIDIAのシェアは拡大し続け、同業のAMDなどは恩恵を受けられず、NVIDIA独壇場になっているものの、景気・設備投資には大きく左右される。
韓国経済にとっては中国経済の低迷も大きく影響している。そのうえ、中国半導体企業の躍進もあり、韓国2社の無錫工場(SK )、大連(SK)、西安(サムスン)工場の増産もあり、韓国からの輸出は減少し続けている。量が増加しても単価安で輸出額では下落している。
第2次米中貿易戦争である関税戦争は、トランプが中国の報復にヒステリックなっており、今では中国輸入の製品に対して145%の追加関税(以前の最高25%もあり、最高170%)もあり、もはや、中国の電子製品輸出は、あとで関税賦課から除外された米企業系のスマホ・タブレットなどを除き、中国製電子・電気製品の輸出は実質不可能となっており、これが50%に下げられたところで、米消費者に与える影響は変わらず、米景気の後退は必至、韓国は米国・中国の2大輸出国への輸出が低迷し、経済悪化が続くものと見られる。
GDPの半分以上を占める消費も昨年12月の政治異変から低迷しており、マンションや建設は中国のような極端なバブル崩壊には至らないものの、金利も高く低迷してし続けており、不動産担保ローンの家計負債も大きく、消費にも大きく影響している。
何より、政治不安が大きく、次期大統領は世論調査で50%を超えた李在明が就任すれば、対外的政治リスクはさらに強まる。トランプ1政権時代とまったく異なる狂気のトランプ2政権にあり、経済にも直接影響する韓国政治の外交的リスクはまったく先は見えてこない。
政経分離など不可能な時代に突入している。
スクロール→
韓国の小売売上高 前年同月比/韓国統計庁 |
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23年 |
24年 |
25年 |
1月 |
-1.7% |
-1.3% |
0.0% |
2月 |
0.4% |
0.8% |
-2.3% |
3月 |
0.1% |
-3.4% |
|
4月 |
-1.4% |
-2.0% |
|
5月 |
-0.6% |
-2.8% |
|
6月 |
1.5% |
-3.6% |
|
7月 |
-1.7% |
-2.2% |
|
8月 |
-4.7% |
-1.3% |
|
9月 |
-2.0% |
-2.2% |
|
10月 |
-4.4% |
-1.1% |
|
11月 |
-0.1% |
-2.6% |
|
12月 |
-0.7% |
-2.5% |
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消費は、物価高・金利高・政治リスクにより低迷が続いている。今後、トランプ関税爆弾の影響も韓国の米・中貿易に大きく出てくる。 |