アイコン 米国、ファーウェイとの取引規制強化  サムスン電子の半導体も対象


米商務省は17日、中国の華為技術(ファーウェイ)に対する事実上の禁輸措置を強化すると発表した。
米国技術が関わる半導体やソフトがファーウェイにわたるのを完全に遮断する。
同社の経営への打撃は一段と広がり、米中対立が激しくなるのは必至。
商務省は5月、外国製の半導体でも、米国の製造装置や設計ソフトを使っていればファーウェイに輸出するのを禁じた。

今回は禁輸対象の定義を拡大し、第三者を使って半導体を調達し続けることを不可能にする。
声明で「ファーウェイが米国の規制を迂回する試みを阻止する」と強調した。
さらに事実上の禁輸リストである「エンティティー・リスト」にファーウェイの関連会社38社を加えた。
13日が期限となっていた禁輸の例外措置も打ち切ると明言した。

同社製のスマートフォンや携帯電話の保守に関わる取引も今後は原則認めない。
トランプ政権は2019年5月に制裁を発動したが、ファーウェイは規制の「抜け穴」を使ってスマホや通信基地局の事業継続をめざしてきた。
米国が締め付けを強めたことで中国が報復に出る可能性がある。貿易など米中が対立する他の分野にも影響が及びかねない。

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■5Gスマホ開発に支障 迫られる内製化
 米国による華為技術(ファーウェイ)への制裁のさらなる強化によって、同社は今後次世代通信規格「5G」対応などの高度なスマートフォンが計画通りに造れなくなる可能性が出てきた。
日本を含めた部品メーカーにも影響が及ぶ。

米商務省が5月に発表した制裁には、米国製の製造装置を使ったり、ファーウェイが設計に関与したりする半導体の同社への輸出を禁じる内容が盛り込まれた。
これにより、ファーウェイはスマホ半導体製造の多くを頼っていた台湾積体電路製造(TSMC)との取引が難しくなった。TSMCは米国の製造装置を使っていることによるものだった。

ただ、この場合、第三者企業が設計し、TSMCが製造する半導体の使用は禁止できない。
17日発表の追加制裁には、こうした「迂回」(商務省)を防ぎ、ファーウェイに米国の技術が絡んだ半導体が供給されることを徹底的に封じる狙いがある。

商務省高官は17日、具体的な企業名は挙げられないとしながらも、記者団に「韓国サムスン電子や台湾メディアテックなどが設計し、米国技術を使って製造された製品も規制対象となるか」との質問に「そうだ」と答えた。

ファーウェイにとって残された策は、半導体の国内調達。
同社は「中国版TSMC」とも呼ばれる中芯国際集成電路製造(SMIC)に半導体製造を委託し、スマホ向け半導体を確保しようとしている。
だが、TSMCに比べ生産技術が2世代古いとされ、包囲網が強まれば、特に高性能のスマホで使う最新の半導体確保が厳しくなる。

9月中旬に、制裁が実際に発動となれば、ファーウェイ製のスマホ生産への影響は必至。

ファーウェイは日本のサプライヤーとも幅広く取引がある。ソニーがカメラ用センサーを納めているほか、キオクシアHD(旧東芝メモリ)もメモリーを供給している。
制裁がまだ発動していない現状では需要減は小幅にとどまっているが、国内のサプライヤーからは「制裁の悪影響は、これからが本番だ」と不安視する声が広がっている。
韓国勢は、サムスン電子とSKハイニックスの2社だけでも年1兆円の半導体を納品している。
日本は全体で1兆円超を納品しているが、米製の製造装置やソフトによる製品は限定的と見られるが、さらに同盟国や米国と取引する企業に対して取引停止を求めた場合、取引できなくなる。

サムスン電子の株価は17日、▲1.19%下落し、58,000ウォンとなっている。3月23日は新コロナにより、42,500ウォンまで下落し、中国および欧米の経済再開で輸出も増加しだし、これまで上昇を続けていた。

サムスン電子は中国西安に広大な半導体製造工場を有している。当然、中国の電子製品業界へ大量に半導体を納品しており、トランプ政権はほかにも制裁企業を広げるとしており、そうした企業への納品メーカーに対して、これまでのような生ぬるい対応をなくすとしており、甚大な影響が出るものと見られる。

SKハイニックスの株価は▲0.62%下落の80,200ウォン、
株価にはまだこうした発表は反映していないようだ。
ただ、ファーウェイがズッコケたら、スマホ領域でサムスンが漁夫の利を得る関係にある。前回も欧州でファーウェイに負けた途端、トランプ制裁により、欧州で一人勝ちしていたサムスン電子。
5G基地局だけ見た場合、同盟国に半強制したファーウェイ制裁により、サムスン電子は大幅にシェアを伸ばしている(ただ、市場はまだ小さい)。


 

[ 2020年8月18日 ]

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