韓国・文在寅大統領の北朝鮮への約束内容と国連制裁
文在寅大統領は南北首脳の2回(2018年4月27日、同年9月19日)の会談で、下記の約束をしたものの、その後の2019年2月28日の米朝首脳会談決裂を受け、何一つ実行に移すことが、国連制裁下できなくなっている。
国連制裁では、北朝鮮への機械類の搬入はできない(国連許諾事項)。鉄道連結工事も開城工業団地への機械搬入再開、金剛山観光施設の機械・機材を搬入しての改修工事もできない。
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文在寅大統領が金正恩委員長へ提案した北朝鮮開発プロジェクト |
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完全核廃棄条件 |
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1、鉄道インフラ、鉄道連結と整備 |
アジア・シベリア鉄道連結構想 |
2、道路インフラ整備 |
高速道整備と韓国高速道の連結 |
3、電力インフラ整備 |
(韓・中・露)、スーパーグリッド構想 |
4、天然ガスパイプライン敷設 |
(露共同)、最終ロシアから釜山まで敷設、北朝鮮経由代を北朝鮮への天然ガス供給でまかなう。 |
5、北朝鮮各地の経済特区開発 |
海外資本による開発計画 |
6、双方休戦ラインの一部を使用した経済特区開発 |
幅は双方2キロ計4キロ×248キロ |
などなど。・・・薔薇色、虹色のプロジェクト
<緩和期待の実際の約束>
南北首脳会談での約束事 |
軍事緩和 |
2018年9月19日軍事合意 |
軍事境界ラインの非武装化 |
板門店の非武装化・自由往来 |
監視所の相互減少 |
境界相互20~40キロ空域の軍用機活動停止 |
西海域・漢江の民間船の共同活用 |
経済協力 |
4.27板門店会談+9.19平壌会談 |
鉄道・道路の連結 |
金剛山観光事業の再開 |
開城工業団地の再開 |
非武装地帯の南北共同の経済特区構想 |
交流 |
離散家族の再会事業 |
金正恩委員長のソウル訪問 |
各種金融制裁 |
↓国連の北朝鮮への経済制裁・安保理決議
これまでの825号 1540号、1695号、
2017年9月の1718号追加制裁決議(2017年9月3日北の核実験を受けてのもの)。
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北朝鮮に対する国連制裁 |
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2017年9月、核実験等による追加制裁含む制裁 |
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輸出禁止 |
電気製品・機械類の輸出禁止 |
ぜいたく品 |
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石油精製品の輸出量 |
年間上限50万ドル(それまで200万ドル上限) |
原油輸出 |
年間400万ドルまたは52万5千トン |
天然ガス・ロケット燃料 |
輸出禁止 |
北朝鮮からの禁輸品 |
石炭・海産物・繊維製品 |
電子機器・鉱物・木材を追加 |
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北朝鮮出入り船舶の臨検 |
船籍国の了解のもと臨検可 |
出稼ぎ労働者 |
2年以内に送還、新規受入禁止 |
制裁外 |
観光、人道支援事業(国連経由) |
文在寅氏は民族を統一すべしの大義だろうと、北朝鮮が大好きだろうと、独自の核凍結論など持ち出さず、国連が求める完全廃棄を北朝鮮に対して一貫して主張していたら、今日の状況には至らなかったと見られる。
それに期待した北朝鮮のショックは大きく、ハノイ会談決裂後、一度も南北は合同連絡事務所も含め協議を開催しておらず、昨年5月4日からはまたミサイル発射に明け暮れている。
現在の国連経済制裁下の北朝鮮の飢餓は、昨年のアフリカ豚コレラ感染拡大、今年の新コロナ感染症による問題を抱え深刻、北朝鮮を支配する金正恩+与正兄妹により、解決の目処はまったく見えてこない。
当然、国連制裁が効いている。
合同連絡所ビルの爆破は、韓国文政権との決裂を意味する。
「同情より大金をくれ」
米国も韓国がなし崩し的に事を進めることから不信感を抱き相手にしなくなってきている。
2018.9.19軍事合意もその内容が米国側に示されたのは合意2日前だったとされ、検討する時間もなく、南北は合意し、文政権は米国側にしっかり事前説明したと述べていた。
この場しのぎではろくな結果しか生まない。