吉田拓郎 私は今日まで生きてみました
今日までそして明日から
わたしは今日まで生きてみました
時にはだれかの力を借りて
時にはだれかにしがみついて
わたしは今日まで生きてみました
そして今 私は思っています
明日からも
こうして生きていくだろうと
吉田拓郎
「この歌で力を貰いました」「明日から頑張ろうって思えます」など、いつの時代のどんな世代にも響く歌というものがある。
まさに「私は今日まで生きてみました」はそうだ。
この歌がこの世にでたのは1970年、いまから50年前。
日本のノスタルジーを背負わされたような歌でもある。
吉田拓郎の朴訥な声に、楽曲に、この詞が、昭和を思い起こさせる。
生きて「みました」
この歌の一節、「生きてきました」ではなく「生きてみました」という、なんとなく、片意地はらず、やってきた感じ。
「ああ、苦しんでまで頑張らなくていいんだな」と思わせ、おそらく吉田拓郎にしか書けなかったろうと思う一節。
苦しんできたわけでもなく、道を外れたわけでもない、いろいろ試しにやてってきたらここまできた・・みたいな。
しかし逆に、未来に対しては「生きてみよう」ではなく「生きていく」となっているのは、ちょとだけ頑張ってみようという意思にもとれる。
わたしにはわたしの生き方がある
それはおそらく自分というものを
知ることから始まるものでしょう
けれど それにしたって
どこで どう変わってしまうか
そうです わからないまま生きていく
明日からの そんなわたしです
コロナ禍の中、楽しいことよりも辛いことの方に、目がいきがちになっている。
幸せよりも不幸に。喜びよりも怒りに。
今の状況ではわからないでもない。
それでも明日から、少しだけでも頑張ろうとする力を、ちょっとだけ人にやさしく、そんな感覚を与えてくれる力が、この歌にはあると思う。