アイコン 自動車産業 危機感が襲ってきた韓国経済

 

 

韓国の自動車生産台数は2012年に456万台をピークに、昨年は411万台まで減少した。今年は400万台の生産すら危うい。

韓国の自動車メーカー5社が10月1日発表した9月の経営実績も深刻。
国内販売台数は前年同月比▲17.5%減の11万130台、輸出は▲6.5%減の56万830台にとどまった。
うち現代自動車は、国内と海外を合わせた9月の販売台数が前年同月比▲6.6%減の38万4833台だった。国内販売が▲12.1%減の5万2494台、海外販売が▲5.7%減の33万2339台だった。

韓国の自動車生産が400万台を初めて超えたのは2010年の427万台だったが、韓国の自動車産業の規模は10年前の水準に逆戻りすることになる。
現代・起亜自動車の営業利益率は、限界企業(利益で利払いも賄えない企業)レベルの2~3%台に低下し、韓国GMは不渡り直前となり、政府やGM本社の資金投入で延命している。最低賃金引き上げ、労働時間短縮などの悪材料も重なり、部品メーカーの連鎖倒産も現実となっている。

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自動車産業の直接雇用規模は39万人で、造船業(12万8千人)の3倍に達する。
自動車製造業は2016~17年に直接雇用40万人を維持してきた。
従業員1人が4人家族だとして、160万人の生計を支えてきたことになる。
しかし、雇用人数は今年初めから毎月1000人、2000人のペースで減少し、8月には39万1000人まで落ち込んだ。
韓国GMの危機で退職した約2700人をはじめ、中小企業でその2倍の失業者が生まれたことを示している。

韓国の自動車産業全体が揺らぎ、部品メーカーが立ち行かなくなっている。
産業研究院による分析の結果、韓国の中堅部品メーカー100社中82社は、今年上半期の平均営業利益が前年比で半減。31社は営業赤字を出した。
現代自動車の1次下請け業者、理韓のワークアウト(金融機関主導の経営再建)申請(7月)に続き、中堅部品メーカー、ダイナメク、クムムン産業、イーウォンソルテックなどが相次いで法定管理(会社更生法適用に相当)に入った。

自動車産業は、韓国の輸出全体の11%(昨年時点)を占める。今年は年初来9月200日までに輸出が前年同期比で7.7%伸びたが、自動車の輸出は5.1%落ち込んでいる。
韓国の経済学者は、自動車産業の雇用ショックは始まったばかりで、深刻に受け止める必要がある。自動車は電子と共に韓国の産業を支える二大基幹産業であり、自動車が滅べば、深刻な経済危機が訪れかねないと指摘している。
以上、

スズキがフロンテクーペのデザインでジウジァーロを起用したのはいつだっただろうか。現代自動車はBMWの現役チーフデザイナーを引っこ抜き、ここ数年、洗練されたデザイン車を出している。しかし、売れない。それもデザイン本家の欧州でも頭打ち。一時、EUとFTAを締結して、安いことから大幅に販売台数を伸ばしたが、バブル崩壊で不況に陥っていたフランスの自動車業界も景気回復を見て巻き返し、韓国勢の販売台数は伸びなくなっている。

アメリカでは、真実か作為か知らないが、韓国勢の車両は品質面で高い評価を受けている。しかし、売れない。
アメリカ市場では7~9位グループで、現代・起亜・スバルの順が長い間続いていた。しかし、スバルが地道に販売台数を伸ばし続け、起亜を抜き、今年には月別で現代をも抜き去った。
BMWから何人も引っこ抜いたデザイン、結果、成功したのだろうか。品質面は評価されたように大丈夫なのだろうか。
韓国勢は、昨年から落ち込まないように中国でも米国では大幅なインセンティブ販売を敢行している。販売台数が伸びなくなったことから、どこもインセンティブ販売を強化させている。利益率をどこの社も落とす原因となっている。

びっくりしたのは中国、昨年3月からTHAAD制裁の影響から不買により大幅に落ち込んだ。大分緩和され、一巡した3月から大幅に販売台数を回復させてきていたが、7月になり、いきなり前年比▲30%のマイナスとなった。
韓国勢の販売台数16年年7月は11.1%増の11.00万台、17年7月は▲36.9%減の7.00万台、18年7月は▲30%減の4.90万台。ただし、8月は19.7%増の9.10万台と少し回復させている(制裁前の16年8月は12.41万台)。

現代は中国で2016年と2017年に各30万台キャパの工場2ケ所を新設している。売れず既存工場で間に合うことから、造る車が無く、真剣に中国での生産車を海外へ輸出することを検討している。しかし、立ちはだかる韓国工場、労働貴族とされ、すぐストを打つ労働組合の存在から、韓国での生産台数を減らすわけにはいかない。売るところを見つけなければならないジレンマに陥っている。新規販売参入国では、現地メーカーと提携しなければ、販売網、サービス網を構築するには膨大な費用とそのリスクを伴う。

現代は1.5兆円を投資して超超高層複合ビルを建設中でもある。土地を政府系の電力会社から市場価格の3倍の約1兆円で購入しており、本来なら、評価損を出すべきだろうが、何もしていない。
救いは、メキシコ工場における米国とメキシコ間の新貿易協定合意により、トランプ制裁の影響を受けなくなったことだろう。子会社の起亜が30万~40万台キャパの工場を2016年秋から稼動させ、現代車も生産している。しかし、大市場のアメリカで売れないジレンマは残る。

ロシアでは過去圧倒していたが、ロシアは米制裁が続き、なかなか経済回復せず、低空飛行をし続けている。売れない。
インドでも、一時は伸びたが、新規市場参入組と市場を圧倒するスズキとの板バサミになりつつある。
ベトナムは、韓国企業4000社以上が進出する最大進出国であるが、韓国勢の影は無い。

やはり、2013年・2014年当時の現代車のバブル成長期に、
BMWチーフデザイナー引っこ抜き、
中国で2工場建設計画発表、
メキシコでの工場建設発表、
市場価格の3倍で購入した本社ビル土地と建設計画発表
など、財閥の経営者自身がバブル化し、イケイケドンドンだったツケが今に及んでいるようだ。

弱り目には祟り目で、リコール隠しを社内から外部機関に告発され、調査した韓国当局がリコールしなさいと現代に提案したものの、リコールする必要はないと断り、激怒した当局が昨年5月強制リコールを命じるなど、安全に問題を醸したことも影響しないわけではない。
こうしたニュースは、販売台数が伸びなくなってきた自動車市場にあり、全世界の販売ライバル社側へすぐ流れ、営業ツールに利用される。ここでも傲慢体質の経営者が影響しているといえようか。
・・・どうなることやら。
 

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[ 2018年10月 2日 ]

 

 

 

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