アイコン レアアース生産量8割の中国 対米貿易戦争でモノを言わせるか

 

 

日本は2012年9月、尖閣諸島の国有化した時、中国はレアアースの日本輸出を禁じ、日本は大混乱に陥った。
米国から貿易戦争を仕掛けられた中国、レアアースを報復材料に使用するのではと波風が立っている。

レアアース(希土類)は、iPhone(アイフォーン)や電気自動車(EV)のモーターなどの消費財から、軍用機のジェットエンジンや人工衛星、レーザーに至るまで、幅広い製品に使われている。

貿易問題を巡って米国との緊張が高まっていることを受け、最大の供給国である中国が、レアアースを交渉材料に使うのではないかとの懸念が出ている。●レアアースは何に使われているのか
レアアースは、EVやハイブリッド車の蓄電池のほか、最先端のセラミック、コンピュータ、DVDプレーヤー、風力タービン、自動車用や石油精製所向けの触媒、モニター、テレビ、照明、レーザー、光ファイバー、超電導体、そしてガラス研磨剤に使われている。
ネオジムやジスプロシウムなど数種類のレアアースは、EVのモーターに不可欠。

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●レアアースの軍事使用
ジェットエンジンやミサイル誘導装置、ミサイル防衛システムや人工衛星、そしてレーザーなどの軍事装備に欠かせないレアアースもある。
その1つであるランタンは、暗視装置の製造に必要となる。

米会計検査院の2016年の報告書によると、米国のレアアース需要は世界全体の9%。そのうち米国防総省の需要は1%を占める。

●中国の供給に依存している企業は
防衛大手の米レイセオンやロッキード・マーチン、英BAEシステムズは、いずれも最新鋭のミサイルを手がけ、その誘導装置やセンサーにレアアースを使っている。

米アップルは、スピーカーやカメラ、さらにハプティック(触覚)と呼ばれるスマートフォンを振動させる技術にレアアースを使っている。
同社によると、1台あたりの使用量はごくわずかで、取り出すのが難しく、一般的なリサイクル業者からは入手できないとしている。
2010年以降、米政府や企業はレアアースやそれを使用する部品の在庫を増やしていると、かつて国防総省で調達を担当し、現在はノートルダム大で教えるユージーン・ゴルツ氏は言う。
同氏によると、一部サプライヤーはレアアースの使用量を減らしている。

●レアアースとは何か。どこにあるのか
レアアースとは、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムの計17元素の総称。地球の地殻中に存在する。
レア(稀な)という名前だが、実際は一定の埋蔵量がある。しかし、その採掘とクリーンな精製にはコストがかかる。

中国は、世界の精製能力の大半を有しており、2014~17年に米国が輸入したレアアースの80%が中国産だった。
米地質調査所のデータによると、中国は2017年、世界のレアアースの81%を生産した。
レアアースを輸入する各国は、2010年に起きた日本と中国の対立を受けて、消費量と中国依存を減らそうとしているが、その取り組みは限定的。
日本は同年、中国が政治的な理由からレアアースの輸出を止めたと指摘。単一の供給国に依存することへの警戒感が世界に広がった。中国側は、輸出を停止したとの指摘を否定している。
世界のレアアース埋蔵量の37%を占める中国と競争できる代替供給国はほとんどない。

カリフォルニア州のマウンテン・パス鉱山は、米国で操業している唯一のレアアース採掘施設。だが、同鉱山を所有するMPマテリアルズは、掘り出した年間約5万トンのレアアースを精製のため中国に輸送している。
中国は、今回の貿易戦争で、こうした「輸入品」に25%の関税をかけた。

オーストラリアのライナスは今週、米テキサス州のブルーライン社との間で、米国でレアアース精製施設を建設する覚書を交わしたと発表した。

レアアースは他に、インドや南アフリカ、カナダ、オーストラリア、エストニア、マレーシア、ブラジルで採掘されている。

●米国の関税措置はレアアースにどう影響するか
これまでのところ、米政府はレアアースを関税対象の中国製品から外している。

●中国依存を減らすには
複数の米上院議員は今月、国内供給の拡大を後押しする法案を提出した。 リサイクルも、新たな可能性として浮上している。
ネブラスカ州の企業レアアース・ソルツは、古い蛍光灯をリサイクルし、蛍光管の20%を占めるレアアースを回収しているという。

ハロ蛍光体は、Ca3(PO4)2・Ca(F,Cl)2:Sb3+、Mn2+のハロリン酸カルシウムで構成されている。
三波長蛍光体は、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、ランタン(La)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)の5種類のレアアースが使用されている。
以上、ロイター参照

尖閣国有化で、一時、日本が中国から輸入できなくなったレアアース、日本のEEZ内の太平洋にいくらでもあるとされるが、深海ゆえに掘削回収できず、商業化は数十年先のことだろう。
日本ではレアアースを使用しない方法も研究されているが学術研究費もろくに出さない政府に糞詰まり状態、またリサイクル品を2030年までに50%まで高めるとした国家政策だが、いつもの掛け声だけで供給率はスズメの涙程度が現実。

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[ 2019年5月24日 ]

 

 

 

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