アイコン あちこちの老朽化水道管陥没問題 道路陥没2625件(2022年)


高度成長期に敷設された水道管の老朽化問題、水漏れや断水といった直接的なトラブル、八洲市のような人身事故リスクがある道路陥没や地滑りのみならず、地震による改修工事の短期化、ほか水道行政における財政負担の増大や水質低下など、広範囲にわたる影響を及ぼしている。

水道管の老朽化対策遅れは、少子高齢化、過疎化による人口減少により2000年をピークに水道使用量は減少し続けており、連れて水道事業の経営難が追い討ちをかけている。
改修工事をしようとしても予算がなく、予算捻出には水道料金を上げるしかなく、選挙の争点を嫌う政治家たちにより先送りされ続けてきた結果ともなっている。

2014年から続けられている国土強靭化政策でも橋梁やトンネル、擁壁などであり、水道事業は自治体任せ、それも事業局任せとなっている。東京都のように黒字団体ならば老朽化水道管の改修工事も計画的に実施できようが、ほとんどの自治体が赤字団体、老朽化水道管の改修工事は遅々として進んでいない。
国が補助しない限り、老朽化上下水道管による道路陥没問題は重大事故も含め増加し続ける。国土強靭化予算は地方自治体にバラ撒かれ、地方では強靭かどころか、まだ改修工事を必要としないような綺麗な道路でも改修、国道の方が中央線が見えないほど改修を必要する道路が多くなっている。一方では、巨額予算だけ使いながら、老朽化改修を要する橋梁やトンネルの改修工事は10年経っても遅々として進んでいないのが実態。地方に予算を任せたらどうでもよい土木事業に使用してしまう。国土強靭化の予算使用の検証など何もなされていない。

 

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厚労省によると2024年の基幹管路の耐震化率は42.3%の4万8,797キロ(総基幹管路11万53百キロ)、ここ数年毎年1%あまり増加しているものの、耐震化・老朽化問題が遅々として進んでいない。
老朽化した水道管の点検や更新作業を適切に行うことができない背景には、
予算面と技術者の高齢化と新規技術者不足の恒常化である。老朽化した水道管の点検や更新作業を適切に行うことができない状態が、大都市以外のほとんどの地方自治体となっている。

道路陥没の原因には、地形にともなう地盤沈下や漏水、周辺工事などが挙げられるが、最大の原因は老朽化した下水道管とみられている。
2022年基準で老朽化した下水道管による道路陥没が2625件発生。埼玉県八洲市の道路陥没事故現場の下水道管も1983年に設置されたものだった。
 専門家たちは古い下水道管の連結部位が腐食して隙間が広がり、その間に周辺の土が吸い出されたのが道路陥没の主要原因とみている。
国土交通省所属の埼玉事故対策検討委員会の家田仁委員長は3月の対策検討委員会で、下水道管を連結する『セグメント』という接続部に隙間が生じ、地盤の土砂が吸い出されたという見解を述べた。
地盤を維持していた多くの土砂が管内に吸いこまれ、空洞になった地面の下に道路が崩れ落ちる。
管内の生ゴミなどからの炭化水素や、地球温暖化による夏場の管路内の温度の上昇が下水道管の連結部分を腐らせる原因だという分析も出ている。

老朽化した下水道管は時間が経つほど増え、その分陥没事故もさらに頻繁に起きる。国交省の統計によると、2022年現在、日本全国の下水管路49万キロメートルのうち約3万キロメートル(7%)が耐用年数の50年を超えているという。(全国水道管の総延長は約72万キロ)
2032年に9万キロメートル、2042年には全体の40%を越える20万キロメートルに達すると推定される。
一方、下水道管の整備・交替事業は老朽化の速度に追いついていない。 日本では毎年3千〜5千キロメートルの下水道管が耐用年数を超えているが、補修や交換作業は1千キロメートル程度に止まっている。
「予見された道路陥没」
 国交省は八潮市の道路陥没事故直後、全国の地方公共団体に事故の陥没箇所と同様の大規模な下水道管路の緊急点検を要請した。
また、政府傘下の「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」は3月17日、「1994年度以前に設置された内径2メートル以上の管路を全国特別重点調査の対象とし、まず調査箇所は夏頃までに、それ以外の箇所は1年以内を目途に調査完了を目標とすべき」と提言した。
しかし、道路下の地下に埋められた下水道管の特性上、施設の点検が難しいうえ、下水道管の交換にかかる莫大な費用も悩みの種となっている。
最近、下水道管点検の正確さと頻度を高めるためにドローンや地表透過レーダー、人工衛星まで動員されているが、方法によって適用可能な地形的限界があり、費用も障害となっている。
また、下水道管の交換費用のため住民の水道料金が値上がりする可能性や、上水道とは違って下水道管の整備の時は住民たちの不便ははるかに大きい。
今回の八潮市の道路交差点陥没事故では、近隣住民120万人余りが2週間以上不便を強いられた。ただ、日本では1980年代後半から都心の道路陥没研究に本格的に着手されており、2016年には東京都に道路陥没などと関連して下水道管再構築5ヶ年計画が施行されている。

 

 

[ 2025年5月 7日 ]

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