「米は足りている」は誤りだったー政府が"コメ不足"を認めた本当の理由
コメ価格の高騰が続いて約1年。ようやく政府が「不足」を公式に認めた。これまで「流通の停滞」としていた主張を180度転換し、需給見通しの誤りを認めた農水省。政策判断の遅れが、国民の食卓に与えた影響とは──。
コメの価格高騰が止まらない中、政府はついに「コメ不足」という事実を公式に認めた。これまで「在庫はある」「流通が滞っているだけ」として備蓄米の放出を見送ってきた政府の姿勢は、大きく転換された。石破総理は記者会見で「生産量が足りていると判断していたこと、備蓄米の放出のタイミングや方法が適切でなかった」と認め、コメ需給の見通しに誤りがあったことを明言した。
農水省はこれまで、人口減少に伴ってコメ需要は減少するとの前提で政策を組み立てていた。しかし現実には、インバウンドの回復や他の食品の値上がり、ふるさと納税による予想外の需要増などが重なり、想定を上回る消費が発生していた。
一方、生産面でも猛暑の影響が大きかった。2023年・2024年と続いた高温により、白く濁った「乳白米」が多く発生。見かけ上の収穫量は確保されていたが、実際に食用として流通できる量は減っていたという。
こうした複合的な需給ギャップを農水省は見抜けず、備蓄米の放出を先送りにしたことで市場価格の高騰を招いた。
小泉進次郎農水大臣は「令和5年、6年の需給見通しに誤りがあった責任を重く受け止め、今後は増産に舵を切る」と表明。今後、農業政策の見直しとともに、AIやデータ分析による精緻な需給モデルの構築、備蓄米放出の判断基準の透明化が求められる。
「食の安全保障」が叫ばれる今、政府の政策判断に求められるのは“現実直視”である。今回の対応は、その遅れがいかに国民生活に影響を与えるかを痛感させる出来事となった。





