アイコン 自動車メーカー各社減産へ 旭化成の火災による半導体不足深刻


10月20日発生した旭化成子会社の半導体工場火災、車両向けに特殊半導体を製造していた。精密度が高いことから、同種を生産している独メーカーはゲーム機向けなどを多くし、車両向けを減らしており、今回の火災により自動車メーカーへの波及は深刻なものとなっている。

半導体不足から世界の自動車メーカーが減産を余儀なくされている。
ホンダは、国内に続いて主力市場のアメリカや中国でも減産することになり、影響がさらに広がっている。
自動車メーカーの間では、車向けの半導体が品薄になり必要な量を調達するのが難しくなっているという理由で減産に踏み切る動きが広がっている。

国内のメーカーでは、トヨタがアメリカ南部、テキサス州の工場で、ホンダが三重県の鈴鹿製作所で、日産が神奈川県の追浜工場で、すでに減産方針を明らかにしているほかSUBARUも減産を検討している。

ホンダは、さらに北米のアメリカとカナダの工場で減産するほか、中国の工場でも減産を検討していることを明らかにした。
このうち北米での減産は数千台にのぼる見通し。

半導体不足の背景には、通信規格の5Gの関連機器や、パソコン、ゲーム機向けの需要が増えていることがあるとみられている。車の基幹部品に使う半導体が十分に調達できていないメーカーもあり、影響がどこまで広がるか懸念される。それは日本メーカーにとどまらず、世界のメーカーに波及している。

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主原因は、旭化成子会社の火災
車両向けには車載オーディオ向け半導体と自動車向けセンサーを製造
旭化成の子会社の火災は11月、10月20日火災が発生した宮崎県延岡市の半導体製造工場の復旧に少なくとも数ヶ月かかるとの見通しを示した。同工場では音響機器や自動車、スマートフォンなどの半導体を生産していた。
外部への生産委託を増やすほか、供給が不足する場合には顧客に他社製品の使用も促す。
火災は、旭化成のグループ会社、旭化成マイクロシステムの延岡製造所(宮崎県延岡市)で発生。5階建の工場の一部フロアにある生産ラインが被害を受け、ほぼ壊滅的打撃を受けている。

火事が発生した工場は旭化成の半導体事業において、前工程拠点としての役割を持つ。
6インチおよび8インチウエハーで構成されており、月産能力はそれぞれ1.2万枚程度。シリコンベースのIC製品など、大規模集積回路(LSI)や、センサーなどの電子部品を製造している。

旭化成の半導体事業は前工程プロセスで、自社ファブと外部ファンドリーを使い分けている。
微細プロセスに関しては外部ファンドリーを活用する一方、ホールICやカーディオ用IC、水晶デバイスのTCXO(温度補償型水晶発振器)用制御ICなどは、自社で製造を続けていた。
特にホールICやTCXO用制御ICは世界での業界シェアも高く、今後のサプライチェーンへの影響が懸念されていた。
工場自体も今回の火災でクリーンルーム上部の屋根が崩落するなど、壊滅的なダメージを受けており、復旧時期は未定。
代替生産や同業他社への緊急発注など、今後対応策が講じられるとみられるが、高シェアかつ特殊プロセスであることが今後ネックとなる。

スマホと車載向けが主軸
旭化成エレクトロニクスは、存在感のあるアナログICや化合物半導体技術をベースに事業領域の拡大を目指していた。
同社半導体事業は、スマホと車載オーディオ向けを中心に展開。
スマホ向けでは電子コンパス、カメラモジュールのオートフォーカスや手ぶれ補正用磁気センサーが代表製品。
車載オーディオ向けでは高精度A/D・D/Aコンバーター、ハンズフリー向けの音声処理DSP内蔵LSI、高音質を実現するノイズキャンセラーなど、高級オーディオ向けを得意としている。
同工場で、同社の半導体は音響機器関連に強みを持つほか、スマホ、自動車関連のセンサーも手掛けていた。


 

[ 2021年1月13日 ]

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