アイコン フォードとSK バッテリー3工場で合弁生産へ 先行するGMとLGの合弁


米フォード・モーターは9月27日、韓国のSKイノベーションと共同で114億ドルを投資し、米国に3つの電池工場を新設すると発表した。

米自動車大手フォード・モーターは27日、提携相手の韓国SKイノベーションと共同で114億ドルを投資し、米国に電動ピックアップトラック「F─150ライトニング」の組立工場と、3つの電池工場
を新設すると発表した。写真はフォード提供の完成予想図(2021年 フォード提供)
フォードはまた、2030年までに世界販売台数の40~50%を電気自動車(EV)が占めるとの見通しを新たに示した。従来は40%と予想していた。

①テネシー州スタントンでは、リチウムイオン電池工場と来春販売予定の次世代F─150ライトニングモデルの組立工場も併設、サプライヤーの拠点からなり、同社の過去最大規模の複合施設「ブルー・オーバル・シティー」を開設する。
残る2つの電池工場は、②③ケンタッキー州グレンデールに新設。
両州の3つの工場とも25年に操業を開始する予定。

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今回発表された投資規模は、生産向け投資としてはフォードの118年の歴史で最大。フォードが70億ドル、SKが44億ドルを投資する。
テネシー州には56億ドル、ケンタッキー州の2つの工場には58億ドルが投じられる予定。

SKの米国でのカーバッテリーの生産能力は、ジョージア州の2ヶ所の既存工場と今回の3つの新工場を合わせて年間約150ギガワット時(GWh)になる見通し。
3ヶ所に新設するリチウムイオン電池工場はSKとの共同所有となり、合計の年間生産能力は129GWhと、フル稼働時にEV約220万台のバッテリーを供給できる。

<米ゼネラル・モーターズは>
米GMは今年4月、LGエナジー・ソリューションは、電気自動車(EV)用電池の中核部品である電池セルの生産工場を①米テネシー州スプリングヒルに建設すると発表した。規模は23億ドル相当で米国で2ヶ所目の工場となる。うちLGエナジーは9.33億ドル出資する。
2023年の開設を予定し、生産能力は約35ギガワット時で、②オハイオ州ローズタウンの両社の合弁工場と同様となる。
新工場は年間50万台以上への電池パックの供給が可能という。

ただ、LGのバッテリーを搭載しているGMのボルトEVは出火問題を抱えている。バッテリー価格は車両価格の1/3以上で、積み替えともなると、14万2千台のリコールながら金額的には大型リコールに発展、LGエナジーの負担額は約700億円ともされている。
GMはバッテリーの製造上の欠陥と分析している。
なお、LG製バッテリーではVWのEV-ID.3でも今年8月火災が生じていた。

サムスンSDIは、単独や合弁での米国での生産拠点は持たない。バッテリー工場は韓国のほか中国、ハンガリーに有し、スマホやパソコン、家電品などの充電用バッテリーのほか、EV用バッテリーではBMWなどと提携している。

EVバッテリーの2020年の世界シェアでは、国内に大量の需要先を持つ中国のCATLが26.0%を有し、LGが23.3%で追っている。中国勢は技術的にはすでに韓国勢と同レベルに達している。
米国では対中貿易戦争によりCATLは相手にされないが、欧州ではそのようなことはなく、大量生産により2025年以降、価格競争が厳しくなるものと見られる。また、2025年までには、次世代型のリチウム硫黄電池や全固体電池も製品化されているものと見られる。

世界の大手自動車メーカーはこれまで競って韓国勢3社を高値で長期契約を締結して囲い込んでおり、バッテリー価格は下がりそうにない。
それでも韓国勢はEVバッテリーで利益が出ていないのは、原価が高いことにあり、材料調達コストからしても中国勢が有利となっている。

中国勢のバッテリー生産は今後も拡大が続くことから、2025年以降、過度な価格競争に陥る可能性もある。
自動車大手のVWは自社生産に、トヨタもパナ社と次世代型の全固体電池の合弁生産を計画しており、また、GMやフォードは合弁生産することで利益の漏出を抑え、その分、LGやSKの利益は限定されるものとなる。

2020年 バッテリーの世界シェア

テクノ システム リサーチ版

CATL

26.0%

LGエナジー

23.3%

パナソニック

18.1%

サムスンSDI

8.7%

中国BYD

8.1%

SKイノベーション

5.2%

その他

10.6%

 

[ 2021年9月28日 ]

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