アイコン ポンペオ米長官、韓国高官たちに釘さす 北朝鮮の米韓離間の計・術中に嵌る


ポンペオ米国務長官は10月21日、文大統領が提案した終戦宣言が北朝鮮の非核化なしで可能なのかという記者の質問に対し、「北朝鮮住民のより明るい未来、北朝鮮と韓国の間の状態を変える文書を明確に含む北朝鮮非核化に関連した一連の問題に対する米国のやり方には全く変化がない」と述べた。

米国のやり方とは、2018年6月12日の1回目の米朝シンガポール首脳会談での4大合意事項「同時的・並行的進展」の原則をいう。
「終戦宣言だけでなく、南北協力問題」を、「非核化議論」と別に進めることはできないという原則を再確認させた発言。

○文大統領は9月23日、国連総会TV演説で「朝鮮半島で戦争は完全に、永久的に終息するべきで、開始は朝鮮半島の終戦宣言だと信じている」、「『終戦宣言』こそ、朝鮮半島で非核化とともに恒久的平和体制の道を開く扉になる」と述べていた。

●2019年2月28日、米朝ハノイ首脳会談の決裂後、文大統領は一貫して、先緩和後核廃棄期待論を主張し続けている。

結果、国際社会は何れも文大統領の国連演説に賛同する国はなく、世界の有力紙も肯定的に記載したメディアはどこもなかったが、文大統領は、その後も国連演説での主張に基づき、高官たちを前後して米国に送り続け、米国を揺さぶり説き伏せようとしているが、米国はもう相手にしなくなってきている。

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ポンペオ長官は、「われわれは(非核化の後に)世界平和と安定、そして北朝鮮住民のための重要で良い結果があると引き続き信じている」とし、「(交渉)テーブルに戻って、(その後)究極的に韓国大統領が話したことに続く、そのような議論を真剣に始められることを希望する」と強調し、
『終戦宣言』は、「非核化交渉再開カードとして使うことができるのでなく、非核化交渉の結果である」という点を再確認した。

○文在寅大統領は、李仁栄統一部長官、駐米大使、崔鍾建外交部第1次官、徐旭国防長官らを使い、米国に対して言いたい放題の状況となっている。

●8月18日、李仁栄統一部長官は、駐韓ハリス米大使と会談し「米韓ワーキンググループの運営が南北関係を制約するものであってはならない」と主張、これに対し、ハリス大使は「北朝鮮との対応は、米韓ワーキンググループの協議により、これまでどおり米韓一致して行動すべきだ」と対立した。

これは7月14日、北朝鮮の対南工作宣伝メディア「わが民族同士」が、(南は)「ワーキンググループ、THAAD、米韓軍事演習」を停止すべきだと主張したことに直接呼応したものと見られている。

●9月10日、崔鍾建外交部第1次官は、米国で記者の質問に答え、「大韓民国と米国は同盟関係」とし、「同盟関係というのは我々の外交・安保の根幹だ。しかし、我々は米国の同盟であると同時に、中国に近接して経済的に非常に密接な関係」と述べた。
同盟は基本だと言いながら、実質、『等距離外交を行う』と表明したものと受け止められている。

●10月12日、李・スヒョク駐米大使は、韓国国会の国政監査で、「70年前に米国を選んだからといって、今後70年間も米国を選ばなければならないわけではない。今後も米国を愛する理由があり、(米韓同盟が)韓国の国益の助けになると判断した時、米国を選ぶべきだ」と述べた。
これは国益という抽象的な言葉を使いながら、『いつでも米国から離脱する』用意があるとの発言とみなされている。

●10月14日、訪米中の徐旭国防長官は、エスパー国防長官に対して、戦作権返還を2022年までに行うよう要請、一方、エスパー長官は、韓国側の要請(=北朝鮮要求でもある)で戦作権返還のための合同演習ができず、予定からして返還時期を明記することはできないだろうと対立、エスパー長官は、事前に用意された会談後の合同記者会見も、合意した内容もなく、韓国側が利用した発言をなされたら困ることから、米国側がキャンセルした。

戦作権返還のため3段階ある合同演習スケジュール、最初から相互に確認して行っているが、文政権の要請(=北朝鮮要求)と新コロナ事態で米韓合同軍事演習は行われておらず、第2段階へまったく進めない状況に至っている。

また、10月6日、在韓米軍司令官は、米韓合同の実践軍事演習は、文大統領の要請でここ2年以上まったく行われておらず、(万が一のことを想定すれば)非常に問題だと表明した。
米軍司令官は、韓国駐留米軍28500人の軍人の命を預かっており、万が一を想定して行う米韓合同実践演習はかかすことができない軍事演習だとしている。

●9月25日、(米国は韓国に対してクアッド参加を要請している)、康京和外交部長官は、米国の参加要請について、丁重に断るどころか「よいアイデアではない」とクアッドそのものを一蹴した。

○ポンペオ国防長官は、こうした文政権の考え方では、訪韓しても、要求ばかりされ、何を話しても平行線を辿るばかりで、時間の無駄と判断したと見られ、10月25日からのアジア歴訪でも韓国訪問を予定していない。
10月5日、ポンペオ長官はクアッド4ヶ国による東京会談に参加、その後の7日からの訪韓予定を突然キャンセルしていた。

当然だろう、北朝鮮の核ミサイルは、米国にも直接向けられており、その核がなくなるための会談でない限り、北であろうと南であろうと会談しても害あっても利はない。

韓国大統領自らが核廃棄の駆け引きに、終戦宣言を利用していることは、まさに北朝鮮の論理でもある。
文大統領は北朝鮮の代理人ならば、制裁緩和とセットになる「終戦宣言」をしたいだろうが、北朝鮮も、制裁緩和とセットにならない「終戦宣言」など必要ないとしている。

文氏の興味は、制裁緩和にあり核にはないようだ。
これまでの南北会談で、南=韓国が核の完全廃棄問題を北に対して取り上げたのは最初の2018年4月27日の板門店会議で抽象的に取り上げて以来1回もない。

北は南を脅せば従い、制裁緩和についても利用しているに過ぎず、それも最近、南がより北朝鮮親和派を政権に配置したことから強度を増している。
・・・
韓国の文大統領は、米国に終戦宣言を強請るよりも、先に核の完全放棄の約束を北朝鮮の金正恩委員長からもらう努力を最大限行うべきではないだろうか。
核の完全放棄は中国・ロシアを含む国際社会の願いでもあるのだから。

[ 2020年10月26日 ]

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